SICE 社団法人 計測自動制御学会
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 会告:2003年度計測自動制御学会学会賞の贈呈

  2003年度計測自動制御学会学会賞贈呈のため,舩橋誠壽副会長を委員長とする学会賞選考委員会において慎重に選考の結果,下記論文賞7件,技術賞3件,新製品開発賞1件が推薦され,理事会の決定を経て8月5日,SICE Annual Conference 2003 会場(福井大学工学部)において,贈呈式を行い,受賞者に賞状・メダル・賞金が贈呈された.

[論文賞]7件
(論文賞)
○窒化アルミニウム薄膜を用いた箔状フレキシブル圧力センサ
 (計測自動制御学会論文集 Vol.38, No.5 で発表)
 産業技術総合研究所・上野直広君,秋山守人君,池田喜一君
○柔軟構造物に対するモデル集合同定とアクティブ制震制御
 (計測自動制御学会論文集 Vol.37, No.6 で発表)
 京都大学・福島宏明君,Yue Wu君,杉江俊治君,Gi-Hwan Bae君,鈴木祥之君
○制約を有する連続時間線形系に対する最適レギュレータの構成
 (計測自動制御学会論文集 Vol.38, No.7 で発表)
東京都立科学技術大学・児島 晃君 Swiss Federal Institute of Technology・Manfred Morari君
(論文賞・武田賞)
○逐次線形化に基づく非線形モデル予測制御−化学反応器への応用−
 (計測自動制御学会論文集 Vol.38, No.1 で発表)
三菱化学(株)・関 宏也君,大山 敏君,小河守正君
(論文賞・友田賞)
○確率的2分木の行動選択を用いたActor-Criticアルゴリズム−多数の行動を扱う強化学習−
 (計測自動制御学会論文集 Vol.37, No.12 で発表)
東京工業大学・木村 元君,小林重信君
(論文賞)
○実データとフラクタルモデリングによる模擬月面の生成
 (計測自動制御学会論文集 Vol.37, No.3 で発表)
三菱電機(株)・吉河章二君,西口憲一君
○操作と状態の様相性に着目した人工物表現モデルの提案−人との関わりを重視したシステムの設計に向けて−
 (計測自動制御学会論文集 Vol.37, No.11 で発表)
京都大学・須藤秀紹君,川上浩司君,片井 修君
[技術賞]3件
(技術賞・蓮沼賞)
○全自動化された高感度ESR分析装置
 (計測自動制御学会論文集 Vol.34, No.10 ほかで発表)
山形大学・赤塚孝雄君,冨樫 整君, 生物ラジカル研究所・青山正明君,大矢博昭君,鎌田 仁君,山形県工業技術センター・及川和夫君,東北精機工業(株) 開沼徳和君
(技術賞)
○傾斜温度制御法の開発”温度差を制御する”という新しい概念を盛り込んだ制御手法
 (SICE 2000 ほかで発表)
オムロン(株)・南野郁夫君,田中政仁君,熊本大学・松永信智君,川路茂保君
○常圧蒸留装置のワンスポットチューニングPID制御
 (計測自動制御学会論文集 Vol.38, No.3 で発表)
出光興産(株)・藤井憲三君,広島大学・山本 透君
[著述賞]
 該当なし
[新製品開発賞]1件
○三菱基板穴あけ用レーザ加工機ML605GTXV(-M)-5100U2
三菱電機(株)殿
[教育貢献賞]
 該当なし

受賞者略歴および受賞論文概要
うえの なおひろ
上 野 直 広 君 (正会員)
 1984年九州大学理学部物理学科卒業,同年防衛庁技術研究本部第5研究所,85年福岡県庁建築都市部,90年工業技術院九州工業技術試験所(現産業技術総合研究所)入所.アクティブセンシング,機能性材料のデバイス化の研究などに従事.IEEEの会員.

あきやま もりと
秋 山 守 人 君 (正会員)
 1993年九州大学大学院総合理工学研究科材料開発工学専攻博士課程修了,同年工業技術院九州工業技術試験所(現産業技術総合研究所)入所.圧電体および蛍光体などの機能性セラミックスの研究などに従事.応用物理学会,日本セラミックス協会の会員.

