SICE 社団法人 計測自動制御学会
Top
新着情報
学会案内
入会案内
部門
支部
学会活動
学科行事
お知らせ
会誌・論文誌・出版物
学会誌
論文集・バックナンバー
英語論文集
産業論文集
産業論文抄録
新 英文論文集 JCMSI
JCMSI・バックナンバー
学術図書のご案内
残部資料頒布のご案内
リンク
その他
サイトマップ お問い合わせ
 会誌・論文誌・出版物
 論文集抄録
  

論文集抄録

〈Vol.48 No.3(2012年3月)〉

論 文 集 (定 価) (本体1,660円+税)

年間購読料 (会 員) 6,300円 (税込み)

  〃   (会員外) 8,820円 (税込み)


タイトル一覧

[論  文]


[論  文]

■ 初期離散化幅の調整を伴わないカオス最適化手法

千葉大学・岡本 卓,平田 廣則

 カオス最適化手法は,無制約最適化問題を解くための大域的最適化手法の1つで,多峰性の目的関数を有する多変数最適化問題に対して,その有用性が確認されている.しかし,その適用に際しては,問題ごとに,初期離散化幅とよばれるパラメータを調整する必要がある.本論文では,初期離散化幅の調整を伴わないカオス最適化手法を提案する.具体的には,勾配ベクトルから方向ベクトルを算出し,その方向への移動量を,探索過程が大域的探索から局所的探索になるように決定しながら探索を行う手法を提案する.さらに,探索過程で得られた勾配の情報から,適切な初期離散化幅を推定した上で探索を行う手法を提案する.提案手法の有効性を数値実験を通して従来法と比較しながら確認する.


■ 振幅−時間変換技術による極微小振幅変化計測

三井造船、大阪大学・弓井 孝佳,大阪大学、三井造船・木村 憲明

 信号自体の強度は十分あるが,その中の僅かな変化を検知したい場合に有効な高感度化の技術として振幅−時間変換(ATT)技術を提案する.このような計測の例としては,赤外吸収分光やマイクロ波信号の微小減衰量測定などがある.このATT技術は,広いダイナミックレンジと高いS/N比を両立させる検出機構である.本論文では,高周波信号の微小減衰量を計測するためにATT技術を用いる.初めに,ATTの原理について述べる.次に,電圧制御可変減衰器を用いた微小減衰量測定装置および解析方法について述べる.最後に実験結果および従来技術との比較について述べる.この結果,約200万分の1の振幅減衰まで計測できることを確認した.また14bitA/Dコンバータと比較することで,200倍の感度の向上が実現できていることがわかった.


■ 連続体描像に基づくロボット群の集団運動の解析

広島国際大学・伊丹哲郎

 ロボット群の連続体描像による記述方法を開発する.その具体例として,ロボット群による物体の搬送システムをとる.本システムにおいてロボットには,互いの存在と搬送すべき物体の存在を認識するためのセンサが装備されない.ロボットはポテンシャル外場の下で,互いに・また物体と無目的に衝突する.物体にはこのポテンシャル場が作用しないが,物体位置のポテンシャル場へのフィードバックにより,物体は間接的に搬送される.本論文では制御方式の解析に先立つステップとして,該システムの動特性を解析した.このためにロボット群の連続体描像によるな記述を適用し,次の結果を得た.
1)物体はポテンシャル外場の負勾配に沿って運動する,
2)その理由が,ロボットの個数密度の高い領域から低密度側へのロボットから物体への衝突力の差による.
 これらの結果は,ロボットと物体をいずれも2次元の円板とした衝突過程に基づく直接シミュレーションによって確認された.また連続体力学的な記述において,物体が動き始めるまでのムダ時間を再現する課題があることが明確になった.


