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 論文集抄録
  

論文集抄録

〈Vol.46 No.9(2010年9月)〉

論 文 集 (定 価) (本体1,660円+税)

年間購読料 (会 員) 6,300円 (税込み)

  〃   (会員外) 8,820円 (税込み)


タイトル一覧

[論  文]

[ショート・ペーパー]


[論  文]

■ 荷重積分法に基づく白色光干渉信号の直接中心決定アルゴリズム

東京大学・佐藤世智,栗原 徹,安藤 繁

 本論文では白色光干渉インターフェログラムの包絡線ピークを含む全波形パラメータの直接厳密推定アルゴリズムを提案する.本アルゴリズムは信号処理の新しい方法である荷重積分法に基づいている.荷重積分法とは,着目する波形をそれが満たす微分方程式でモデル化し,波形パラメータと波形の有限区間荷重積分量との間に成り立つ代数方程式を解析的に導出し,これを解いて波形パラメータを決定する方法である.本手法をFFTを用いて実装し推定実験を行ったところ,包絡線ピーク位置をきわめて高い精度で推定できることを確認した.また,既存アルゴリズムとの比較実験も行い,本手法が推定精度・効率性・推定可能なレンジの各点で優れた手法であることが確認できた.


■ 高速ビデオ画像を用いた心筋梗塞モデルラットの心運動解析

広島大学・石井 抱,奥田寿和,聶 余満,高木 健,
   麻布大学・折戸謙介,
   東京農工大学・田中あかね,松田浩珍

 本論文では,虚血性心疾患の新薬開発における薬効評価系を最終的なターゲットとして,開胸した実験小動物の心運動を高フレームレートで三次元計測する心臓モーションキャプチャシステムを構築する.また虚血性心疾患に対する定量化指標として,三次元心動信号に基づき計算される心筋面積変化率を定義した上で,心筋梗塞モデルラットを用いた検証実験を通じ,虚血に伴う心筋組織の梗塞領域が時空間遷移する様子を定量化および可視化できることを示す.


■ 射影に基づく周波数領域でのシステム同定

京都大学.和田 尭,杉江俊治

 本論文は,対象システムの物理パラメータとの対応が明確で,種々の手法が整備されつつあることから近年注目されている連続時間系のシステム同定に関するものである.特に周波数領域での同定手法に焦点を当て,以下の結果を得ている.まず,既存の同定法を最適化問題の逐次解法という観点から整理し,補助変数法とGauss-Newton法の推定精度が同じであることの根拠を明確にした.つぎに,時系列データからの射影に基づく同定法を周波数領域に拡張し,推定パラメータの収束条件の観点から適切な更新ゲインの設計を行った.また,提案手法が,補助変数法を含む既存の種々の推定法の統一的な表現となることを示した.さらに,射影に基づく同定法において,収束性の良いものの1つが補助変数法と等価になることを明示した.最後に,数値例により補助変数法が収束性に優れていることを同定精度が同じであるGauss-Newton法と比較することにより確認した.


■ エージェントベースシミュレーションを用いた国際排出権取引市場における時系列データの分類法の提案

松江工業高等専門学校・仲田知弘,
     電気通信大学・高玉圭樹,渡辺成良

 本論文は,ABSを用いた国際排出権取引市場の不規則な経済時系列データを分類するために,非定常性を仮定してBAMを提案し,定常性を仮定したDFTと比較した.その目的は,分析モデルを使った時系列データを写像する分析方法の検討である.これらの分析結果から次の結果が得られた.(1)BAM および DFT は,不規則な時系列データを単純に図示する方法に比べ ABS 自体の差異を距離で示したことにより,波形変化の差を距離の差で示すことができた.(2)BAM と DFT は,非定常性と定常性による ABS の差を距離で分析することを可能にした.(3)BAM は,エージェントの削減目標の1%の違いを異なる座標で示すことを可能にした.


■ 運動安定化と運動探索をシームレスに統合可能なマルチリズミックオシレータモデルの提案−一次元ホッピングロボットの跳躍運動への適用−

富士電機ホールディングス・石田 怜,
     JSTさきがけ・手老篤史,
     東北大学/JST CREST・石黒章夫

 近年,実世界環境下でロボットに柔軟かつ適応的な運動パターンを生成するための制御モデルとしてCPG(Central Pattern Generator)が注目されている.これまで,さまざまなCPG制御モデル,特に外乱に対する運動安定化に着目したモデルが提案されてきた.一方,生物学的観点からCPGモデルを再考すると,運動安定化のみならず運動探索も重要な機能であると考えられる.ここで着目すべきは,運動安定化と運動探索は異なる時間スケールで実現されうる機能であるという点である.すなわち,運動安定化は実時間スケールで行われるが,一方で運動探索はより長い時間スケールで行われる機能である.したがって本研究の課題は,「異なる時間スケールを持つダイナミクスをいかに一つのCPG内部に共存させるか」に帰着される.
 本論文では,マルチリズム性という概念を活用することで2つの機能をシームレスに統合可能な新たなオシレータモデルを提案する.本研究では,手老らによって提案されたマルチリズミックなオシレータモデルをベースとして,位相と周波数の両者を自律的に調整可能なオシレータモデルを提案する.具体的事例として,一次元ホッピングロボットの跳躍運動を採り上げ,提案するモデルの妥当性を検証する.シミュレーション実験の結果,(i) 初期状態からの跳躍運動の獲得,(ii) 定常状態から強制的に外乱を与えた場合に対する定常状態への復帰(運動安定化),(iii) ロボットの力学的特性(質量,ばね特性など)の変化に応じた自律的な発振周波数の調整(運動探索)の実現が確認された.この結果は,提案するオシレータモデルが運動探索機能と運動安定化機能という異なる時間スケールを持つ機能を統合可能なモデルであることを示唆している.


