計測と制御 2007年8月号

VOL. 46, 2007

特集「建物の安全性のモニタリング技術」

本企画では,人間が日常的に住んだり働いたりする建物の安全性を支えるモニタリングの技術の最新動向を概観し,より高い安全性の追求に資することを目的とする.建物内にいる時間はわれわれの生活のかなりの部分を占めており,建物内ではわれわれは無条件に安全であることを想定している.しかし近年とみに,鉄筋コンクリート(RC)建築物の構造的欠陥や劣化,有害薬品やアスベストなどによる居住環境の汚染,ガス洩れや火災への対策の不備,昇降機など付属機器の危険な動作など,安全であるはずの建物が実はそうでないと思い知らされるような事件や事故が頻発している.安全には,万全を期して当初から建物そのものを強固にあるいは故障が少なくなるように造ることも大事であるが,経年変化や予想を超えるような自然の力により知らず知らずのうちに安全性が脅かされることもある.そのような場合,少しでも早く危険を察知することができれば,建物を改修したり場合によっては建物から脱出することにより身の安全が確保できる.すなわち,安全の第一歩は「危険の察知」であり,そのためにモニタリングおよびその基となる計測・センシングの技術は非常に重要であるといえよう.以上に鑑み,本企画では危険をできるだけ早く正確に察知し安全を確保するために欠かせない計測・センシングおよびモニタリングの技術を特集したい.


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