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 論文集抄録
  

論文集抄録

〈Vol.40 No.11(2004年11月)〉

論 文 集 (定 価) (本体1,660円+税)

年間購読料 (会 員) 6,300円 (税込み)

  〃   (会員外) 8,820円 (税込み)


タイトル一覧

[論  文]

[ショート・ペーパー]


[論  文]

■ 非線形オブザーバを用いた人工衛星の大域的漸近安定な姿勢制御系設計

北大・山下 裕,奈良先端大・中村文一,奈良先端大・西谷紘一

 本論文では,人工衛星の姿勢から角速度を推定するオブザーバの設計法を提案する.提案するオブザーバの誤差ダイナミクスは2つの平衡点をもつので,不安定平衡点を避ける状態ジャンプルールを付加する.このハイブリッド型のオブザーバの推定誤差は大域的に漸近安定で,かつ局所的に指数安定である.さらに,人工衛星の3軸姿勢制御系において大域的に漸近安定化する状態フィードバック則と本ハイブリッドオブザーバを組み合わせた場合,妥当な条件のもとで,制御系全体が大域的に漸近安定となることを示す.


■ 量子制御のダイナミクスの局所可到達性と局所可観測性

東大・山本直樹,津村幸治,原 辰次

 近年,量子系の制御に関する研究が理論,実験の両面から活発に行われている.とくに,時間連続な測定,制御のもとで量子状態が従う確率微分方程式が導出されており,フィードバック制御理論を量子系に適用することが可能となった.しかし,従来の制御器設計はすべて,アドホックなものであった.系統だった制御器設計を行うためには,システムの入出力関係を正しく捉える必要がある.そのために,本論文では量子システムの局所可到達性,局所可観測性を議論する.まず,従来と同じ計算法(Lie積,Lie微分によるもの)が適用できるよう,一般的な量子ダイナミクスのストラトノビッチ表現を求めた.そして,確定系のアナロジーで定義されたdistributionを計算する一般的な公式を与えた.この公式を利用して,ダイナミクスの重要な性質をいくつか明らかにした.その1つは,標準的な非連続の測定と異なり,連続測定による量子状態の局所的な遷移がほとんど確定的である,というものである.また,量子コンピュータの構成要素でもある単一スピン系について解析を行い,望ましいスピン状態を達成するために必要な制御器の構造を明らかにした.


■ 転がり量に制限を有する平面を転がる球の接触点の制御

名古屋大・中島 明,長瀬賢二,早川義一

 本論文では,平面を転がる球において,球の転がり量に制限を有する場合での接触点のレギュレーションについて議論し,3つのパラメータにより特徴付けられる球上の単一種類の閉軌道を用いて,目標点へ有限回の閉軌道の繰り返しで到達する手法を提案した.具体的には,(@)到達可能な領域を最大限に利用するという観点から,接触状態を特徴付ける平面において,転がり量の範囲を指定したときの1回の閉軌道による到達可能領域を正確に見積もった.(A)つぎに,見積もった領域を利用して,有限回で目標点に到達可能なアルゴリズムを提案した.アルゴリズムの基本的なアイデアは,求めた領域上を移動しながら目標点に到達するものであり,閉軌道のパラメータは閉軌道の開始位置と目標点のみから決定されるため,開始時刻をサンプル時刻とした離散時間フィードバックのような構成で実現できる.また,パラメータを決定する際には解の存在が保証された1変数の非線形方程式を二分法により解くだけでよく,数値的に安定して解を求めることができる.さらに提案手法は球の転がり量の上下限を指定できるため,ロボットハンドへの適用に適している.最後に,転がり量の制約を半球上とした場合での数値例により,手法の有効性を確認した.


■ 反復学習制御に基づく連続時間システム同定

奈良高専・酒井史敏,京大・杉江俊治

 本論文では,従来の連続時間同定法とはまったく異なった視点から,反復学習アルゴリズムにより連続時間システムを直接同定する手法を提案する.まず,入力空間を限定した反復学習アルゴリズムを用いることでサンプルされた入出力信号から,時間微分を用いることなく連続時間システムのパラメータが同定されることを示し,数値例によりその有効性を検証する.また,提案手法は対象システムの次数が未知の場合においても同定可能であるが,学習ゲインの悪条件問題により試行の繰り返しでは同定精度を向上させることができない場合があることを指摘している.その対策の1つとして過去の試行における情報を利用した学習更新則を提案し,観測雑音に対してロバストな同定結果が得られることを確認した.


