計測と制御 2002年7月号

VOL.41 2002

特集「情報通信を支える適応信号処理と制御」

 21世紀はIT(情報技術)の時代と言われている.その先陣となって目覚ましい発展を遂げているのがインターネットや携帯電話に代表される情報通信である.情報通信の理想は,いつでも・どこでも・誰とでも,送りたい情報・受けたい情報が当たり前にやり取りできて,それを支えているネッワークの存在がユーザの意識に上らないことが理想といわれている.一方で,ユーザ数の爆発的増加や伝送情報の高速・広帯域化に伴う通信需要,移動通信に見られる劣悪な伝搬環境など,理想の実現を阻む要因もきわめて多い.ユーザからは見えない舞台裏にはこの理想実現を支える技術の総力が結集されている.その中でも「適応信号処理技術」と「システム制御理論」は重要な役割を担っている.そこで,これらの理論応用や技術の今後の動向を紹介するために「情報通信を支える適応信号処理と制御」を特集する.適応信号処理技術については非常に幅広く多岐にわたるので,適応制御技術が重要な役割を果たしているワイヤレス情報通信に的を絞る.  特集では,まず全体を「環境適応通信」として総括した総論の後,21世紀でさらなる発展が期待される3つの情報通信システム:インターネット・移動通信・ソフトウェア無線の技術基盤と将来の展望について総括的な解説を行う.つぎに,情報通信の高度化や通信ネットワークを利用した遠隔制御等を支えるシステム制御に関する解説を5件,後半は,ワイヤレス情報通信の適応制御技術の中で,ホットな話題についての解説を4件とり上げる.いずれもわかりやすい解説を心がける.また,この特集によって,適応信号処理・システム制御が個々の分野を超えて広く共通の技術基盤であることを,読者に認識していただく.

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