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 論文集抄録
  

論文集抄録

〈Vol.48 No.6(2009年6月)〉

論 文 集 (定 価) (本体1,660円+税)

年間購読料 (会 員) 6,300円 (税込み)

  〃   (会員外) 8,820円 (税込み)


タイトル一覧

[論  文]

[ショート・ペーパー]


[論  文]

■ 偏光特性を利用したプラント点検用蒸気漏れ検出センサの開発

三菱電機・中島利郎,仲嶋 一,神戸大学・的場 修

 本論文では,プラント点検の重点管理項目である配管の蒸気漏れを対象に遠隔検出可能なセンサについて報告する.
 本方式は,検出手段としてレーザを用い,レーザ光を蒸気に投射した際に発生する散乱光の検知を基本原理とするとともに,散乱光の偏光特性の違いに着目して蒸気を選択的に検知するものである.基本実験の結果により,蒸気からの散乱光とプラント内の構造物からの散乱光との間で偏光特性に大きな差のあることを明らかにした.
 さらに本研究では,蒸気とそれ以外で発生する散乱光の発生位置が異なることに着目し,三角測量光学配置とステレオ撮像系を複合させる新規光学系を創出することにより,両散乱光を分離して受光・検出することを可能とした.これにより上記原理に基く蒸気のみの選択的検出を実現した.
 プロト機を試作し,蒸気漏れ検出に関する基本特性を実証した.その結果,実用上十分な検出性能を持つとともに,蒸気のみの選択的な検出を実現できることが確認された.
 これらの結果から,開発したセンサはプラント点検センサとして要求される条件を満足し,実用上十分な性能を有することが確認された.


■ 時変系のための一般化最小分散制御−直接擬似変換法による雑音特性の改善−

福山大学・土井正好,首都大学東京・森 泰親

 むだ時間を含むシステムに対して有効な制御手法のひとつに一般化最小分制御(GMVC)がある.これまで,GMVCはそのほとんどが時不変系において開発されてきた.従来のGMVCは,時変系に適用するとサンプル周期ごとに時変パラメータを参照しても,時変多項式積の時刻シフトを正確に扱わないため制御量は目標値に追従できない.本提案では,多項式積における時刻シフトの構造を明らかにし,多項式次数を一般化した多項式積の計算アルゴリズムを設計した.また,時変系用GMVCを設計するにあたっては,多項式が非可換となる問題について考慮する必要がある.時変多項式の非可換性は,雑音項について評価関数を十分に最適化されない.そこで,本提案では時刻シフトを考慮した擬似変換を設計し,時変系における多項式の非可換問題を解決する.


■ 一次差分信号とバギングCAN2を用いるモデル切り換え型予測制御によるRCA洗浄液の温度制御

九州工業大学・黒木秀一,越山陽平,湯野洋司

 RCA洗浄法は半導体製造工程でシリコンウエハを洗浄するための手法であり,多くの企業で用いられている.その洗浄液の温度制御は安定した洗浄性能を得るために重要であるが,RCA洗浄液は非線形で時変の発熱化学反応を伴うものがあり,その温度制御は困難である.われわれはこれまで競合連想ットCAN2を用いるモデル切り替え型予測制御法を開発し,その有効性を検証してきた.しかしこれまでの研究で,整定時間やオーバーシュートなどの制御性能が学習回数を増加さても必ずしも改善されない現象が観測されている.この問題を解決するため本研究では,単一学習機械による予測の変動成分を減少させる働きのあるバギングと,バギングを有効組み込むための一次差分の手法を導入した.最後に数値実結果を示し,本手法の有効性を検討した.


■ 2自由度IMCによる入力むだ時間系の追従性能限界

熊本大学・岡島 寛,大阪大学・浅井 徹,熊本大学・川路茂保

 制御対象が非最小位相系の場合には追従制御性能に限界が存在することが知られており,極,零点を用いた解析表現として追従性能の限界値が導かれている.これに加え,対象が入力むだ時間を有する場合には,むだ時間に起因する性能の劣化が生じる.他方,入力むだ時間を含む制御対象に有効な制御系として内部モデル制御系(IMC)やスミス法が広く用いられており,これらの系に対する性能の限界値を知ることは性能評価,設計の上で有用である.
 本論文では,IMCなどと等価な入出力関係をすべて表現でき,不安定な対象も扱える2自由度IMCを用いて入力むだ時間系の追従性能限界を閉形式解として導く.その際,広い参照信号のクラスに対する統一的な閉形式解を与える点に本論文の特徴がある.与えられた参照信号を時間区間で分割することによって実現可能な制御出力をパラメトライズし,その集合を利用した計算により追従偏差の2ノルムの下限値を解析的に導出する.また,数値例を用いてむだ時間長さと性能との関係の検証,従来導出されている単一フィードバック系の解析結果との比較を行う.


■ 初期角運動量を持つ2剛体宇宙ロボットに対する3次元姿勢準最適制御

大阪大学・甲斐健也,新日本製鐵・環 一穂

 本論文では,初期角運動量を持つ2剛体からなる宇宙ロボットの3次元姿勢制御問題を取り扱う.まず,初期角運動量を持つ場合のユニバーサルジョイントによって2剛体が結合された宇宙ロボットモデルである,「ユニバーサルジョイントモデル」を定式化し,いくつかの非線形制御論的特徴を解析した.つぎに,ドリフト項を持つ一般的な非線形アファインシステムとFourier基底で表現された制御入力に対して,無限次元最適制御問題と有限次元準最適制御問題の間にある関係を理論的に導出し,それに基づいた準最適制御アルゴリズムを導出した.そして,準最適制御アルゴリズムを初期角運動量を持つユニバーサルジョイントモデルに適用し,数値シミュレーションを行った.その結果,提案アルゴリズムによって,初期角運動量を持つユニバーサルジョイントモデルが,初期状態から目標時刻に目標状態へと遷移することが確認できた.


■ ブロック構成を用いたサンプリングレート変換カーネルの設計法

東京理科大学・相川直幸,サレジオ工業高等専門学校・森 幸男

 サンプリングレート変換は,サブバンドコーディングやA/D,D/A変換などで広く用いられる重要な技術の1つある.通常,サンプリングコンバーターにはナイキストフィルタやフィルタバンクが用いられる.しかし,これらは非常に多くのメモリを必要とし,サンプリングレートが変わるたびに再設計しなければならない.そこで本論文では,補間のためのブロック構成を用いたN次多項式に基づくフィルタの設計法を提案する.提案するカーネルは,カーネルを構成するために必要な固定係数の数を少なくすることができる.そして,従来のカーネルと同様に任意のサンプリングレートに対応することが可能であるという利点を持っている.さらに、実時間信号処理に適したFarrow構造を実現できる.



[ショート・ペーパー]

■ Dスケーリング近似を用いない低次元H∞制御器のμ設計

広島大学・小川将司,佐伯正美

 μ設計法ではD-スケーリング行列の有理関数近似が必要であり,このためDK反復法によるH∞評価関数の単調非増加性が満たされない場合がある.さらに,得られる制御器もきわめて高次である.われわれはすでに周波数領域における次数固定H∞制御器の数値最適化法を提案している.本論文では,これとμ解析によるD-スケーリングを求める方法を組み合わせることで,D-スケーリングの有理関数近似が不要な新しいDK反復法を提案する.これにより,評価関数の単調非増加性が保証される.数値実験では,H∞制御器の低次元化で得られた制御器を初期値とし提案法を適用することで,制御器の次数を大幅に下げることができた.この方法ではプラントの周波数応答をそのまま用いることができ,状態方程式は必ずしも必要でない.


 
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