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 論文集抄録
  

論文集抄録

〈Vol.49 No.5(2013年5月)〉

論 文 集 (定 価) (本体1,660円+税)

年間購読料 (会 員) 6,300円 (税込み)

  〃   (会員外) 8,820円 (税込み)


タイトル一覧

[論  文]


[論  文]

■ 時間軸状態制御形にもとづくChained System の安定化条件

東洋大学・山川聡子

 Chained system に対する制御法の1 つに時間軸状態制御形にもとづいた制御法がある.この手法は線形制御理論を比較的容易に適用できる利点がある.しかし,入力の切替を必要とするため,切替を含む制御系としての安定性の議論が必要である.本稿では,時間軸状態制御形にもとづいてchained system を安定化するための条件を共通リアプノフ関数を用いて論じた.具体的にリアプノフ関数を示すことで,時間軸となる状態の増減が切替わるタイミングにかかわらずに安定化するための必要十分条件は,基本となる連続時間系が漸近安定であることを示した.この結果,従来のようにLMI の可解問題に持ち込むことなく,連続時間系の線形制御理論にもとづいて安定性を保証するフィードバックゲインを設計できるようになる.


■ 障害物検出のためのワイドレンジ超音波距離センサ

山梨大学・塩澤 奨,丹沢 勉,清弘 昭智

 超音波センサは小型,軽量,低コスト,構造が簡単であり,また,レーザレンジセンサでは検出しにくい透明なガラス戸などの検出が可能であることから,自律移動ロボットなどの周囲環境認識や障害物の検出・測距センサとして広く利用されている.
 特に屋外自律移動ロボットで用いられる超音波センサは耐雑音性と広い測距範囲が必要となる.しかし,従来の超音波センサでは,遠方の対象物を検出しようとすると送信波が対象物に反射せず,直接受信器に入ってしまうため,直接波の影響が無視できなくなり,センサ直近の障害物を検出できなかった.また,ロボットに超音波センサを搭載する際,設置条件から小型化が望まれるため物理的に直接波を取り除くことは困難である.
 そのため,ロボットを安全にかつ高い信頼性で運用するために非常に重要である近距離において,最も危険な障害物を感知できない領域があった.本論では,受信信号と送信信号とで相互相関演算を用いる超音波センサを基に,より安全にかつ信頼性の高い支援ロボットを実現するために必要不可欠である接触直前の対象物から遠方のランドマークまでを単一のセンサで測距可能なワイドレンジ超音波センサを提案する.


■ リアルタイム超音波屋内測位システムにおけるスペクトル拡散変調による計測性能の向上

創価大学・鈴木 彰真,伊与田 健敏

 本論文では,主にロボットの自己位置認識や道案内を対象とした,SS(スペクトル拡散)超音波を用いたリアルタイム測位システムにおける,誤差や計測可能範囲の変化について検討している.
 これまで多くの測位システムが提案されているが,中でも超音波を用いたものは低コストで高い精度のシステムを構築できる.
 一方,超音波測位システムは一般にノイズに弱く,オンオフ変調によるパルスの検出を行う時分割方式のため,送信器の増加に応じて計測時間が増加する.
そのため,筆者らは汎用の狭帯域のトランスデューサといった既存のオンオフ変調によるシステムをそのまま用いて,SS変調によるリアルタイム測位を可能とした.
 本論文では,同一環境下内で自由に既存のオンオフ変調と提案手法であるSS変調を切り替えられるシステムをはじめて構築し,送・受信器間の角度と距離を変化させた測距実験と4m四方の環境における測位実験を行い,変調前後のこれらの特性変動を検討した.
 実験の結果,SS変調はオンオフ変調に比べて測位誤差が大幅に向上し,距離計測可能範囲も増加したことから,本手法の有用性が示された.


■ 最適制御の逆問題を応用した分散型PID制御系設計法

熊本大学・國松禎明,石飛光章,大阪大学・藤井隆雄

 本論文では,最適制御の逆問題とILQ設計法で得られる制御器の構造に着目して,分散制御型PID制御系設計法を提案する.まず,相対次数2以下で,正則ブロック対角な非干渉化行列を持つシステムの場合には,所望の応答特性を持つ最適分散型PID制御器を設計できることを示す.つぎに,非干渉化行列がブロック対角ではない場合でも,本研究における分散型PID制御器が安定となるための必要十分条件を導出するとともに,非干渉化された所望の応答特性が得られることを示す.最後に,数値例で提案手法の有効性を示す.


■ 分散型電力ネットワークのマルチキャスト制御

京都大学・竹上 智己,東 俊一,杉江 俊治

 本論文では,複数の分散電源と需要点から構成される分散型電力ネットワークを対象に,分散的な手法によってネットワーク全体の需給バランスを一致させるという問題を考え,これに対し,「マルチキャスト制御」と呼ばれる新しい手法を提案した.最初に,分散型電力ネットワークをマルチキャスト制御システムとして捉え,このシステムの下で問題の定式化を行った.つぎに,この問題の解となるような,需要点のマルチキャスト制御器と,確率要素を用いた電源のローカル制御器を提案した.さらに,提案制御器が,システム全体の需給バランスの最適化を確率1で実現することを証明した.最後に,提案手法の有効性を,シミュレーションによって確認した.


