「人新世のシステム学」技術専門委員会

「人新世のシステム学」技術専門委員会とは
本委員会は、ブレストバトルにより、2023年度に設置された委員会です。SICEのすべての部門を統括する部門協議会の直下に設置されている委員会で、SICEのすべての部門にまたがる横断的な活動を行っています。
またSICEに設置されている多くの部会や調査研究会が、どちらかというと課題解決を重点においてとして活動を行っているのに対し、本委員会では、課題創出を重点において活動しています。
人間の活動が地質学的な影響を与えている時代、すなわち人新世の時代を迎えたといわれている現代において、SICEが取り組むべき課題を創出していく活動をめざしています。
主として以下のような活動を行っています。
- 既存の科学・工学を乗り越える人新世の新しいシステム学の提唱
- 持続可能性に挑戦できる計測・制御・システム論の構築のための研究調査
- SDGs のシステム論的考察と、「真の SDGs」を実現するための計測・制御システム技術の研究調査
- 人の功利的行動だけでなく、主観、倫理観、欲望などの計測・可視化を実現し、それらを利用するための制御・システム技術の研究調査
- 人新世のサイバネティクスのあるべき姿についての研究調査
委員会の設置の詳しい経緯については、委員会設置趣意書をご覧ください。
委員会へのお誘い
委員会の活動にご興味のある方は、是非、委員としてご参加ください(連絡先:幹事 伊藤(群大)tadashi_ito@gunma-u.ac.jp)。
お知らせ
2025年度 第3回人新世のシステム学技術専門委員会 講演会(オンライン開催)
日時:2025年10月20日(月)15:30〜17:30
講演者:寺田匡宏先生(総合地球環境学研究所)
タイトル:人新世Anthropocene概念の人文地球環境学的意味と全体論としての風土学の可能性
概要:本発表は次の二つの部からなる。
第一部では、主に人新世概念の提唱の歴史的位置づけと、その意義について検討する。人新世概念が提唱されたのは、2000年代初頭であったが、それは、1980年代から進行していた地球に関する諸科学の巨大国際ネットワークが生み出したものである。そのネットワークは、全球的な気候変動をめぐる危機的状況をデータに基づいて明らかにした。人新世概念の提唱とは、そのような、危機的状況への警告であると同時に、そのような状況を生み出した近代科学に基づく現代文明の在り方への警告を発するという点で、再帰的reflexiveであり、自己言及的な側面を持つ特徴があることを論じる。
第二部では、そのような状況の中で、新たな知の在り方が求められているが、そこにおける日本発の概念の貢献の可能性を探る。人新世という近代文明の生み出した現象に対峙するにあたって、要素還元論ではなく、全体論的なアプローチに対する関心が高まっている。発表者らは、日本由来の概念としての「風土学」が、その一つではではないかと考える。風土学は、日本の哲学者和辻哲郎が提唱し、フランスの地理学者・哲学者のオギュスタン・ベルクが深化させた学で、主体の位置を再考し、環境と主体との不二non-dualityの側面を強調する。なぜ、全体論が人新世において必要なのか、そして、風土学は人新世における新たなシステム論にいかなる示唆を与えるのかを論じる。
なお、第一部は主に寺田匡宏、ダニエル・ナイルズ(編)『人新世を問う:環境、人文、アジアの視点』(京都大学学術出版会、2021年)の内容(主に、序章とコラム1)を中心に、第二部は寺田匡宏(編)『フューチャー風土:ひと、いきもの、思考する機械が共存在する未来』(京都大学学術出版会、2025年)の内容(主に、第I部第1章と第III部第1章)を中心に、その後の研究成果を盛り込んで論じる。
オンライン参加申込:https://forms.gle/fpmSCEaCjALnkQaV9(締切10月16日)
連絡先:群馬大学 伊藤直史(tadashi_ito@gunma-u.ac.jp)
更新情報
- 2025年10月3日 お知らせに第3回講演会(10/20)を掲載しました。
- 2025年7月29日 お知らせに第2回講演会(8/19)を掲載しました。
- 2024年10月15日 委員会ホームページ開設しました。