12月1日(月) 第1日目 |
10:30〜12:00 |
ロバスト制御の考え方/講師:藤田政之君(東京工業大学) |
現代制御論を代表するLQG (Linear Quadratic Gaussian) 制御は,理論としての成功と実システム応用での不首尾を経て,ロバスト制御へと発展していった.そこでは実践的な設計論が目指され,古典論における周波数領域の見方が再考されるとともに,状態空間アプローチに基づく計算法と構成論が仕上げられた.このようなロバスト制御の必要性や考え方を,理論の歴史や工学的な背景を踏まえながら,数式をできるだけ使わずにわかりやすく解説する. |
13:00〜16:00 |
H∞制御の基礎/講師:平田光男君(宇都宮大学) |
フィードバック制御の基礎をひととおり復習した後,ロバスト制御の基本的な考え方を述べる.そして,H∞制御理論によるロバスト制御系設計について解説する.その際,個々の問題をH∞制御としてどのように定式化したら良いか,といった点や,H∞制御理論におかれる仮定とそれらの物理的な意味などについてもふれ,実践的な立場からなるべく平易に解説する. |
16:20〜17:20 |
H∞制御系の設計手順/講師:平田光男君(宇都宮大学) |
H∞制御理論のモーションコントロール系への適用について,ハードディスクのサーボ系設計を例にとり,制御系CADによる設計プログラムを示しながら具体的に説明する.また,その際の注意点やノウハウなどについてもふれる。さらに,過渡応答改善のための2自由度設計や制御器の実装方法についても紹介する. |
12月2日(火) 第2日目 |
10:00〜12:00 |
産業応用事例:ハードディスクドライブのヘッド位置決め制御/講師:熱海武憲君(日立製作所) |
ハードディスクドライブ(HDD)に対する大容量化の要求はきわめて高く,その記録密度は増加し続けている.そのため,HDDのヘッド位置決め制御系では,記録密度向上を支えるために,継続的な位置決め精度の向上が求められている.しかしながら,HDDのヘッド位置決め系では,機構系共振の影響により制御系が達成可能な位置決め精度が制限されるという問題がある.本講義では,ヘッド位置決め制御系の有する機構共振が制御性能向上の妨げになっている場合において,製造公差や環境変化等に対するロバスト性を有しつつ,低コストで実現可能な技術により,位置決め制御性能を向上可能とする方法について紹介する. |
13:00〜15:00 |
応用事例:大型人工衛星のロバスト制御/講師:木田 隆君(電気通信大学) |
通信・観測ミッションのために大型のアンテナをもつ人工衛星の高精度姿勢制御には,姿勢(回転運動)の制御と振動の制御の2つの仕様が課せられる.H∞制御に代表されるロバスト制御はそのための有効な制御系設計法のひとつであろう.ここでは筆者らがこれまでに関係してきたいくつかの大型人工衛星について,モデリングの問題,線形時不変系・線形パラメータ変動系としての外乱抑制のためのフィードバック制御,さらに過渡応答を向上させるフィードフォワード制御の設計例を紹介する. |
15:20〜17:20 |
GIMC構造に基づく高性能ロバスト制御と耐故障制御/講師:滑川 徹君(金沢大学) |
システムの安全性や信頼性に対する期待の高まりに伴い,システムの動的モデルに基づく高性能ロバスト制御と故障検出・耐故障制御に関する研究が注目を集めている.この問題に対するアプローチの1つとして制御対象の内部モデルに基づくGIMC (Generalized Internal Model Control) 構造による制御系設計法が提案されている. |