計測と制御 2001年11月号

VOL.40 2001

特集「計測と制御におけるシミュレーション技術」

プログラム内蔵型という現在の計算機のもとになるアイデアを提案したフォンノイマンは,流体の数値計算への適用を念頭に置いていたといわれている.ハードウェア/ソフトウェアの進歩により,多くの工学的問題が計算機によって直接解けるようになり実験に比するものとして計算力学等の数値シミュレーションを基礎とした学問が生まれている.   その一方で,計測工学もその横断的性格から学問体系としての成熟の遅れはあるものの,コアとなる測定工学/計測技術の発展とともにその適用分野を感性/評価といった数値であらわすことができない領域にまで対象を広げようとしようとしている.  そのコアの部分の計測分野では,量の標準/物理モデル/センサ情報から計測結果を求めるという枠組となっている.測定データを得る過程が物理的な因果関係にしたがっており,データから何らかの情報としての計測結果を抽出する過程はまさにこの因果関係を逆転するものであるという認識は,多くの計測技術者の共有するものとなっている.  したがって,現代の高度に発展した計測システムにおいては,物理的な因果関係をモデルというかたちで内包する必要があり,計測とシミュレーションの接点もそこにあると考えることができる.モデル/モデリングということでは,システム同定,オブザーバといった制御分野とも密接な関係が生じる.  本ミニ特集では,多彩なシミュレーション技術を概観するということではなく,計測技術においてシミュレーションが果たす役割,という観点から記事を構成する.

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