日本学術会議は,わが国の科学者の内外に対する代表機関であり,広い視野に立って科学に関する重要事項の審議と研究の連絡にあたる責任を有しています.その会員は,3年ごとに,科学者の推薦に基づき,内閣総理大臣によって任命されます.
このたび,本学会の副会長古田勝久君がこの要職に任命されたことは,本学会にとっての喜びであり,会員の皆様と共に古田会員の活躍を期待し,声援を送りたいと存じます.
この機会に,日本学術会議会員推薦の過程における本学会のかかわりについて,あらましご報告しておきます.
会員候補者の選定は,日本学術会議に登録された「登録学術研究団体」を通じ行われます.本学会はもちろんそのひとつであります.登録学術研究団体は,関連する学術研究領域の「関連研究連絡委員会」を届け出ることになっています.本学会は「自動制御研究連絡委員会」および「基礎工学研究連絡委員会」を届け出ました.
登録学術研究団体は,会員の候補者を選定し,推薦人を指名することとなります.このため,本学会では会誌96年11月号の会告で広く会員に呼びかけて,適任者の推薦をお願いするとともに,前期の理事会(96年11月8日)において,11名の委員からなる「日本学術会議会員候補者等選出委員会」を設置しました.委員名(五十音順)池田雅夫君,大野榮一君,柿倉正義君,亀山充隆君,木村英紀君,佐野 昭君,椹木義一君,須田信英,戸苅吉孝君,橋本 康君,雛元孝夫君.同委員会は12月16日に会合し,慎重審議の上,自動制御研究連絡委員会について,会員の候補として古田勝久君を選定,推薦人として大野榮一君,椹木義一君,須田信英の3名を指名しました.これは12月19日開催の理事会で承認されたのち,日本学術会議へ正式届け出を行いました.
自動制御研究連絡委員会に関連する推薦人会議は,上記3名のほか他学会から指名された4名を加えて構成されました.そして,97年5月20日に日本学術会議会議室において開催され,審議の結果,会員として推薦すべき者として, 本学会の推した古田君を決定いたしました.
日本学術会議は,「日本学術会議は,科学が文化国家の基礎であると言う確信に立って科学者の総意の下に,我が国の平和的復興,人類社会の福祉に貢献し,世界の学界と提携し学術の進歩に寄与することを使命とし,ここに設立される.」なる前文で始まる日本学術会議法のもとに,わが国の科学者の内外に対する代表機関として内閣の下に設立された機関で,学協会から選ばれ任命された7部210名の会員から構成されている.
活動の目的は,科学の向上発達を図り,行政,産業及び国民生活に科学を反映浸透させることである.(第2条)
本年7月22日から新たに選ばれた第17期の学術会議が発足し,会長に吉川弘之東大名誉教授が選ばれた.昨年までの第16期には脳科学研究と計算機科学の推進を勧告しており,これは政府によって実現の努力がされている.また高度研究体制の早期確立,資料の紙質劣化の対策,学術団体への支援を要望している.
計測制御に関連があるのは,第5部工学(部長 大橋秀雄,副部長 松尾 稔,幹事 冨浦 梓,古田勝久)であり33名の会員がおり,今期は会長を出している.
これまで日本学術会議の自動制御関連の会員は,兼重寛九郎S29〜35,林 重憲S35〜44,椹木義一S44〜60,桜井良文S53〜63,添田 喬S60〜63,市川惇信S63〜H6,花房秀郎H6,高野政晴H6〜9,西川よし一H6〜9の諸先生である.
「科学に関する研究の連絡を図り,その能率を向上させる.」ために必要な事項を調査審議するために研究連絡委員会(研連)が置かれている.現在研連の数の上限は,180,委員総数は2,370人である.計測自動制御に関連する研連は多いが,おもなものは自動制御,計測工学,標準の3研究連絡委員会である.
研連の見直しは現在各部で進行中であるが,他部に先駆け,5部では今期から,研究連絡委員会を大きく改組する予定である(10月22日には改組を完了する予定である).
会員選出の母体である領域別研連は縮小して残るが,活動は専門委員会で行われる予定である.計測制御関連は,標準研究連絡委員会と学術会議会員の選出母体である自動制御研究連絡委員会が縮小(3名)して残るほか,自動制御学専門委員会(7),計測工学専門委員会(10),メカトロニクス専門委員会(6)が発足する予定である.計測自動制御学会はこれらの研連,専門委員会に委員を出している.
特に,自動制御学専門委員会は,IFAC(国際自動制御連盟)の日本を代表する国内委員会であり,IFACと国内学会との連絡調整の役を果している.特に本年から計測自動制御学会が幹事学会になって椹木義一委員長の下でIFAC基金の募金をでしますので皆様のご協力をお願いいたします.