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 論文集抄録
  

論文集抄録

〈Vol.49 No.10(2013年10月)〉

論 文 集 (定 価) (本体1,660円+税)

年間購読料 (会 員) 6,300円 (税込み)

  〃   (会員外) 8,820円 (税込み)


タイトル一覧

[論  文]

[ショート・ペーパー]


[論  文]

■ 連続時間系と離散時間系の反復学習制御における収束条件への統一的アプローチ

大阪大学,橋川 友哉,藤崎 泰正

 本論文では,反復学習制御の収束条件を再考している.対象システムは多入力多出力をもつ連続時間系であるとし,それに0次ホールドとインパルスサンプラを施して得られる離散時間系を,デルタ演算子を用いてサンプリング周期を陽に含む形で表現している.そして,離散時間系に対する反復学習制御の収束条件を必要十分条件の形で整理している.さらに,サンプリング周期を0に近づけた極限を考え,連続時間系に対する収束条件の候補を導き,実際に証明を与えている.このようにして得られる反復学習制御が収束するための十分条件は,スペクトル半径を用いるものであり,従来知られている誘導ノルムを用いるどの十分条件よりも緩い.


■ 複数ジョブをもつ離散型並列生産システムのための動作モデルの提案−バッチ式化学プラントの動作検証への適用−

宮崎大学・高塚 佳代子,冨田 重幸

 生産システム特有の複雑な振る舞い(複数ジョブの並列実行、制御方法の例外時の切り替え等)を簡潔に表現し動作解析できる形式的モデルを提案した。更に、システムの検証にモデルチェッキング手法を適用するため、可到達木生成段階での計算量爆発問題への対処方法を提案した。具体的には、検証結果の信頼性に大きな影響を及ぼす部分に対して複数の発火可能タイミングを離散的かつ排他的ORの関係で与えることにより、必要最低限の不確定性の影響を検証できるようにした。なお、Japan Batch フォーラムが作成したバッチプラントの標準モデルへの適用実験を通し、本手法がこの種のシステムに有用であることを確かめた。


■ 発明的問題解決理論TRIZを援用した不便益発想支援システム

京都大学・川上 浩司,内藤 浩介,平岡 敏洋,奈良県庁・戌亥 来未

 無批判に便利だけを追求することの弊害が指摘されて久しい.これに対して不便益は,不便であることの益を整理し,システムデザインの新たな指針を模索する試みである.その一環として,既報では発明的問題解決理論として知られる TRIZに倣った不便益発想支援の枠組みを提案した.本稿では,その枠組みを webアプリケーションとして実装するとともに,被験者実験によってパフォーマンスを検証した結果を報告し,考察を加えている.


■ 一般化安定化制御とサーボ系の相補感度の非干渉化

山形大学・有我 祐一,松江工業高等専門学校・齋藤 陽平,渡部 慶二

 多入力多出力制御系の相補感度を非干渉化できれば,安定判別や制御系設計の見通しがよくなる.状態フィードバックによる非干渉化はよく知られているが,オブザーバを用いると,相補感度の非干渉化が損なわれることがある.この問題を最初に解決したのが,モデルブリッジ制御系に対する非干渉化である.本稿では,それを,一般化安定化器をもちいた制御系や,不安定零点を持たないサーボ系の相補感度の非干渉化に拡張した.上記を具体的に進めるために,制御対象の可逆のもとで,状態フィードバックによる非干渉化条件が満たされないとき,それを満たすための補償器の具体的設計方法を与えた.また,内部安定化のため,不安定非行零点を行零点にする補償器の一般的な設計方法も与えた.さらに,オブザーバ部分を非干渉化するための可観測ブロック対角モデルの具体計算法も示した.


