「人新世のシステム学」技術専門委員会とは

本委員会は、ブレストバトルにより、2023年度に設置された委員会です。SICEのすべての部門を統括する部門協議会の直下に設置されている委員会で、SICEのすべての部門にまたがる横断的な活動を行っています。

またSICEに設置されている多くの部会や調査研究会が、どちらかというと課題解決を重点においてとして活動を行っているのに対し、本委員会では、課題創出を重点において活動しています。

人間の活動が地質学的な影響を与えている時代、すなわち人新世の時代を迎えたといわれている現代において、SICEが取り組むべき課題を創出していく活動をめざしています。

主として以下のような活動を行っています。

  •  既存の科学・工学を乗り越える人新世の新しいシステム学の提唱
  •  持続可能性に挑戦できる計測・制御・システム論の構築のための研究調査
  •  SDGs のシステム論的考察と、「真の SDGs」を実現するための計測・制御システム技術の研究調査
  • 人の功利的行動だけでなく、主観、倫理観、欲望などの計測・可視化を実現し、それらを利用するための制御・システム技術の研究調査
  •  人新世のサイバネティクスのあるべき姿についての研究調査

委員会の設置の詳しい経緯については、委員会設置趣意書をご覧ください。

委員会へのお誘い

委員会の活動にご興味のある方は、是非、委員としてご参加ください(連絡先:幹事 伊藤(群大)tadashi_ito@gunma-u.ac.jp)。

お知らせ

 2025年度 第1回人新世のシステム学技術専門委員会 講演会
日時:2025年5月13日(火)15:30〜17:30

講演者:吉本敦先生(統計数理研究所)
タイトル:人新世における森林資源管理の展開:Nature Positive vs Production Bias ― グローバルな偏向とローカルな知の再評価 ―

概要:人新世と呼ばれる現代において、森林資源管理は単なる生産性や収益性の追求にとどまらず、生態系との共生、文化的価値の保全、そして地域社会との持続可能な関係性を含む多面的な課題に直面している。本講演では、「Nature Positive」と「Production Bias」という対照的な視座を軸に、森林管理の方向性とその背後にある価値観の転換を、数理最適化モデリングを通して探る。かつて日本には、里山に代表されるような自然との共生的な資源利用の知恵が存在した。しかし、高度経済成長期以降の制度設計や林業政策は、生産効率を最優先する「プロダクション・バイアス」に偏り、結果として管理放棄、松枯れ等の害虫リスク、野生動物との軋轢、森林の空間的分断といった新たな課題を生んでいる。本講演では、これら人新世における社会的課題に対し、空間配置や資源配分の最適化を目的とした数理モデルの構築例を紹介するとともに、失われつつある「ローカルな知」の再評価を通じて、Nature Positiveな森林資源管理の再構築に向けた提案を試みる。

連絡先:群馬大学 伊藤直史(tadashi_ito@gunma-u.ac.jp)

更新情報

  • 2024年10月15日 委員会ホームページ開設しました。