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 論文集抄録
 

論文集抄録

〈Vol.35 No.5 (1999年5月)〉

論 文 集 (定 価)(本体1,660円+税)

年間購読料 (会 員)6,300円 (税込み)

  〃   (会員外)8,820円 (税込み)


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[論  文]


[論  文]

■ 画像処理を用いた電子線型加速器のエネルギー変動測定装置

高輝度光科学研究センター・榊 泰直,吉川 博,堀 利彦

 近年,生命科学,材料科学,物理学などの科学技術領域の融合化に伴い,新しい科学領域の開発ツールとして,従来の放射光源では達成できない放射光に期待が寄せられている.また,最近では高度な化学犯罪の分析に利用され,微量物質の同定など具体的に放射光の威力が示されている.

 このような放射光を発生させるには,大規模な加速器施設が必要となるが,良質の放射光を発生させるには当然のことではあるが,加速器の性能が非常に重要になる.特に,線型加速器は,施設の最も上流に位置し,電子ビームを発生させ,後段の加速器に入射する役割を担っているために,その性能が施設全体に影響する.放射光利用実験の再現性を考えると,性能の長時間の持続性も不可欠であり,加速器には高い性能を長時間維持する必要性が求められる.そのため,加速器で加速された電子ビームの状態を観測し,性能の維持,向上のための検討を行わねばならないが,長時間性能の維持を必要とするものの1つである,加速電子のエネルギーのピーク変動や分散を時系列データとして測定する装置がなく,効率的な性能向上を行うことが難しい.このような装置があれば,これらのデータと,ビーム性能の維持を妨げる因子の関係を解析することが可能となる.

 本研究は,線型加速器の性能向上をはかるために電子ビームのエネルギー変動,分散を同時に測定するビデオカメラベースの画像処理を用いたシステムを提案し,製作したシステムで性能向上への有効性を示す.


■ 空気圧式調節弁の動作特性診断に関する実験的研究

山武・綛田長生,大塚 亮,長坂文雄,東工大・香川利春

 本論文はプロセス制御における重要な操作端の1つである空気圧式調節弁の動作特性診断に関する研究である.

 稼働中の空気圧式調節弁の動作特性を,操作器・本体部における入出力関係(操作器空気圧力と弁開度)を用いて診断するためには,プロセス流体の影響つまり弁軸推力を考察する必要があった.弁軸推力については過去に多くの研究例があるが,従来の弁軸推力の考察結果は制御,設計への利用を目的としているため,これらをただちに診断に利用することは困難であると考えた.そこで,著者らは実験に基づき,調節弁のオンライン診断に利用するための弁軸推力モデルについて検討した.

 本論文では,ここで得た弁軸推力モデルを報告するとともに,本モデルを利用した調節弁静特性診断アルゴリズムの検証結果についてもあわせて報告する.

 また,上記静特性診断アルゴリズムに加え,動特性に現れる不全現象の1つであるスティックスリップ現象を検出するアルゴリズムについてもあわせて検討したので,これを報告する.


■ 直立姿勢維持における足関節粘弾性と伸張反射の機能分担

岩手大・佐藤秀樹,藤田欣也

 人間の直立姿勢の維持には,フィードバック姿勢制御系の他に足関節粘弾性と伸張反射も重要な役割を持つ.したがって,これら3者の間で何らかの法則に基づいた機能分担がおこなわれていると考えられる.

 本研究では,直立姿勢時の足関節粘弾性と伸張反射感度を同時に計測可能な,急速外乱を用いたシステムを開発し,両者の解析をおこなった.その結果,座位における従来の知見とは逆に,片脚立位時には,足関節粘弾性は増加するが伸張反射は抑制されていた.

 倒立振子モデルを用いて姿勢安定性における機能分担比率を解析したところ,片脚立位時には伸張反射の分担比率を低下させ,足関節粘弾性,姿勢制御系の分担比率を増加させていた.すなわち,姿勢条件に応じて,上位姿勢制御機構は,3者の機能分担比率を調節していることが明らかになった.