いけだ きいち
池 田 喜 一 君 (正会員)
 1973年日本大学理工学部数学科卒業,68年工業技術院機械技術研究所(現産業技術総合研究所)入所.これまでに,4本足,6本足歩行ロボット,壁面歩行ロボット(極限作業ロボットプロジェクト),荷重制御式歩行補助装置,各種車椅子の研究開発に従事.日本ロボット学会,ライフサポ−ト学会の会員.

受賞論文「窒化アルミニウム薄膜を用いた箔状フレキシブル圧力センサ」
 アルミニウム箔表面に形成した高C軸配向性窒化アルミニウム(AlN)薄膜の圧電性を圧力検出の原理に用いた,箔状のフレキシブルな圧力センサを開発した.圧力によって誘起された電荷を検出する電極について,外部電極によって内部電極を包み込み,外部環境から完全に遮蔽するラミネート構造を採用し,発生電荷の外部へのリークの防止と誘導電荷の抑止によって正確な発生電荷の検出が可能となった.試作したセンサについて感度の直線性の検証を行い,優れた特性を有していることを示した.ただし測定された周波数特性は低周波数域でのゲインの低下と位相のずれの増大を示しているので,静圧を直接検出するためには補正が必要である.そこで,センサの電気特性についてモデルを構成,伝達関数を導出し,実験結果から推定されたパラメータを適用した逆伝達関数を用いて,準静圧状態の検出が可能であることを実測データによって示した.


ふくしま ひろあき
福 島 宏 明 君 (正会員)
 1995年京都大学工学部精密工学科卒業.98年同大学大学院工学研究科応用システム科学専攻博士前期課程修了.2001年同大学大学院情報学研究科システム科学専攻博士後期課程修了.99年から日本学術振興会特別研究員となり,現在に至る.01年9月から03年2月までカリフォルニア大学サンディエゴ校客員研究員.ロバスト制御,システム同定の研究に従事.システム制御情報学会の会員.

Wu YUE 君 (正会員)
 1998年神戸大学工学部情報知能工学科卒業.同年京都大学大学院情報学研究科システム科学専攻に入学.2000年同研究科修士課程修了.同年日本IBM(株)入社,現在に至る.

すぎえ としはる
杉 江 俊 治 君 (正会員)
 1978年京都大学大学院精密工学専攻修士課程修了.84年同博士後期課程研究指導認定退学.78〜80年日本電信電話公社勤務.84年より大阪府立大学工学部助手,京都大学工学部助教授等を経て,現在京都大学情報学研究科教授.ロバスト制御理論とその応用に関する研究に従事.工学博士.日本ロボット学会,IEEEなどの会員.

Gi-Hwan BAE 君 (正会員)
 1989年成均館大学校(韓国)建築工学科卒業,鉄筋コンクリート造の耐震性に関する研究に従事.99年京都大学大学院工学研究科建築学専攻博士後期課程修了,構造物の動特性同定,制震構造に関する研究に従事.2000年(韓国)京東大学校建築工学部講師,現在に至る.博士(工学).日本建築学会,韓国電算構造工学会の会員.

すずき よしゆき
鈴 木 祥 之 君 (正会員)
 1972年京都大学大学院工研究科博士課程単位取得退学,構造物の非線形確率論的応答,耐震信頼度解析に関する研究に従事.同年京都大学防災研究所助手,制震システム,構造同定に関する研究に従事.86年京都大学防災研究所助教授,93年英国サセックス大学招聘教授,99年同教授,構造ヘルスモニタリング,木造建物の耐震性に関する研究に従事,現在に至る.京都大学工学博士.日本建築学会賞(論文)(90年).日本建築学会,地震学会,システム制御情報学会,日本地震工学会の会員.

受賞論文「柔軟構造物に対するモデル集合同定とアクティブ制震制御」
 本論文では,ロバスト制御に必要なモデル集合同定法を柔軟構造物の制震制御に適用し,その実用性を検討する.制御対象が減衰の遅いシステムであるため,新たに過渡応答による同定誤差の上界を評価し,入力が白色雑音に近い性質をもつ場合に従来よりも上界の保守性が低減されることを示す.また,公称モデルを有理伝達関数とすることにより,従来のモデル集合同定法よりも低次のモデルの同定を行っている.さらに,同定されたモデル集合を用いてロバスト制御系の設計が系統的に行われることを実験によって検証する.


