計測と制御 2002年3月号

VOL.41 2002

ミニ特集「都市道路網の交通流制御システム」

 近年,自動車交通は社会経済活動や産業活動をはじめ日常生活においても人や物の移動手段として重要な役割を担っており,これからもその重要性は継続するものと考えられる.一方,自動車保有台数の増加,高齢者や若年者あるいは女性運転者など自動車利用者層の拡大と,それに伴う自動車利用の多様化を背景として,交通事故の形態は複雑多岐化し発生件数は顕著な増加傾向を呈している.更に都市部を中心とした慢性的な交通渋滞やこれに伴う交通公害の問題など,自動車交通を取り巻く問題はますます深刻化している.  このような自動車交通問題に対してさまざまな対策が検討され施行されているが,実効のある抜本的な対策が見出せないのが現状である.自動車交通の安全性と円滑性を確保した上でなおこれによる交通公害を防止するための施策の難しさである.  このような中で,最近におけるIT革命の交通版とも言えるITS(高度道路交通システム)の開発をめぐる活動が活発化している.いずれも,安全で円滑さらには環境にやさしい道路交通の実現が目標であり,最先端の情報通信技術を駆使して人と道路と車とを一体のシステムとして構築し,交通管理の最適化,道路管理の効率化,安全運転の支援等を図ることにより,安全性,輸送効率,快適性の飛躍的な向上を実現するとともに,渋滞の軽減等の交通の円滑化を通し,環境保全に大きく寄与する等,高度情報通信社会を道路交通分野において具体化しようとする研究開発等の活動であり,その完成と実用化が待ち遠しいところである.  このような背景を踏まえ,本ミニ特集では,ITS(高度道路交通システム)の最も基盤となるテーマである都市内道路網の交通流制御システムについて,交通流のモデリングと制御の観点から解説する.

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