■ 再変調による消去法を用いた中心周波数検出形FM超音波流量計

日本工大・谷澤 茂,廣瀬治男,中央大・吉久信幸

 本論文は,新しいFM成分消去法を用いた中心周波数検出形のFM超音波流量計の測定原理と測定精度に関する諸実験の結果について述べる.さらに,FM超音波による測定管内の音場の安定化の効果を検証するための実験なども報告する.この音場の安定化の方法は,室内の音圧測定に用いられているウォーブルトーンによる測定法に類似した方法である.提案した流量測定法は,FM超音波の中心周波数成分(183kHz)の位相から流量を検出しているため,変調信号成分による検出方法に比べて高感度になる.FM成分消去法は再変調による方法を使用しており,簡単な電子回路で変調指数の値に制限がなく,受信変調信号成分が歪んでいても消去できるなどの長所を有している.音場の安定化の効果を検証する実験では,FM超音波によって定在波比が10〜30%程度低減し,音場が安定化することが確認できた.また,提案したFM超音波流量計の具体的な構成例も示した.測定精度の検証に関する諸実験では,小流量での実験結果にもかかわらず,良好な精度(誤差±1%程度)を有するFM方式の超音波流量計が得られた.このように,FM超音波を用いて十分な音場の安定性と,著者らの従来の論文に比べて高い感度を有する流量計が得られた.


■ トルク式細管粘度計

東洋大・小林良二

 細管粘度計は細管内を流れる液体の体積流量と細管の流入・流出両端面における差圧とからHagen-Poiseuilliの法則を用いて粘度を求めるのが通例である.

 しかし,この中で差圧は運動量保存の法則を用いると,力に変換することができる.また,角運動量保存の法則を用いると,力のモーメントすなわちトルクにも変換される.

 本報はこのトルク測定方式の可動細管粘度計である.さらに,定流量装置を使用すれば,トルク1量の測定で粘度が知られる.

 得られる粘度は標準液により粘度計定数を決定するので,相対粘度である.

 本粘度計は工業的な粘度計として有用なものであると考えられる.


■ 質量計測における基礎振動補償法に関する研究―理論とその検証実験―

姫路工大・亀岡紘一,中谷 誠,小松源一,イシダ・内藤和文

 本研究は,質量計測においてはかりの設置基礎が6自由度かつ任意波形の振動をしたとしても,計測におよぼすその影響を除去する補償法の開発をめざしたものである.その計測システムは,ビーム形ロードセルを用いたはかり本体と,同形のロードセルを用いた数個の補償体で構成される.はかりの出力は,被計量物の質量に関する信号成分と基礎振動に関する外乱成分より成る.本補償法では,はかりの出力から外乱成分を除去する信号を補償体出力から生成する回路構成問題が取り扱われている.本研究によって得られた結果は以下のとおりである.

 1. 質量計測においてビーム形ロードセルの出力特性の活用を前提として,6自由度かつ不規則波の基礎振動に対する補償理論を展開し,補償システムのセンサ配置(補償セル配置)と信号処理回路構成について明確な結論を得た.

 2. 振動基礎台を設計・製作して,その台上に補償システム付のはかり系を構成し,2種類の振動を与えて上記補償法の有効性を検証した.その結果,補償なしの場合と比較してきわめて高い測定精度が得られることが明らかになった.

 3. 上記の検証過程を通して,本補償法が通常のフィルタ処理による解決が困難な低周波の振動に対して有効な方法であり,実施可能性の高い方法であることが確認された.


■ カルマン渦流量計の渦発生体形状の最適化と不確かさの算出法に関する研究

計量研・寺尾吉哉,高本正樹

 工業的に最も重要な流量計の1つであるカルマン渦流量計(以下渦流量計という)の設計を標準化し,現行の絞り流量計のように構造規定に従って製作するだけで無校正で使用可能にすることを目的として,実験的な研究を行った.