こじま あきら
児 島   晃 君 (正会員)
 1987年早稲田大学理工学部電気工学科卒業,91年同大学大学院博士後期課程修了.同年東京都立科学技術大学講師,97年助教授,現在に至る.この間2000〜01年にかけて,スイス連邦工科大学(ETH)客員研究員.予見・予測制御,ロバスト制御,分布系の制御問題に興味をもつ(工学博士).本会学術奨励賞(92年),論文賞・武田賞(96年),システム制御情報学会論文賞(03年)受賞.システム制御情報学会,電気学会,IEEE などの会員.

Manfred MORARI 君 (正会員)
 In 1994 Manfred Morari was appointed head of the Automatic Control Laboratory at the Swiss Federal Institute of Technology (ETH) in Zurich. Before that he was the McCollum-Corcoran Professor of Chemical Engineering and Executive Officer for Control and Dynamical Systems at the California Institute of Technology. He obtained the diploma from ETH Zurich and the Ph.D. from the University of Minnesota, both in chemical engineering. His interests are in hybrid systems and the control of biomedical systems. In recognition of his research contributions, he received numerous awards, among them the Donald P. Eckman Award of the Automatic Control Council, the Allan P. Colburn Award and the Professional Progress Award of the AIChE, the Curtis W. McGraw Research Award of the ASEE, and was elected to the National Academy of Engineering (U.S.). Professor Morari has held appointments with Exxon R & E and ICI and has consulted internationally for a number of major corporations.

受賞論文「制約を有する連続時間線形系に対する最適レギュレータの構成」
 モデル予測制御は,制約を有する対象に有用な制御法であり,1サンプル時間ごとに最適化計算をオンラインで実行することにより実現できることが知られている.本研究では,制約を有する連続時間系に対する最適レギュレータ問題を考察し,モデル予測制御の接近法から非線形状態フィードバック則を構成する方法を導いた.そして近似制御則が,状態の区分的アフィン関数により構成できることを示し,モデル予測制御と等価なものが非線形状態フィードバックにより与えられることを明らかにした.また数値例を用いて,制御則が構成される過程,制御系の性質を検討した.これらの結果から,機械システムなど極めて短いサンプル時間で制御系を構成する場合にも,モデル予測制御法を適用することが可能になった.


せき ひろや
関   宏 也 君 (正会員)
 1988年東京大学大学院工学研究科修士課程修了(機械工学).同年三菱化成(株)(現三菱化学(株))入社.プロセス制御システムの高度化,プロセス生産技術の研究開発などに従事.現在,(株)三菱化学科学技術研究センター.この間,95〜97年スイス連邦工科大学客員研究員.工学博士(京都大学).2002年IFAC Control Engineering Practice Prize Paper Award受賞.化学工学会の会員.

おおやま さとし
大 山   敏 君 (正会員)
 1993年東京大学工学部計数工学科卒業.同年三菱化成(株)(現三菱化学(株))入社.現在,技術部プロセス制御技術グループ.プロセス情報制御システムの高度化などの業務に従事.2002年IFAC Control Engineering Practice Prize Paper Award受賞.

おがわ もりまさ
小 河 守 正 君 (正会員)
 1966年多度津工業高校卒業.同年三菱化成(株)(現三菱化学(株))入社.化学プロセスの計装システムの設計と保全,プロセス制御システムの高度化などの業務に従事.現在,三菱化学エンジニアリング(株)ソリューションセンター兼三菱化学(株)技術部.工学博士(京都大学).1993年度システム制御情報学会論文賞,99年度本会論文賞,2002年IFAC Control Engineering Practice Prize Paper Award受賞.システム制御情報学会,化学工学会などの会員.

受賞論文「逐次線形化に基づく非線形モデル予測制御−化学反応器への応用−」
 モデル予測制御は,1970年代にプロセス制御の現場から生まれ,現在まで石油精製,石油化学工業を中心に広く用いられている制御手法であるが,産業的な応用が進んでいるのは,プロセスの動特性を記述するプロセスモデルが線形である線形モデル予測制御が大部分で,その適用対象は非線形性の弱いプロセス,または運転範囲の狭いプロセスに限定されている.
 本論文では,プロセスの応答予測および操作量の決定に非線形モデルを用いることにより非線形性が強いプロセスにも適用可能で,かつ計算負荷が少なく実装可能な,逐次線形化に基づく非線形モデル予測制御手法を提案する.
 まず,化学反応器に特徴的な非線形性の例として入力または出力多重性を示すプロセスを取り上げ,提案した制御手法がこれらのプロセスを安定に制御できることをシミュレーションにより示す.
 さらに,実プラントへの適用例として,高密度ポリエチレン重合反応器の銘柄切り替え操作を実現した例について述べ,本手法の有用性を示す.


