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 論文集抄録
  

論文集抄録

〈Vol.48 No.5(2012年5月)〉

論 文 集 (定 価) (本体1,660円+税)

年間購読料 (会 員) 6,300円 (税込み)

  〃   (会員外) 8,820円 (税込み)


タイトル一覧

[論  文]


[論  文]

■ 複雑ネットワークを用いた複数競合サービスの普及に関する研究―消費者効用の非均質性の影響―

神戸大学・藤井 信忠,貝原 俊也,吉川 智哉

 日本経済に占めるサービス業の割合は年々増加しており,サービス業はますます重要な産業となりつつある.サービスは無形であり消費者は利用前にその品質を確認する事ができない為,市場への普及において利用者の口コミなどが大きな影響を持つ.またサービスを利用した場合,サービス提供者の技術などによりその品質は一定でない.
 そこで本稿では,サービスの特性による消費者効用の非均質性と消費者間の情報伝達に着目し,複雑ネットワークによって消費者のつながりを表現した市場モデルを用いて,複数の競合する新サービスが市場へ普及する際に消費者効用の非均質性の有無やその大小が普及に与える影響について検証した.実験結果から,消費者効用の非均質性による影響として,非均質性が大きいサービスほど,競合相手に勝つことは出来るが,ネットワーク全体への普及率は低下してしまうことが明らかになった.


■ 偏微分方程式系に対する仮想Lagrangian 構成法

理化学研究所・西田豪,東京工業大学・山北昌毅

 本論文では,変分計算からは導けない偏微分方程式系に対して,仮想的なLagrangian を計算する手法を提案する.Euler-Lagrange 方程式において,Lagrangian は,垂直星状と呼ばれるある位相幾何学的な仮定の下で,変分微分の双対な作用素であるホモトピー作用素によって再構成が可能であることが知られている.しかし,制御系は,制御器の動力学特性と外力によって,常にEuler-Lagrange方程式であるとは限らない.最初,変分問題を統一的に表わす事が出来るジェット束と呼ばれる概念を導入する.そして,零境界条件を持つ垂直星状領域上の系が,2 つの系に分解できる事を示す.即ち,その1つが,完全部分系と呼ぶ仮想Lagrangian より定まる部分系であり,もう1つが,双対完全部分系と呼ぶ変分計算により導けない部分系である.次に,完全化制御と呼ぶ,与えられた系を完全系に変化させるような制御入力を明らかにする.


■ モアレドップラー効果:単一フレーム奥行き方向速度分布計測への適用

東京大学・持田康弘,安藤 繁

 奥行き方向の運動に対する新たな速度分布計測法を提案する.
 まず,時間的に振動し空間的に並進する照明と移動体表面の明暗変化との関係に着眼し,この際に生じる周波数変化をモアレドップラー効果として導入する.続いて,格子パターン投影における定式化を行い,モアレドップラー効果が法線方向速度分布計測に適用可能であることを示す.
次の課題は周波数シフトの面的同時計測であるが,本論文の後半で時間相関イメージセンサの複素相関撮像機能と,近年見いだされた正弦波周波数厳密推定法による1画素1フレームの奥行き方向速度計測の実現およびその実験結果について報告する.


■ 動的ロードセルの問題点の解明と動的荷重の求め方

東海大学・近藤 博,本間重雄,通信土木コンサルタント・木村修一

・試作した,大きさ(容量)の異なる2種のコラムタイプのロードセルを,動的剛性の異なる2種の設置台に設置し,重錘を衝突させる載荷実験を行った.
・その結果,動的剛性の大きな設置台に,大きなロードセルを設置したときの出力値が最も大きく,動的剛性の小きな設置台に,小きなロードセルを設置したときの出力値が最も小きくなった.
・この実験結果を,重錘の衝突により生じる応力波が,重錘,ロードセル,および設置台の3者内部で多重反射するとした,インピーダンス法を採用した数値計算で再現できることを示した.
・さらに,この計算手法で,ロードセル寸法を大きくして,シミュレーションを行ったところ,ロードセルの出力値は収束した.この収束値が動的荷重となる.
・よって,同一条件で,ロードセルの大きさを変化させて実験し,その測定値が一致すれば,その値が求める動的荷重となる.測定値が一致しないときは,さらに大きなロードセルを用いて実験し,回帰により求めるべき動的荷重が推定できることになる.


■ 最小読み取りを0.1 μgに改良した100 g質量比較器の性能評価

産業技術総合研究所・植木正明,孫 建新,上田和永

 100 g以下の質量標準をより高度に設定するため,100 g質量比較器の改良を行った.
ここでは,比較器の最小読み取りを既製品の1 μgから0.1 μgに向上すると共に,ステンレス鋼製の気密容器内に比較器を収納して測定環境の高安定化を図った.これらの改良の効果を確認するため,容器の開放時と密閉時とで公称100 g分銅の質量比較をABA法によって実施した.
 この結果,質量差測定の標準偏差は,開放時には平均0.97 μgであったが,密閉時には0.22 μgと改善した.
 また,質量比較器の直線性を検証した結果,10 g,20 g,30 g,50 g,70 gおよび100 gの6種の評価質量において非直線性の誤差は0.28 μg以下であり,本質量比較器がサブマイクログラム領域の測定能力を有していることを確認した.


■ 医薬品製造にかかわるコンピュータ化システム向けのFMEAを用いたリスクマネジメント手法の提案

山梨大学・高橋正和

 GAMP 5に基づいて,医薬品製造にかかわるコンピュータ化システム(DMCS)を開発する場合,開発段階毎にリスク評価と対策(以降,併せてリスクマネジメント)を行い,DMCSを安全化することが要求される.しかし,実際のリスクマネジメントでは,@担当者により結果に差異がある,A実施手順が不明確,Bリスクマネジメント間での連携が不十分,といった問題が生じている.これらの問題を解決するために,提案手法では,既存のDMCSの分析を行い,リスクマネジメントの実施に必要となる故障モード,システムへの影響,対策の標準的な組み合わせを,故障対策一覧表として明らかにした.さらに,開発段階で実施すべきリスクマネジメントの作業を規定し,その作業の情報をデータベースで一元的に管理できるようにした.これらの方法を,これから開発を行うDMCSに適用することで,上記の問題を解決できるようにした.提案手法をDMCSの開発に適用した結果,担当者の経験によらずに同等の結果を得ることができるようになり,見落とされていた項目をみつけることができた.さらに,データベースを用いてリスクマネジメント情報を追跡可能としたことで,各段階で実施したリスクマネジメント作業の対応関係を明確にすることができるようになった.以上の結果,安全なDMCSを開発できるようになった.


■ 対象物変形に伴う流体力変動を考慮した非接触剛性センシング

東京女子医科大学・田中 信行,大阪大学・東森 充,金子 真

 非接触剛性センシングにおいて,流体噴流を用いて対象物に印加力を加える場合,対象物が実際に受ける力は対象物の形状に応じて変化する.したがって柔らかい対象物の剛性パラメータを推定する場合,対象物の変形度合を計測しそれに応じて印加力を見積る必要がある.本論文では事前にキャリブレーションマップを構築しておき対象物の変形形状に応じて印加力を見積り,その修正印加力を用いて対象物の剛性パラメータを推定する方法を提案しヒト肌の剛性パラメータ推定に応用している.


 
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