 まず,渦流量計の重要な構成要素である渦発生体の形状・寸法を系統的な実験により最適化し,ストローハル数のレイノルズ数依存性が非常に小さな渦流量計を開発した.つぎに,最適化された流量計を異なる口径で複数製作し,ストローハル数を広いレイノルズ数範囲にわたり精密に測定した.さらに,渦流量計の各部の寸法許容差がストローハル数に与える影響を多数の系統的な実験により明らかにし,その結果より,設計者が設定した寸法許容差に基づいて定量的にストローハル数の不確かさを計算する方法を求めた.この不確かさの評価方法はこれまでどの形式の流量計の設計手法にも見られなかった新しい方式である.

 これらの結果は,標準型の渦流量計に関する工業規格を制定する際にきわめて重要であり,将来の流量計測全般の精度向上に結びつくことが期待できる.


■ 特異摂動システムにおける線形2次ナッシュゲームのための再帰的アルゴリズム

広島市大・向谷博明,小林康秀,沖田 豪

 本論文では,非標準特異摂動システムに関する線形2次ナッシュゲームを考える.本論文の大きな特徴は,ナッシュ均衡解をえるための連立型リカッチ方程式に対して,再帰的アルゴリズムを直接使用するのではなく,まずリアプノフ型再帰的数値解法を利用する.つぎに,疑似的に分離した2つのリカッチ方程式のそれぞれに再帰的アルゴリズムを使用することである.以上の分散的な計算アルゴリズムによって線形2次ナッシュゲームのためのナッシュ均衡解をO(εk)の高精度で求めることが可能となる.また,合成ナッシュ均衡解より,本論文で得られたナッシュ均衡解を非標準特異摂動システムに入力したときのほうが評価関数の値に関して劣化が少ないことが示される.


■ Development of a Coaching System Considering User Specific Characteristics

阪大・Darrell E. NAKAWAKI, Sangwan JOO, Fumio MIYAZAKI

  The kip is a fundamental gymnastic movement performed on a variety of gymnastic apparatuses at all levels of competition. We analyze the kip with a pendulum and 3-link model. Our simulations have shown that a variable length pendulum model is sufficient for modeling the dynamics of an expert gymnast's center-of-mass without considering the complex parameters of the 3-link model. The optimized pendulum model can generate center of mass pattern variations which yield a midpoint target region of success. We then evaluate kip patterns based on the center-of-mass and the characteristic movements of the 3-link model. A comparision of the 3-link modeled kip motion with that of the expert gymnast verifies significant characteristics of performing the kip. Based on these results, we propose a coaching system which gives the novice basic and detailed coaching information. An example shows how the novice evaluates his performance using this information and learns how to perform the kip successfully.


■ 経験強化を考慮したQ-Learningの提案とその応用

阪大・堀内 匡,NTT・藤野昭典,京大・片井 修,椹木哲夫

 環境との相互作用を通して得られる報酬のみを手掛かりに環境に適した行動を試行錯誤的に獲得する強化学習は,自律エージェントの学習法として有望な枠組みと考えられる.強化学習のアルゴリズムは,大きく分けてそれまでの経験を重視する経験強化型アプローチと環境を広く探索する環境同定型アプローチの2つに分類できる.

 本研究では,環境同定型の代表的な手法の1つであるQ-Learningに対して,学習の高速化・効率化を図るために,分類子システムで用いられる経験強化型の強化学習アルゴリズムであるProfit Sharing法の考え方を導入した手法(Q-PSP Learning)を提案する.提案手法は,環境同定型の強化学習法であるQ-Learningに対して,経験強化に徹したProfit Sharing法の考え方を導入したものであり,学習初期においても報酬を獲得できるため,現実的な問題に対してより有効であると考えられ,環境同定と経験強化のバランスを考慮することが可能な手法といえる.また,この提案手法をいくつかの制御問題を対象にしたシミュレーション実験および移動ロボットを用いた実機での実験への適用することにより,学習の高速化などの点で提案手法の有効性を示す.さらに,われわれが提案している連続値入出力(状態・行動)を扱うファジィ内挿型Q-Learningに対してQ-PSP Learningの枠組みを導入した手法を提案し,倒立振子制御問題への適用を試み,その有効性を明らかにする.