きむら はじめ
木 村   元 君 (正会員)
 1997年東京工業大学大学院知能科学専攻博士課程修了,同年日本学術振興会PD研究員,98年東京工業大学大学院総合理工学研究科助手,現在に至る.人工知能,特に強化学習に関する研究に従事.

こばやし しげのぶ
小 林 重 信 君 (正会員)
 1974年東京工業大学大学院博士課程経営工学専攻修了.同年同大学工学部制御工学科助手.81年8月同大学大学院総合理工学研究科助教授.90年8月教授.現在に至る.問題解決と推論制御,知識獲得と学習などの研究に従事.

受賞論文「確率的2分木の行動選択を用いたActor-Criticアルゴリズム」
 強化学習を実問題に適用する場合,数十以上の多数の類似した行動の扱いを求められる場合がある.Q-learningやSARSAなどの代表的な強化学習法を用いる場合,行動選択方法としてepsilon-greedy選択やBoltsmann選択が用いられる.これらの行動選択はシンプルであり,数種類の行動を持つ問題では有効だが,行動が数十以上の多数に増加すると効率が悪くなる.一方で,行動選択表現の自由度が高い強化学習法としてactor-criticが知られている.本論文では,actor-criticの政策関数表現として確率的な2分木を用いることにより,数十以上の多数の類似した行動を効率よく扱う方法を提案する.行動選択や適正度の計算は単純かつローカルな情報だけで可能であり,大規模問題への拡張が容易である.シミュレーションにより,行動の個数が増加しても提案手法の学習性能が低下しないことを示した.


よしかわ しょうじ
吉 河 章 二 君 (正会員)
 1990年東京大学大学院修士課程修了(航空学).同年三菱電機(株)に入社,現在,先端技術総合研究所に勤務.人工衛星,宇宙ロボットの誘導制御の研究に従事.日本航空宇宙学会,日本機械学会などの会員.

にしぐち けんいち
西 口 憲 一 君 (正会員)
 1974年京都大学理学部数学科卒業.同年三菱電機(株)に入社.現在,先端技術総合研究所に勤務.確率システムの解析,推定,最適化ならびに視覚情報処理などの研究に従事.システム制御情報学会,IEEE などの会員(工学博士).

受賞論文「実データとフラクタルモデリングによる模擬月面の生成」
 月や惑星に無人の探査機を軟着陸させるキー技術の1つに,画像情報を用いた航法誘導制御技術がある.その技術検証には,探査機の高度,姿勢,太陽光の入射方向などを変化させたときの搭載カメラの模擬画像を生成するのに十分な分解能を持ったDEMデータが必要である.ところが,探査対象となる天体の粗いDEMデータはあっても,このような高い分解能のデータを入手できない場合が多い.
 そこで,実際の観測データに近くしかも高度が低い場合に細部を拡大することが可能なDEMデータの生成方法を提案する.実際の月面データに基づいた粗いDEMデータに欠落している細かな起伏をフラクタルモデリングの手法で復元し,さらにクレータの形状および分布を過去の観測データに合うように決めて追加する.月面のDEMデータに上記手法を適用したところ,適用前に比べて欠落していた細かな起伏やクレータが復元されて観測写真との類似度が高まった.また,同じDEMデータをもとに光造形でジオラマを作成した.ジオラマの写真も観測写真との類似度が高く,計算機内部のモデルを忠実に反映できたと考えられる.


すとう ひでつぐ
須 藤 秀 紹 君 (正会員)
 1991年徳島大学総合科学部総合科学科卒業.同年(株)ジャストシステム入社,ワードプロセッサ・ソフトウェアなどの開発に携わる.97年より大阪教育大学大学院修士課程を経て,2002年京都大学大学院情報学研究科博士後期課程指導認定退学.同年,秋田公立美術工芸短期大学産業デザイン学科講師,現在に至る.操作者と人工物の対話性に関する研究に従事.

