ミニ特集「複合現実」「拡張現実」の概念が提案されたのは,人工現実の考え方が注目されるようになって間もない1993年ごろのことである.コロンビア大学のSteven Feinerが仮想空間の映像をSee-through型HMDにより現実と重畳することで現実の物体に情報を付与する実験を行い,この考え方をAugemented Realityと呼んだ.人工現実の概念の普及と技術的浸透にともない,最近ではさまざまな局面で現実と仮想との区別があいまいになってきていることが指摘されているが,このような状況のなかで「拡張現実」技術は,仮想世界と現実世界を融合させる技術,すなわち「複合現実」(Mixed Reality)へと進化を遂げつつある.また,計算機の小型高性能化やセンサ技術の進歩により,ウェアラブルコンピュータの分野へと広がりをもつなど,研究室での実験から日常生活での実用に向けて大きく発展しつつある.本ミニ特集では「複合現実」にかかわる研究開発の先端的な部分を取り上げることで,読者がこの研究領域を認識しその成果を活用するための手がかりを与えることを目標とする. |
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