■ 進化学習型遺伝的ネットワークプログラミングとそのタイルワールド問題への適用

早大・間普真吾,平澤宏太郎,古月敬之

 これまで,新しい進化論的計算手法として“遺伝的ネットワークプログラミング(GNP)”を提案してきた.GNPは解をグラフ構造で表現することにより,優れた機能を本来的に備えることができる.しかしながら,進化手法は,集団でプログラムの生成を行うため,大域探索に優れているが,プログラムの改善は1世代のタスクが終了した後に行われるため,タスク試行中はプログラムの変更ができない.本論文では,解の探索能力を強化するために,進化と学習を組み合わせた新しい手法“進化学習型遺伝的ネットワークプログラミング”を提案している.進化によって大域探索を行い,学習が迅速に行われるよう,コンパクトなグラフ構造にし,さらに学習によってタスク試行中の報酬に基づいた局所的な探索を行っている.これにより,進化のみ,もしくは学習のみのアルゴリズムに対し,解の探索能力,探索速度の面で優れたシステムを構築することができる.また,提案手法をタイルワールド問題に適用し,その性能評価を行った.


■ 重畳パルス列の信号源分離のための時間―周波数解析法

三菱電機・西口憲一

 レーダ,通信等の分野において,信号はしばしば周期的なパルス列として表わされ,1つのチャネルに複数の信号源からのパルス列が同時に入力することがある.このような重なり合ったパルス列から信号源の個数を推定して各パルスを信号源ごとに分離する問題はパルス列分離(pulse train deinterleaving)と呼ばれる.本論文では,個々のパルス列が短くかつパルス繰り返し間隔(PRI: pulse repetition interval)が揺らぎをもつ場合にも有効なパルス列分離法を提案する.これは,以前提案したPRI変換および変形PRI変換と呼ぶ方法を時間−周期解析により拡張したものでありPRI写像と呼ぶ.変形PRI変換でも信号源の数やそれらのPRIを推定することはできたが,各パルス列は観測時間中に十分長く存在しなければならないという制約があった.PRI写像は受信信号の時間関数から時間とPRIの2変数の関数への写像であり,その絶対値を取ることにより時変PRIスペクトルが得られる.このスペクトルから,信号源の数や個々の信号のPRIと存在する時間帯が推定できる.PRI写像の構成はウェーブレット変換の構成と類似のものであるが,非線形変換であるところが異なる.このPRI写像を用いたパルス列分離法の有効性をシミュレーションと性能解析により検証する.


■ 生EMG信号による電動義手の制御

産総研・福田 修,広島大・ト 楠,辻 敏夫

 交通事故や災害,あるいは埋設された対人地雷などによって腕を失う人々が国内外で後を絶たない.失った腕と同等に機能する義手を開発できれば,彼らの日常生活において大変意義深いのはいうまでもなく,その開発が期待されている.本論文では,電動動力義手の操作性向上を目的として,生のEMG信号からの新しい動作識別法を提案する.この方法では,隠れマルコフモデルに基づいて構成したリカレントニューラルネット(R-LLGMN: Recurrent Log-Linearized Gaussian Mixture Network)を用いる.R-LLGMNは,従来法では別々の処理として実施されていたEMG信号からの特徴抽出処理とパターン識別処理を,1つのネットワークで実現することができる.これにより,操作者がEMG信号を発生させた際の義手制御の応答性を大きく向上させることが期待できる.前腕切断者2名を含めた実験を実施し,本手法の有効性を確かめた.その結果,生のEMG信号から義手制御に十分な識別精度を実現できることが確認された.また,誤差逆伝播型ニューラルネットなどを用いる従来法と動作識別精度を比較した結果,本手法の有意性が明らかになった.



■ 摩擦力制御を用いた静電皮膚感覚ディスプレイ

東大・山本晃生,石井利樹,樋口俊郎

 平行帯状電極群と薄膜状のスライダを用いた新しい方式の静電皮膚感覚ディスプレイを提案する.本ディスプレイでは,操作者の指先に摩擦力分布を与えることで,物体表面の凹凸テクスチャ感を提示することができる.
 本装置において,被験者はスライダ上に指をおき,スライダ越しに電極群をなぞることで,静電気力に起因するさまざまな摩擦力分布を指先表面に受け,それによって指先に凹凸感を感じる.基礎的な実験の結果では,電極群に印加する電圧を指のなぞり動作に応じて変調することで,百ミクロンオーダの間隔で突起が分布するような微細凹凸面の表現も可能であることが確認できた.
 また,本ディスプレイを透明化して液晶ディスプレイと組み合わせることで,視覚情報と触覚情報を同一面上に提示可能とした視触覚融合ディスプレイについても報告する.この装置では,液晶ディスプレイ上に表示された画像に対応した電圧を,静電皮膚感覚ディスプレイに印加する.これにより,表示された画像を直接なぞり,その触感を感じることが可能であることを確認した.


■ コンテナヤードにおける搬送車の作業割当て・走行経路決定問題の解法

川崎重工業・林 正人,日隈克敏,宮本裕一,庵原 滋,江渡信一

 本論文では,コンテナヤードの効率化のため,搬送車の作業割当て・走行経路を決定する解法を提案する.本解法は,コンテナヤードの定常状態である作業割当て可能(待機中)な搬送車と走行中または作業中の搬送車が混在する場合に,評価関数である全搬送車の総移動時間が満足できる実行可能解を求めることを目的とする.本解法は,デッドロック・ブロッキングといった搬送車間の干渉を考慮すること,作業割当て可能(待機中)な搬送車と走行中または作業中の搬送車が混在する場合に対応し,全搬送車の総移動時間を小さくすることが可能であれば,すでに作業を割当てられた走行中または作業中の搬送車の作業割当て,走行経路を再スケジューリングすることに特長がある.さらに,提案した解法の有効性を示すためにシミュレーションを実施した.シミュレーションは,双方向通行可能な搬送経路をもつコンテナヤードを対象に実施した.シミュレーション結果では,搬送車間のデッドロックがなく,全搬送車の総移動時間が満足できる実行可能解が得られることを示す.