かわかみ ひろし
川 上 浩 司 君 (正会員)
 1989年京都大学大学院工学研究科修士課程修了.同年岡山大学工学部情報工学科助手,98年京都大学大学院情報学研究科助教授,現在に至る.共生システム設計方法論の研究に従事.人工知能学会などの会員.本学会関西支部幹事,マンマシンシステム部会幹事(工学博士).

かたい おさむ
片 井   修 君 (正会員)
 1969年京都大学工学部機械工学科卒業.74年同大学院博士課程機械工学科第二専攻単位取得退学.同年同大学助手.83年同助教授.94年同教授.同大学院情報学研究科創設に参画し,98年同教授,現在に至る.その間,80〜81年フランス国 INRIA 客員研究員.主として共生的なシステム構築法に関する研究に従事.本学会の知能工学部会,マンマシンシステム部会,ユニーバーサルデザイン部会,共創システム部会の運営委員(工学博士).

受賞論文「操作と状態の様相性に着目した人工物表現モデルの提案−人との関わりを重視したシステムの設計に向けて−」
 本研究では,操作者とのインタラクションを重視した人工物である対話型人工物のための,真理論的様相・義務論的様相・時間論的様相の視点に基づく記述モデルを提案する.提案モデルは,それぞれの視点により切り分けた,中心層・上位層・ベース層の3つの層から構成される.3層の真ん中に位置する中心層は,人工物を操作する人の自由な操作による状態遷移をペトリネットを用いて表わすものである.これに対し,上位層は使用手順といった,設計者の意図からなる目的論的必然性を,様相論理表現を組み込み拡張したペトリネットを用いて表わす.また下位のベース層では,物理現象に内在する因果論的必然性を,物理因果連鎖のネットワークを用いて表わす.これら3つの層のインタラクションにより,「設計者の意図」・「オペレータの操作」・「物理現象の波及」間の緊密な関係性が表出されるため,人間の固有の特性を配慮して設計される対話型人工物の表現モデルに適するものである.


あかつか たかお
赤 塚 孝 雄 君 (正会員)
 1964年東京大学計数工学科卒業.東京大学工学部助手,筑波大学基礎医学系講師,山形大学助教授を経て,84年山形大学工学部教授となり現在に至る.この間,カリフォルニア大学客員研究員,高エネルギー物理学研究所客員教授など併任.2002年から生物ラジカル研究所長併.工学博士.画像計測,医療画像処理,生体計測などの研究に従事.IEEE,SPIEなどの会員,日本ME学会顧問,本会フェロー.

とがし ひとし
冨 樫   整 君 (正会員)
 1980年山形大学医学部医学科卒業.95年7月〜96年4月 米国ジョンズホプキンズ大学医学部(文部省長期在外研究員).現在,山形大学医学部助教授(消化器病態制御内科学分野).医学博士.生体のレドックス制御機構と消化器病態をおもに研究.日本消化器病学会評議員,日本肝臓学会東部会評議員,日本フリーラジカル学会評議員.

あおやま まさあき
青 山 正 明 君
 1972年学習院大学理学部物理学科卒業.同年(株)エスアールエル入社.ラジオイムノアッセイの研究開発に従事.84年オリンパス光学工業(株)入社.エンザイムイムノアッセイ,凝集試薬の開発に従事.92年生物ラジカル研究所に入所.現在,ラジカル応用分析研究室室長.高感度免疫測定法の開発,ポリフェノールラジカルの解析に従事.

おおや ひろあき
大 矢 博 昭 君 (正会員)
 1962年京都大学理学部化学科卒業.京都大学理学部助手,助教授を経て,93年山形県テクノポリス財団生物ラジカル研究所副所長に就任し現在に至る.この間,スイス連邦国バーゼル大学物理化学研究所に2年間留学,奈良教育大学非常勤講師,山形大学大学院,早稲田大学客員教授など併任.理学博士.磁気物理化学,錯体化学,生体計測などの研究に従事.国際EPR学会,日本化学会会員,日本スピンサイエンス学会理事,日本フリーラジカル学会評議員.

かまだ ひとし
鎌 田   仁 君
 1948年東京帝国大学第1工学部大学院修了.東京大学工学部教授,山形大学工学部教授を歴任.東京大学名誉教授,山形大学名誉教授(工学博士).85年山形県テクノポリス財団理事長,同所付置生物ラジカル研究所長.2002年生物ラジカル研究所名誉所長.分光分析,分析化学,生物ラジカルなどの研究に従事,70年分析化学会賞,77年化学会賞,82年日本学士院賞など受賞.