■ GAによる隠れマルコフモデルの構造探索法

九工大・原田 登,陳  鵬,卯野木麻華,豊田利夫

 隠れマルコフモデル(HMM; Hidden Markov Model)の構造を決定する要素として,状態数,遷移数,混合分布数などがあげられるが,それらは比較的自由に調整できるにも関わらず,構造を決定するための効率的な方法は見つかっていない.そのため現状では経験的に決められた一般的なモデル構造を使用することが多い.この種の構造探索に関連した研究例では,HMM構造を決定する問空間が狭く,可能なすべての組合せについて探索を行っているわけではない.また,left-to-rightモデルのみに対しては有効であり,現在の状態より状態番号の小さい状態に遷移しないのは,HMMの構造決定時に残された大きな課題の1つである.

 本研究では,遺伝的アルゴリズム(GA; Genetic Algorithm)と最尤推定法を用いて,HMM構造を自動的に探索する手法を提案し,いくつかの応用実験によってその有効性を示す.具体的には,GAのためのHMM構造の遺伝子コーディング,親の遺伝子の持つ「良い」構造を遺伝させることのできる遺伝子交叉法,親遺伝子の持つ時間構造を交叉によって壊さないための時間正規化,HMM構造の「良さ」を適切に評価するための適応度計算等について述べる.


■ 非正規目的関数を含む多目的並列機械型スケジューリング問題のモデル化とその遺伝アルゴリズムによる解法

神戸大・玉置 久,西野悦雄,阿部重夫

 本論文では,等価並列機械型の問題において,正規的なものに加えて非正規な目的関数をも考慮した多目的スケジューリング問題を取り上げ,遺伝アルゴリズムの一構成法を提案する.そこでは,仕事の機械への割り付けおよび各機械上での仕事の順序を個体の遺伝子型から直接的に求めることを基本とする.このとき,正規目的関数のみを考慮する場合には,仕事の機械への割り付けおよび機械上での仕事の順序が決まると,各仕事をできるだけ早く始めるようにすることによって一意にスケジュール(開始時刻)を定めることができる.しかし,非正規目的関数をも考慮する場合には,このような単純な形で開始時刻を決めることはできない.そこで,決められた割り付けおよび順序のもとで開始時刻を決定する問題を,原問題における複数の目的関数の荷重和を目的関数としてもつ線形計画問題に定式化した上で,この線形計画問題を幾通りかの重みパラメータの設定について解くことにより,各仕事の開始時刻を定める方法を構成する.さらに,提案手法を遺伝アルゴリズムに基づくパレート最適スケジュール生成方法に用いた場合の計算例を通して,その有効性を調べる.


■ 視覚情報を用いた中点指示における空間知覚

北大・片野康生,木村真弘,高橋 誠,山本克之

 目標物に手を伸ばすときの位置はおもに視覚による外部座標で表現される.しかし,上肢を動かして目標物に手先を移動させるためには,キネマティックあるいはダイナミックな身体座標系で表現するといった視覚と固有受容感覚とを統合した内部空間処理が行われていると考えられている.そこで視覚的な呈示点の中点に対してポインタを用い,視覚的な指示を行う実験と指先を移動させる固有受容感覚的な実験を行い,両感覚の統合作用の検討を行った.その結果,視覚的な方法での中点は真の中点と0.5cm程度しか離れておらず,視覚的な位置情報を視覚で表現する場合は,正確に中点を表現できていることがわかるが,固有受容感覚で表現することによって平均4.1cmと大きなずれを発生した.しかし,このずれでは線形な性質が損なわれない結果から,肩の高さの水平面上において2点間の距離が近い場合(デスクトップ空間),視覚から固有受容感覚への変換で発生するずれに,アフィン変換で記述できる線形な性質が存在することを示した.そのアフィン変換の平行移動,回転,拡大の各係数のうち,拡大係数においてのみ共通な特徴(1.2±0.15)がみられた.