■ アースドリル工法におけるN値判定法

成蹊大学・栗原陽介、明和機械・杉村泰弘、
     法政大学・渡辺嘉二郎、
     中田捷夫研究室・中田捷夫、法政大学・小林一行

 建築における杭は建物の礎であり,地震の多い日本においては高い信頼性が要求される.杭工法の1つであるアースドリル工法では,建物の安全性を担保するため,地盤の固さを表わすN値が50以上になるまで掘削し,杭を施工する.しかし,地層の変化が大きい土地では,標準貫入試験を行った地盤の強度と,掘削する地盤の強度が大きくずれていることがあり,実際にはN値が50未満であるにも関わらず,掘削を終了してしまうことがある.掘削中の地盤のN値が50以上になったかどうかを,掘削機のオペレータが知ることができれば,杭の信頼性の向上につながり,施工側だけでなく住人にとっても安全・安心の観点から有意義である.本論文では,アースドリル工法において,バケットを回転させるための油圧モータの圧力信号から,掘削中の地盤のN値が50以上になったかをサポートベクターマシーンを用いて判定するシステムを提案する.その結果,多項式カーネルの場合は87%,ガウシアンカーネルの場合は95%,シグモイドカーネルの場合は93%の判定率でN値が50以上であるかどうかを判定することが可能となった.


■ 仮想義手制御システムを利用した把持動作の評価

産業技術総合研究所・福田 修,卜 楠,上野直広

 本研究では,コンピュータベースの筋電義手のシミュレータを,操作性の評価ツールとして利用することを考える.そこで,筋電操作による把持作業を繰り返し実施しながら,操作履歴や筋電位信号を記録・解析するために,仮想的な義手制御環境をコンピュータ上に構築した.作業を繰り返していく中で,筋電操作や残された上肢による操作が,どのように変化するかを解析することで,選択した制御アルゴリズムの特徴を明らかにすることができ,新たな制御則の開発につなげることができるのではないかと考える.また,仮想システムとすることで,将来的に新たな制御則をソフトウェア上で試行錯誤できるのではないかと考える.本論文では,まず第一歩として,典型的な義手制御則であるON/OFF方式と比例制御方式をシステムの制御則に導入する.開発したシステムを検証するために,5名の被験者を対象に把握動作を実施させた結果,提案システムの有効性を確認することができた.


■ 圧延荷重により同定された上下ロールの偏芯量を用いるロール偏芯制御

東芝三菱電機産業システム・今成宏幸,越沼一佳

 ロール偏芯は,圧延機のロール,特に支持ロール(BUR: Back Up Roll)の構造に由来する周期的な外乱であり,製品板厚精度に悪影響を与える.ロール偏芯量はセンサで直接測定できないため,従来から,板厚測定値や圧延荷重測定値からロール偏芯量を同定し制御する方法が提案,実施されている.しかしながら,上下BUR 径差が大きい場合,ビートが発生するため,ロール偏芯制御の性能が劣化しやすい.またロール偏芯の同定のために,最低BUR 1回転を要するので,圧延材の最先端から制御することはできなかった.このため,上下BUR によるロール偏芯量をそれぞれ同定し,径差が大きい場合でも,最先端から良好に制御できる方法を開発した.本方法は,繰返し制御の考えを利用するとともに,上下BUR に対応するコントローラを設け,圧延スタンドごとに単一の値としてしか測定できない圧延荷重を上下に分離し,上下BUR の偏芯量として同定し,その結果に基づいて,ロールギャップを制御するものである.本論文では,その方法を紹介するとともに,シミュレーションでの確認結果,および実機に適用した結果を示す.



[ショート・ペーパー]

■ 酸素化ヘモグロビン濃度による運転者の眠気評価

青山学院大学・石川裕一,浅野裕俊,
     坂本直樹,井出英人

 自動車保有台数の増加に伴い,交通事故の発生件数が増加している.交通安全白書によると脇見や居眠り運転の不注意型の事故は全体の3割以上を占めている.原因のひとつとして長時間運転による一過性覚醒低下が考えられることから,運転者が眠気を自覚する前に警告を促すBCIシステムの開発が盛んに行われている.一般的に用いられているEEGは自身での装置装着が難しく,装着時に補助者を必要とする.また,体動による制限も厳しく,被験者の精神的・物理的負荷による負担が懸念されるため,BMIによる眠気防止システムとしての実用には困難と考えられる.そこで,本研究では交通事故抑止のための新しい眠気防止システムの開発を目的として,機能的近赤外分光法を用いた運転者の眠気評価を行った.fNIRSによる測定はEEG等の他の脳活動計測法に比べて体動制限が少なく,より自然な状態で実験が可能であることから実用性は高い.実験の結果,覚醒低下時における脳活動をfNIRSにより評価することができ,BMIにおける新しい眠気防止システム開発の可能性を示唆することができた.


 
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