おいかわ かずお
及 川 和 夫 君 (正会員)
 1973年宮城教育大学教育学部卒業.同年日本電子(株)入社,質量分析計の応用研究に従事.75年宮城教育大学,赤外分光光度計オンラインシステムの開発に従事.77年山形大学工業短期大学部,83年山形大学工学部,光音響分光法に関する研究に従事.90年山形県工業技術センター,現在研究主幹,生物ラジカル研究所(兼任).低周波ESR-CTシステムの開発に従事.2001年山形大学大学院理工学研究科客員助教授併任.現在に至る(工学博士).

かいぬま のりかず
開 沼 徳 和 君
 1974年山形大学工学部機械工学科卒業,同年東北精機工業(株)入社.各種合理化,省力化設備の開発・設計に従事.84年から高速ICハンドラーの開発設計,95年からESR使用自動分析装置の研究開発に従事.現在商品開発推進室室長.

受賞論文「全自動化された高感度ESR分析装置」
 XバンドESR装置を用いて高感度で安定な免疫測定法を実現したものである.抗体に標識されたペルオキシダーゼ活性を安定なニトロキシドラジカルに置き換え,これを電子スピン共鳴装置(ESR)により定量する原理に基づく.ここでは,常磁性種のみを計測するため選択性が他法に比べて格段に良くなる.本法を医療診断に展開する新たなHBs抗原測定法を開発しその有用性を確認してきた.
 ESR計測は比較的高感度ではあるが,再現性に乏しく定量性に難点があると信じられてきた.われわれはこれらの問題点を克服し,さらなる高感度化を達成するため,ESR計測の全自動化,ならびにESR計測に適合した新たなペルオキシダーゼ(HRP)の測定系(p-Acetamidophenol/Hydroxylamine系)の開発を進めた.試作機によるHRPならびにHBs抗原の最低検出感度はそれぞれ,0.15amol/test,0.01ng/mlであり,従来法に比し数十倍高感度であった.上記p-AP/Hydroxylamine系はS/N特性に優れ微量物質の定量に特に適することが明らかになった.本試作機を用いて非B型非C型肝炎患者の一部に従来法では検出困難な微量のHBs抗原の存在も確認されている.ラジカル計測は定性から定量へと大きな一歩を踏み出したと考えられる.


なんの いくお
南 野 郁 夫 君 (正会員)
 1982年広島大学工学部U類(電気系)卒業.同年セイコー電子工業(株)に入社.91年オムロン(株)入社.現在,同社産機コンポ統轄事業部計測コンポ部開発グループ主査.太陽光発電システム,温度調節器のアドバンスト制御技術,熱処理系のシステム統合化技術などの開発に従事.日本太陽エネルギー学会奨励賞(94),日本太陽エネルギー学会優秀技術賞(97)受賞.電気学会会員.

たなか まさひと
田 中 政 仁 君
 1998年熊本大学大学院工学研究科電気情報工学専攻修了.同年オムロン(株)入社.現在,産機コンポ統轄事業部計測コンポ部開発グループに所属.温度調節器に対するロバスト制御技術,制御知識獲得,ネットワーク化に関するソフト開発に従事.電気学会会員.

まつなが のぶとも
松 永 信 智 君 (正会員)
 1987年熊本大学大学院工学研究科電子工学専攻修了.同年オムロン(株)入社,94年熊本大学大学院自然科学研究科博士課程修了(博士(学術)).オムロン(株)にて産機コンポ統轄事業部開発課長,計測監視事業部プロダクトマネージャを経て,2003年熊本大学工学部数理情報システム工学科助教授,現在に至る.ロボティクス,インテリジェント制御系の構築などの研究に従事.電気学会などの会員.

かわじ しげやす
川 路 茂 保 君 (正会員)
 1969年熊本大学大学院工学研究科電気工学専攻修了.同年同工学部助手,同助教授を経て,88年同教授,99年大学院自然科学研究科教授,現在に至る.この間,ロバスト制御理論とメカニカルシステムへの応用,インテリジェント制御系の構築,ロボティクスなどの研究に従事.工学博士(東京工業大学).システム制御情報学会,日本ロボット学会,電気学会,日本機械学会,日本人間工学会,IEEEなどの会員.