■ 呼吸波計測に基づく小型魚類遊泳行動の非接触・非拘束計測

広島大学・来山 茂央,曽 智,呉工業高等専門学校・平野 旭,
広島大学・辻 敏夫・金沢大学・滝口 昇,大竹 久夫

 呼吸波とは魚の呼吸状態を反映した生体電気信号である.魚の呼吸は周囲の環境の変化に応じて自律神経系の働きにより調節されるため,水質の状態を評価するための指標の一つとして注目されている.魚を用いた水質検査装置(バイオアッセイシステム)では,カメラを用いて計測される魚の遊泳行動もよく用いられる.しかしながら,従来のバイオアッセイシステムではどちらか一方しか計測することができなかった.また,カメラを用いた行動解析では環境光を適切に調整・維持する必要があり,環境光そのものが魚に対する刺激になってしまう可能性があった.
 そこで本論文では,小型魚類を対象として呼吸波計測と遊泳行動解析を同時に実行可能なシステムを提案する.呼吸波は複数の電極を用いて非接触かつ非拘束の状態で計測し,魚の位置と速度は計測水槽内に広がる呼吸波のパワースペクトル分布から推定する.そのため,光源が必要なカメラシステムを用いる必要がない.提案法とカメラで計測した位置を比較した結果,その差は魚の体長以内におさまっており,速度は強い相関(0.906)を示すことを確認した.このように,提案法は呼吸波を計測できるだけでなく,カメラ画像と同程度の精度で遊泳行動解析を実行できることを明らかにした.


■ 磁気データセットを用いた指文字入力インタフェース「Fingual」の開発

大阪大学・福島大志,宮崎文夫,信州大学・西川 敦

 我々は無線文字入力インタフェース「Fingual」を開発した.Fingualは安価で小型の磁気センサを取り付けたグローブを装着し,手話の一種である指文字を使って文字入力を行うことができる.提案手法は磁場とそれに対応する文字情報から成る磁気データセットを用いている.本論文では磁気データセットを用いた二つの認識手法について述べている.一つ目はユークリッドノルムを用いた手法であり,二つ目はそれに加えてガウス関数を重み関数として利用した手法である.それから,我々は提案手法の認識率を検証する為に二種類の実験を行った.一つは被験者本人が作成した磁気データセットを用いた場合の実験であり,もう一つは被験者と異なる人物が作成した磁気データセットを用いた場合の実験である.結果として,被験者本人の磁気データセットを用いた方が認識率は高かったものの,いずれの場合も提案手法は高い認識率を示した.
 Fingualは事前に各文字に対応する磁気データセットを用意する必要があるものの,特筆すべきは磁場の逆解析を行うなどの複雑な計算を行わなくてよいところにある.本論文では認識率の検証実験の結果を示すとともに,提案システム「Fingual」の有用性について述べている.


■ ピストンシリンダー駆動機構を用いた空気枕のオープンループ型インピーダンス調整

広島市立大学・山本祥寛,三倉将太,岩城 敏,
NTT研究所・永徳真一郎,中村幸博,茂木 学,武藤伸洋

 快眠を実現することを念頭に、高さと感触(インピーダンス)を独立に設定可能な能動型空気枕(IAAP)を提案する。ピストンシリンダー駆動機構を採用することで枕部の軽量化と低騒音を実現した。ハードウエアの構成上、作用点において力と変位の両者が直接測定不可能という特殊な前提条件のために、制御系は必然的にオープンループ構造となる。部分的なフィードバック制御とユーザの手動調整を組み合わせた簡易で実用的なインピーダンス調整法を提案する。システム単体動作実験により提案調整手法の基本的妥当性と共にその性能限界を示した。また複数の被験者を用いて、IAAPと市販受動枕の比較評価実験を行ったところ、ヒトの頭部で知覚・判別し得る程度において、似たような特性を再現することが可能であると実証された。


■ リフトオフに頑強な埋設物位置センサの設計ー定形条物体のリアルタイム位置検出と追従ー

名城大学・芹澤怜史,黒宮裕介,安藤大樹,大道武生

 ウォータージェット(WJ)ノズルを搭載した天井解体ロボットは軽量鉄骨(LGS)下でWJノズルの走査倣いをするために,LGSの精密な計測が必要になった.問題を解決するために,磁力によって回転可能な二つの磁石を有した機構を設計し,磁力の垂直成分と水平成分の両方をLGS検出に用いる.垂直磁力は走査初期位置のLGS中心位置をオフラインに検出するために利用する(プロファイルセンサ).一方,水平磁力は二つの磁石の変異を用いてリアルタイムにLGS中心位置をラフに検出する(リアルタイムセンサ).そして,センシング条件とその限界の明確化のためにLGS検出,走査を行った.この実験により,二つのセンシング手法はLGSの高精度検出に有効であること,および提案手法は変動リフトオフ下のロボットシステムに有効であることを示した.また,プロファイルセンサは走査初期位置の検出が安定走査に寄与することを確認した.


copyright © 2012 公益社団法人 計測自動制御学会