計測と制御 2009年1月号

VOL. 48, 2009

特集「高次機能の学習と創発−脳・ロボット・人間研究における新たな展開視」

脳やロボットの研究が大きく進歩している中で,こと「高次機能」に関しては,思ったほどの成果が上がっていない。これは,「高次機能」が,センサに近い 「画像処理」や「認識」,モータに近い「行動計画」や「制御」と違い,何を入出力としてどういう基本機能を実現するべきかという仕様を決めることも容易 ではないことが大きな要因ではないかと考えられる。このような「高次機能」を実現させるためには,従来の発想を大きく転換し,個々の「高次機能」のモ ジュールの実現を考えるのではなく,システムを全体として捉え,文脈とダイナミクスの概念を取り込んだ上でそれがいかに学習され,創発してくるのかを議 論することが,その現象の理解と機能の実現にはより重要であると考えられる。 このような考え方から本特集では,「高次機能」の研究に新たな道を開拓すべく,最先端の研究現場でその方向性を探っておられる最前線の研究者の方々に, 各自の高次機能についての考え方をご紹介頂く。これにより,脳とロボットの両面で大きなニーズを抱えて今後の大きな発展を期待されている「高次機能」研 究への一助になればと考える。

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