受賞論文「傾斜温度制御法の開発―”温度差を制御する”という新しい概念による制御手法―」
 包装機,成形機,半導体などの熱処理装置において加熱面における温度の均一化が重要課題となっている.従来,多点のヒータやセンサを配置し各点においてPID制御を用いて温度のばらつきを抑える対策がとられてきたが,熱伝導体としての非線形性やむだ時間,ヒータの使用条件が変化するため,パラメータ調整は困難をきわめている.
 この問題を解決するために,加熱面上の”温度差を制御する”という新しい概念による「傾斜温度制御法」を提案した.制御構造は,各測定点の温度差を制御量とし,これらの平均温度と傾斜温度をモード変換器で求め,PID制御を施した後,前置補償器でヒータへの操作量を適切に分配する方式であり,パラメータの自動調整機能を内包している.熱干渉の強い多点温度対象を試作し,目標値応答での過渡的均一性の改善に対する傾斜温度制御法の有効性を実験的に検証した.
 本手法はすでに温度調節器の制御ソフトとして実用化され,2000年より実システムで稼動している.


ふじい けんぞう
藤 井 憲 三 君 (正会員)
 1972年宇部工業高等専門学校電気工学科卒業.同年出光興産(株)入社.プロセス制御,最適化システムの開発に従事.2003年電気学会進歩賞.現在,出光興産製造部プロセスシステムセンター主任技師.電気学会,化学工学会などの会員.

やまもと とおる
山 本   透 君 (正会員)
 1961年8月29日生.87年徳島大学大学院工学研究科修士課程(情報工学専攻)修了.大阪大学基礎工学部助手,岡山県立大学情報工学部助教授を経て,2001年広島大学大学院教育学研究科技術・情報教育学講座助教授となり現在に至る.PID 制御系設計の高度化と知能化,ならびにプロセス制御などの研究に従事.工学博士.

受賞論文「常圧蒸留装置のワンスポットチューニングPID制御」
 大規模な石油・石油化学のプロセス制御の高度化はPID制御主体からモデル予測制御(MPC)の導入により成果を挙げてきたが,MPCは開発のための費用,期間,保守等の問題も併せてもっていた.このため,利益が期待できる適用部分にとどまり,装置全体の安定化,無操作化の問題は残っていた.そこで,本研究はこのような問題を解決するために,DCSを活用し,高度化と安定化を低コストで実現可能な技術として開発した.本適用はまず,石油精製装置で安定化が最も困難な装置である常圧蒸留装置に適用し,MPCの効果と同等以上の結果が得られた.本結果から安定化により運転負荷が1/3〜1/5(昼夜で異なる)に減少し,大幅な省力化が図られることもわかった.さらに,石油関連装置において安定化困難な芳香族抽出装置にも適用した.本手法の適用により,短期間に完全自動化(無操作化)が実現でき有効性が明らかとなった.さらにこの時,安定化がもたらした省エネルギー効果は5%以上であった.現在,数多くの装置に適用が図られているが,技術内容が明快であり,運転員にも理解が得やすいことから,急速に無操作化活動として展開されている.


受賞製品「三菱基板穴あけ用レーザ加工機ML605GTXV(-M)-5100U2」
三菱電機株式会社
 三菱電機(株)は,プリント基板にブラインドバイアホールを加工できるマルチビーム基板穴あけ用レーザ加工機を開発し,販売しております.
 本加工機は,レーザ発振器からのレーザ光を1軸の加工ヘッドから2つに分光しそれぞれの位置をガルバノスキャナで制御することにより,同時に異なる2箇所を加工することが可能です.ガルバノスキャナは,当社が独自に開発したスキャナ本体とデジタル制御により,業界最速の位置決め速度を有し,かつ長時間の安定な位置決め精度を保証します.また,光路系単純化による部品点数の最小化,専用CAMによる最適加工プログラムの自動生成(加工順番の最適化,ワーク位置や光学系の位置誤差補正),加工パルス監視,ローディング/アンローディング装置などを備えています.以上により,高生産性,高信頼性,高経済性をトータルに実現しています.
 今後も,さらなる高生産性および高精度・微小径化に対応できるように開発を進めてまいります.
copyright © 2003 (社)計測自動制御学会