計測と制御 2001年12月号

VOL.40 2001

特集「システムLSIが拓く計測制御応用」

半導体加工技術の進展に伴って,数百万を越えるトランジスタが1つのチップに搭載可能となってきている.それに伴い,システムの主要な部分を1つのチップ上に搭載することが可能になってきた.このようなシステムLSIは,現在のコンピュータの性能をはるかにこえる知能処理を可能とし,計測制御応用の範囲を大きく広げ,次世代の新しい産業を芽生えさせる原動力となる.例としては,運転中の危険状態を自律的に検出する高安全自動車システムに代表される高安全知能システム,家庭用サービスロボット,侵入者を自律的に検出する危険監視システム,医療システムのための3次元画像処理など,枚挙にいとまがない.  このような観点から,計測自動制御学会においても,1999年および2000年学術講演会で知能集積システムとリアルワールド応用を結びつけたオーガナイズドセッションが初めて企画されたという実績もあり,特にsystem integrationなど応用面に重大な影響を与えると思われる.  システムLSIの開発のためには,種々の階層における要素技術の統合をする必要があり,従来の性能限界にブレークスルーを与える革新的要素技術の開発が重要となる.特に,システム応用レベルの要素技術の開発が極めて重要であるにもかかわらず,その系統的手法はまだ確立されていない.システム応用レベルは学際的色彩が強く,人間性やモラル,産業としての重要性,知能性を実現しLSI化に適合するアルゴリズムなどの種々の重要な課題が存在する.  このような背景をふまえ,本特集では,ハードウェアとソフトウェアの融合も含め,システムLSIの最近の研究の解説および展望を行う.

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