■ 能動カメラによる運動物体追跡と実時間3次元形状復元システム

東大・出口光一郎,鏡 慎吾,嵯峨 智,本谷秀堅

 動いている物体に対し,カメラのパン,チルト角を能動的に制御して対象上のある点を注視し続け,得られた画像の系列から実時間で3次元形状を復元するシステムを構築した.物体上のある点を画像上のある1点に常に留めるようにカメラの首振りを制御する(注視制御と呼ぶ)と,物体の運動がその点を中心とした回転運動とみなせる画像が得られる.この画像を用いると,注視点以外の点のオプティカルフローから,その物体の3次元形カメラを中心として運動物体追跡による実時間3次元形状復元システム構成した.一般にオプティカルフローの計算はコストが高く,実時間化への障壁となっている.これを克服するため,本研究では並列画像処理ボードを用いて処理を行う.そして,計算の効率化をはかることで,画像の入力から3次元形状の復元までの一連の処理を通常のビデオフレーム間隔(33ms)内で完了することができた.


■ 自律分散システムの適応理論

理研・伊藤 聡,湯浅秀男,伊藤正美

 自然界にみられるパターンには,多くの部分系が相互作用することによって形成されているものが少なくない.そのようなパターンの形成原理は,工学の一分野では,自律分散システムとして研究されている.これらに共通する問題は,局所的な部分系の相互作用のみでいかにして大域的な秩序パターンを形成するか,である.この問題を扱ったものの1つに「自律分散システムの構造理論」(湯浅・伊藤(正)1989)がある.しかし,そこでは自律分散システムがもたらすであろうと期待された適応性に関しては,十分には論じられていない.本稿では,湯浅らの理論に基づいてそれを発展させ,部分系間の相互作用に着目した適応に関する1つの考え方を提案する.それは,「適応により部分系間の相互作用が減少するように部分系の相互作用のしかたを調節すること」である.この考え方の数式的な表現と,それに基づいたシミュレーションを本稿で示す.


[ショート・ペーパー]

■ ガンマ線の透過現象を利用した鋼板厚さ計測法

放射線医学総研・白川芳幸,新日鉄・堀越清美,天野研・天野 豁

 放射性同位元素を装備した工業用計測機器は,鉄鋼業において積極的に導入され,生産管理,プロセス制御,製品検査,品質保証などに活用されている.これらの機器の中でもγ線厚さ計が最も多く使用され,その設置台数は622台となっている.特に圧延機の制御,すなわち板厚制御に必須の最重要機器である.通常,厚さ計には線形の計測モデルが内蔵されている.この計測モデルは適用厚さ範囲が狭く,そのため厚板(100mmまで)の厚さ測定には多数(たとえば10個)の線形モデルが必要である.また定期的な校正のためにモデルと同数の校正板も必要である.それゆえ計測精度の保証,維持には大変な労力が投入されている.

 本論文ではγ線厚さ計の維持・管理の負担の低減,すなわち校正板の枚数の半減を可能にする非線形モデルを提案する.鋼板の厚さが増すにつれて顕在化するガンマ線のビルドアップ効果を巧みに取り込んでひとつのモデルで全測定範囲をカバーすることがこのモデルの特長である.厚板工場の137Cs厚さ計を用いた実験において,厚さ2〜100mmの範囲で計測モデルによる厚さ計算結果と実際の鋼板の厚さは相対誤差±0.05%以内で良好な一致をみた.


■ ディジタル動画像処理による渦笛音の可視化

法政大・佐藤浩志,奥田日出治,渡辺嘉二郎

 ディジタル動画像処理を用いて流れの可視化をする.渦笛に吹き込まれた流れを羽毛を用いて高速度カメラで可視化した.

 渦笛から放出される流れは複雑な三次元旋回流の流れであるが,提案する手法により発生音の周波数分布と流れ方向を可視化した.また,渦笛からの発生音は,放出される流れの歳差運動に起因することを明らかにした.

copyright © 2003 (社)計測自動制御学会