■ キャパシタを用いた蓄電装置の充放電制御−隣接キャパシタを含めた並列化によるキャパシタの均圧化−

三菱電機・竹田 佳史,大阪電気通信大学・石山 琢麻,藤川 佳子,竹田 晴見

 本論文では,静電容量のばらつきに起因するキャパシタの端子間電圧のばらつきを抑制することにより,キャパシタを用いた蓄電装置の効率を向上させる充放電制御方式について提案している.
 すなわち,一対のキャパシタとそれらを直列あるいは並列に切り換える複数のスイッチによって回路ブロックが構成され,その回路ブロックをn段直列に接続して蓄電部が構成される.そして,蓄電部の出力電圧を常に電力変換器の許容入力電圧範囲内に維持するために,各回路ブロック内のキャパシタの接続を直列あるいは並列に切り換える.その際,並列接続部が必要な場合には,各ブロックを構成する一対のキャパシタだけではなく,互いに隣接する2つのキャパシタも含めて並列接続部を構成することにより,全てのキャパシタの端子間電圧を均圧化し,蓄電装置の充放電効率を向上させている.


■ 時間軸状態制御形にもとづいた車輪型倒立振子ロボットの軌道追従制御

東洋大学・山川 聡子

 車輪型倒立振子ロボットは,二つの車輪の回転を独立に制御することで,水平面内で二次元運動を行うことができる.この二次元運動のモデルは二輪車両と同様に非ホロノミック系である.従来の二輪車両に対する制御法の多くは並進方向と旋回方向の入力を用いて軌道制御を行っている.しかし,車輪型倒立振子ロボットではボディの姿勢安定化のために並進方向の加速度を制御するので,軌道制御において並進方向の入力を自由に用いることができない.そこで,本稿では時間軸状態制御形への変換を用いて,2段階に分けてコントローラを設計する.まず,ボディの姿勢を安定化しながら,並進速度を与えられた目標関数に漸近的に収束させるように並進方向の制御入力を設計する.つぎに,水平面内の運動を表わすモデルを時間軸状態制御形に変換して,ロボットの並進速度に応じた旋回方向の制御入力を設計する.本手法では,三角関数,指数関数などの目標速度および目標軌道に追従させることができる.また,コントローラの制御ゲインは線形理論にもとづいて比較的容易に調整できる.この際,姿勢安定化と軌道追従のためのそれぞれの制御ゲインは独立に選ぶことができる.小型の倒立振子ロボットを用いた実験において,並進速度が変動したときでも与えられた目標軌道に追従して走行することを確認した.


■ 1入力非線形システムに対する位相面における幾何学的考察に基づく非線形コントローラの設計

東京工業大学・鈴木 洋史,関口 和真,三平 満司

 本論文では,1入力の入力アファインの非線形システムに対し,位相面における挙動に着目した非線形フィードバックコントローラを提案する.非線形システムの主なものとして厳密な線形化手法と平衡点近傍でテーラー展開を行いその1次項を用いて線形システムを定義する1次近似線形化がある.厳密な線形化手法は3次以上のシステムのクラスは限られている.また1次近似線形化は平衡点から離れたところで精度が悪くなり不安定になるが平衡点近傍では最適制御である.本論文では1次近似線形化の性質を考慮し近似の精度が悪くなる平衡点から離れたところでは安定性をまず確保し平衡点に近づけることを目的とし,原点近傍においては1次近似線形化という意味で最適制御にする手法を提案する.そのため1次近似線形化よりも安定化が可能な領域を広げることができ原点近傍で最適制御になっている.リアプノフ関数を考慮することで安定性を保証し,原点近傍では1次近似線形化のベクトル場を考慮する手法である.そのため提案するコントローラは,1次近似線形化よりも安定可能な領域が広げることができ,原点近傍で最適制御になっておりロバスト性の高い制御になっている.倒立振子モデルを適用例とし,その有効性について検証している.


■ コロケーション条件を満たすジャイロシステムの出力フィードバックによるロバスト安定化とLMIによる最適設計

電気通信大学・黒滝 勇貴,大阪府立大学・長塩 知之,電気通信大学・木田 隆

 コロケーション条件を満たす力学系の制御には,その係数行列の対称性を利用した特有のロバスト安定性を利用した静的出力フィードバック制御が有効であることが知られており幾らかの最適設計法が提案されている.本稿は,その考え方を,歪み対称係数行列をもつジャイロシステムに拡張し,線形行列不等式を解く事によって,外乱抑制を制御仕様とするH∞最適化を行うためのひとつの設計法を提案する.また得られた最適制御器はジャイロ項と相殺する性質を持つ事を示しそのための条件を求める.さらに,この結果に基づいた動的出力フィードバック制御の構成法について述べる.最後に数値例を用いて有効性を検証する.