■ μsパルス・パワーのサグ抑制制御

防衛大・山崎 隆,防衛庁・鷲見晋一防衛大・大島正美,井上 悳

 次期高エネルギー粒子加速器のクライストロン電源における,数μ秒程度のパルスパワーに生ずるサグの問題に対し,岩田らは補償電源を用いた補正法を提案している.本論文では,温度変化などの影響下でパルス頭部の高い平坦性を保つため,著者らが先に提示した繰返し短パルスのフィードバック制御方式を岩田らの補正回路に適用することを試みる.その際,高圧半導体スイッチの発生する広帯域雑音を考慮して,直線あてはめの原理によるサグの評価値をフィードバック量として用いる.また,この評価値がパルスの位相(時間)変化によって大きな誤差を生ずる可能性があるため,サグ抑制制御に位相制御を併用した二変数制御系を構成する.パルス生成時には波形観測のみを行い,制御演算の結果は次回のパルス生成に適用する.この手順により,演算時間への制約が緩和され,制御器の実現が容易になる.また,パルス発生装置がコントローラに対して見せる瞬時応答の入出力特性を実測して制御パラメータを決定することが可能になる.容量10kV,8A,4μs幅のパルス電源制御について,コントローラの設計過程と実験結果を示す.初期値3%のサグが,制御パラメータ値によく対応した過渡現象を経て,ゼロを中心とした0.1%rms以下の変動幅に抑制された.



[ショート・ペーパー]

■ l2/l∞外乱およびパラメータ不確かさを考慮した制約つきモデル予測制御―LMI表現に基づく実時間最適化アプローチ―

広島大・和田信敬,齋藤甲待,佐伯正美

 モデル予測制御では,あるサンプル時刻における制御対象の観測情報に基づき,そのモデルが未来の時間区間において最も望ましい挙動を示すように制御入力列を実時間最適化により算出し,得られた制御入力列の1点目を制御対象に加えることを繰り返すことで制御を実行する.モデル予測制御系の具体的な構成法の1つに,サンプルごとに状態フィードバックゲインを再設計する方法がある.Kothare, et al.(1996)では,制御対象にパラメータ不確かさが存在する状況下で,1)サンプルごとにLQ型の制御性能を最適化し,2)閉ループ系の内部安定性を保証し,さらに,3)入力・出力の振幅制約を満たすことの可能なモデル予測制御系を,LMI問題に帰着して構成する方法が示されている.しかしながら,この方法では,外乱が加わった場合に,制御アルゴリズムの可解性および制御系の内部安定性が保証されるか不明である.そこで,本稿では,2乗可積分で振幅が有界な外乱の存在下で,制御アルゴリズムの可解性および閉ループ系の内部安定性が保証されるモデル予測制御系の一構成法を示す.


■ むだ時間系に対する簡略化予測器の予測構造解析

福山大・木村純壮,島根大名誉教授・西村行雄

 筆者らは,これまでに簡略化予測器を提案し,基本的な予測性能やロバスト予測性能の解析を行った.これを応用した実験的研究も行っている.しかしながら,簡略化予測器は直接的に導出したものではなく,解析の複雑さもあり,これまでのところ予測構造は解明できていない.本論文では,簡略化予測器の予測構造,すなわち,予測式や予測値算定の実現構造について解析を行う.その結果,簡略化予測器もプラントモデル予測器と同様の予測構造であることを明らかにした.基本となる予測式の算出において,有限時間区間の積分演算を回避し,プラントモデルの状態変数を利用して予測を行う.しかしながら,相違点も存在し,簡略化予測器の場合にはプラント自身の応答も有効に利用する予測構造となっている.これにより,簡略な構造が実現できている.


■ 回転表現のキネマティックス方程式の一般的な導出方法

技術士事務所・長谷川律雄

 角速度と回転の関係を表わす微分方程式はキネマティックス方程式と呼ばれている.工学的応用において回転を表わすために種々の回転表現が用いられているが,これらの回転表現のキネマティックス方程式に関して多くの研究が行われ種々の方法が提案されてきた.しかし,それらは特定の回転表現にのみ適用できる方法である.
 方向余弦行列は回転の標準的な数学モデルと考えることができる.任意の回転表現が表わす回転はある方向余弦行列にも対応するから,この方向余弦行列を回転表現のパラメータで表わすことができる.
 本論文では,方向余弦行列を用いて任意の回転表現のキネマティックス方程式を求めることができる一般的な方法を示す.


 
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