計測と制御 2012年 8月号

VOL. 51, 2012

特集「不便の効用を活用するシステム」

21世紀になってからは不便なモノやコトの価値はさまざまなメディアにも取り上げられ,市民権を得た.それらを積極的に評価することは,確かに新たなライフスタイルの一つとなりつつある.一方でエンジニアの分野では,前世紀に便利の押し付けで失われた事象があることに気付きながらも,その流れから脱却できていない.システム側単独での高機能化や知能化が必ずしも人間−機械系に益するとは限らないことを知りながらも,従前の流れと異なる方向への指針は暗中模索の段階にしかない.その指針の一つとなりうることを期待して,単なる懐古主義という一言で一蹴するのではなく,また逆に「昔の暮らしに戻れ」と主張する市民運動に留まるのでもなく,今こそ何が失われたかを整理して新たなシステムデザインの糧とする時代ではないだろうか?

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