■ 周期入力制御によるホッピングロボットの跳躍高制御

釧路工業高等専門学校・梶原秀一

 本論文では,周期入力制御によりホッピングロボットの跳躍高を制御する問題を取り上げる.これまでに我々は,周期入力の振幅や位相を変調することにより,システムのエネルギを制御する周期入力制御を提案し,さまざまなシステムの周期運動を制御してきた.しかし,それらのシステムの運動は正弦的であり,周期も大きく変化しなかった.そこで本研究では,周期運動が非正弦的でその周期も大きく変化するホッピングロボットに対して,周期入力制御により跳躍高を制御することを検討した.本論文ではまずロボットに周期入力を加えたときのエネルギ変化率を解析することにより,エネルギを制御できるタイミングを解析する.次に,周期入力制御により,跳躍高を制御するためのエネルギ制御系を設計する.最後に設計した制御系の有効性を実機で検証した結果について示す.


■ マルチエージェントシステムに対する分散制御の最適性

大阪大学・勝浦大貴,藤崎泰正

本論文では,同一のダイナミクスをもつエージェント群が相互干渉するシステムを対象に,近傍エージェント間での情報交換を許す分散制御則が適当な二次形式評価関数に対する最適レギュレータとなる条件を考察している.ここでは,エージェント間の干渉および情報交換はともに双方向的であるとしている.まず,各エージェントのダイナミクスが一次系であるとし,マルチエージェントシステムを安定化する分散制御ゲインの必要十分条件を導出している.そして,分散制御ゲインの大きさを適切に選べば,適当な二次形式評価関数を最小化する最適レギュレータとなることを明らかにしている.また,以上により得られた安定化ゲインのクラスと最適ゲインのクラスを比較し,制御の容易さを,エージェント間の干渉および情報交換のネットワークのグラフ構造により特徴付けている.さらに,これらの結果を,各エージェントのダイナミクスが高次系である場合に拡張している.


■ k近傍法に基づく予測を用いた人物追跡のための複数エージェントの経路計画法

大阪大学・武村紀子,中村 泰,石黒 浩

 本稿では人物追跡のための複数エージェントの経路計画問題について扱う.人物の詳細情報を取得するためにはエージェントが全ての人物の近くに存在するのが望ましい.そこで,本研究では人物の存在密度とエージェントの視野強度の形状が類似するようにエージェントの経路を計画する.また,実環境での複雑な人物の移動に対処するため,動的k 近傍法を用いて人物の移動予測を行う.経路計画の長さは現在の人物移動予測と前回の予測との間の一貫性に基づいて決める.京都駅で撮影した実際の人物移動に対して,本手法を用いて経路計画を行った結果,実環境での人物移動に対しても高精度な追跡が可能であることが示せた.


■ マルチオブジェクトおよび環境雑音による誤動作を防ぐ超音波センサの送信信号の解析

山梨大学・塩澤 奨,丹沢 勉,清弘昭智,

 相互相関演算を用いた超音波センサは,複数のパルスから構成されたパターンを送信信号として送波し,送信信号と受信信号との間で相互相関演算を行うものである.そのため,雑音の影響を受けにくいことから屋外環境や複数の超音波センサを使用する自律型移動ロボットの外界センサとして期待されている.この送信信号において,これまでは送信信号を構成するパルス数に着目し議論され,雑音環境下における送信信号の周期を変えた際の影響について十分言及されていなかった.
 本論では,これまでに提案されている送信信号の拘束条件だけでは複数対象物・雑音環境下では誤検出が生じたことを示し,新たに高い堅牢性を確保できる送信信号を生成するときに生じるパルス数と周期との間の拘束条件を提案する.さらに,実際の屋外環境に即した条件下でシミュレーションを行いその有効性を示す.


■ 同時事後確率推定ニューラルネットを用いた双腕動作識別法

広島大学・島 圭介,平松侑樹,芝軒太郎,辻 敏夫

 本論文では,双腕を用いた多動作の自動識別の実現を目指し,各腕の動作を個別に推定して組み合わせることが可能な新しい双腕動作識別法を提案する.提案法は各腕から計測した生体信号を2つの確率ニューラルネットに別々に入力し,各識別対象クラスに対する事後確率を算出する.そして出力された事後確率から各腕の動きの従属性を考慮して双腕動作の同時事後確率を推定する.これにより,各腕の動作の学習のみで,それらを組み合わせて表現できる全ての双腕動作が識別可能となる.実験では各腕3動作のみを学習させることによって未学習の双腕動作を含む全15動作を99.64±0.56 [%]の精度で識別できることを明らかにし,GloveBox制御への応用可能性を示した.


■ 遍在するランダムネスにもとづく連結道路領域のフラクタル同定

大阪工業大学・亀島 鉱二

 複雑な自然情景中の道路パタ−ンを同定する確率的アルゴリズムを導いた.
まず,遠近感を誘発する線形スケ−ル変移則とノイズ画像のランダム分布を照合することにより,総称的路面ー境界構造のもとで道路領域を覆う未知アトラクターの不変測度を推定した.ついで,不変測度の拡がりを線形スケール変移則に関する破綻画素で制限することにより,未知アトラクターを生成する自己相似過程をデザインした.このデザインプロセスの整合性は情景画像上での不変特徴抽出ならびに可視化を通して検証可能である.最後に,さまざまな情景画像を用いた実験を通して同定アルゴリズムの妥当性を確かめた.


 
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