■ 双対分解とゲーム理論に基づくリアルタイムプライシングによる電力網の系統周波数制御

慶應義塾大学・大久保 徳雄,佐藤 隆太郎,滑川 徹

 本論文では, 双対分解とゲーム理論に基づくリアルタイムプライシング手法を提案し, 電力網の系統周波数制御への応用を検討する. 電力系統においては, 需給のアンバランスが電力品質の低下を引き起こすため, 需要側と供給側両方が協調していることが望ましいが, それぞれの振る舞いが, 協調的になされるとは限らず, 利己的になされることを想定し, ゲーム理論を考慮することで, 利己的な振る舞いを系統全体にとって望ましい振る舞いへと誘導することを試みる. 従来のゲーム理論を考慮したプライシング手法において議論されてこなかった, 制約を考慮した最適化問題を, 双対分解を考慮することによって, ゲーム問題として分散化し, 社会全体の公共利益の達成がプライシングによって可能であることを証明した. そして, 電力網の系統周波数制御問題に, 提案プライシング手法を適用したシミュレーションにより, 当初の目的である利己的な振る舞いを公共利益へと誘導する試みが達成できることを確認する.


■ 3 自由度パラレルリンク型アクティブ吸振器付き搬送台車における搬送台の水平化制御−.スカイフック理論を用いた水平化制御−

島根大学・浜口 雅史,谷口 隆雄

本論文では,3自由度パラレルリンク型アクティブ吸振器付き搬送台車を対象とし,搬送台を常に水平保持する制御系を構築した.本吸振器は,3つの直動アクチュエータを協調動作させることにより,搬送台のロール角,ピッチ角,鉛直方向変位の3自由度を制御することができる.この吸振器を搭載した搬送台車が不整地路面上を走行した場合でも,常に搬送台が水平状態を保持するよう,スカイフック理論を用いて制御系を構築した.本制御系の有効性を制御シミュレーションならびに制御実験により明らかにした.


■ 因子分析によるパーキンソン病患者の指タップ運動機能評価と分類

横浜国立大学・島 圭介,広島大学・山口 裕希,芝軒 太郎,辻 敏夫,
日立製作所・神鳥 明彦,佐野 佑子,国立病院機構刀根山病院・佐古田 三郎

 指タップ運動(拇指と示指を開閉する運動)はパーキンソン病(PD)患者に対する運動機能評価のためによく用いられているが,診断には計測した運動データから求めた10以上の評価指標が利用されており,評価指標間の関連性や評価指標に影響を与える基本的な要因はまだ明らかにされていない.本論文では,因子分析を用いてPD患者の指タップ運動機能評価に影響を及ぼす要因を明らかにするとともに,異常運動を構成する要因をもとに健常高齢者とPD患者を指タップ運動の特徴に基づいて分類・評価する新しい方法を提案する.実験では,健常者396名およびPD患者35名に対し指タップ運動の計測,評価を行った.PD患者群の評価結果に対して因子分析を行った結果,「指の開閉能力」,「運動の安定性」,「運動リズム」の3つの因子がPD患者の指タップ運動機能評価に影響を及ぼすことを明らかにした.さらに抽出した因子に基づいて8つの運動パターンに被験者をグルーピングすることで各患者の運動機能障害の特徴を詳細かつ直感的な議論が可能になることを示した.


[ショート・ペーパー]

■ 分散型LED 照明システムの点灯パターン制御

京都大学・南 裕樹

 本論文では,複数のLED照明が通信路で接続された分散型照明システムを対象とし,各照明が自律
分散的に点灯パターンを決定する問題を考察する.本論文では,まず,目標照度分布が任意に与え
られたとき,照明システム全体が作る照度分布が目標分布にほぼ等しくなるように各照明の点灯パ
ターンを自律分散的に決定するという問題を定式化する.そして,問題の解としてシンプルな分散
制御アルゴリズムを提案する.最後に,提案アルゴリズムの有効性をシミュレーションおよび実験
により検証する.

 
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