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 論文集抄録
  

論文集抄録

〈Vol.49 No.7(2013年7月)〉

論 文 集 (定 価) (本体1,660円+税)

年間購読料 (会 員) 6,300円 (税込み)

  〃   (会員外) 8,820円 (税込み)


タイトル一覧

[論  文]

[ショート・ペーパー]


[論  文]

■ 布の折れ重なりやしわの状態、布地に着目した画像特徴量による無造作に置かれた布製品の個体識別

東京大学,JST・山崎公俊,東京大学・稲葉雅幸

 本論文では、布製品の個体識別について述べる.日常的に利用される布製品について、
それらが無造作に置かれた状態を一枚の画像データとして観測し、それを用いて識別を行う方法を提案する。
 多数のガボールフィルタを利用した画像処理により布製品の布地やしわ、布の折れ重なりの情報を抽出し、それをベースとした特徴量記述を行う。21種類の布製品を用いた画像データベースを作成し、提案手法の評価を行った結果についても述べる。布地としわの分布に着目した特徴量が特に有効であることがわかり、いくつかの特徴量の組み合わせにより識別率99%を達成した。


■ 拡散現象を考慮した電気自動車用二次電池の連続時間システム同定

慶應義塾大学・川口貴弘,京都大学・丸田一郎,
慶應義塾大学,カルソニックカンセイ・馬場厚志,慶應義塾大学・足立修一

 電気自動車の本格普及に向けて,二次電池の充電率を精度良く求める方法が求められている.充電率を正確に推定するためには電池の動特性を精度良く記述するモデルを構築することが重要である.システム同定によって電池のモデルを構築する従来の方法では,電池内部の拡散現象や,充電率と開回路電圧の関係といった特性を考慮にいれておらず,十分な精度のモデルを得ることは困難である.そこで,本論文ではこれらの特性を考慮したグレーボックスモデリングの方法を提案する.そして,数値シミュレーションと電気自動車を用いた走行実験を行い,提案法によって精度の良いモデルを構築できることを示す.


■ 地形情報を用いたモデル予測型隊列走行制御系の省燃費効果に関する一考察

九州大学・郭 亜南,向井正和,川邊武俊

 本論文では,省燃費の観点で,著者らが提案した省燃費のためのモデル予測型隊列走行制御系を従来の隊列走行制御系と比較する.車両の空力特性を考慮した車群の縦方向の運動モデルを構築する.提案した制御系では,車両の燃料消費が評価関数に含まれ,車両の燃費を向上させるために地形情報を基にした予測が用いられる.提案した制御系と従来の制御系は,車群形成,目標速度変化と勾配道路走行のような三つのケースでシミュレーションされた.これらの制御系の省燃費性能を比較した結果より,地形情報を基にした予測を行うので,提案した制御系による車両の燃費が著しく改善されていることを示した.


■ CPGシナジー仮説:非定常リズム信号を生成可能なCPGシナジーモデルの提案と指タップ運動の表現

広島大学・島 圭介,丸元崇弘,芝軒太郎,栗田雄一,辻 敏夫,
日立製作所・神鳥明彦,佐野佑子,広島大学・吉栖正生,
国立病院機構刀根山病院・佐古田 三郎

 本論文では,指のタッピング運動(以下,指タップ運動)のようなリズム運動の生成メカニズムをモデル化することを目的とし,非定常リズム信号を生成可能なCPGシナジーモデルを提案する.提案モデルは,単純なリズムパターンを生成するCPGを複数備えており,個々のCPGが生成したリズムパターンを重み係数と時間シフトで結合することで, 1周期ごとに振幅や周期が急激に変化する複雑なリズム運動を表現する.実験では,複数のsin波からなる人工リズム信号を提案モデルを用いて精度良く近似できることを示し,信号を生成するCPGや重み係数などの各パラメータを波形から推定可能なことを明らかにした.また,健常者群とパーキンソン病患者群の指タップ運動から推定したモデルパラメータに有意水準0.1%で有意差が認められたことから,提案モデルがリズム運動の評価に利用できる可能性を示した.


■ 強化学習における方策評価の効率化による学習の加速

京都大学・泉田 啓,服部 俊,幸田武久

 強化学習問題の基本的解法は,方策評価と方策改善から構成され,その反復により最適方策を得る.本研究では学習を効率化するために方策評価を効率化するアルゴリズムを提案する.提案手法はクリロフ部分空間法(KSM)に基づいており,数値計算例で,これまで用いられてきた定常反復法型アルゴリズムより数十倍から数百倍効率的である.これはKSM型に一般に期待されるより遥かに高効率である.本研究では,何故このように高効率になるのかを数値シミュレーションと理論的考察により明らかにする.


■ 最小認識ハードウエアの自律移動ロボット−つくばチャレンジ参加ロボットMG-11−

ミツバ,群馬大学・小暮和重,ミツバ・塩谷敏昭,群馬大学・太田直哉

 自律移動ロボットは、これまで、多くのセンサと強力な認識ハードウェアで、動作の信頼性を実現するという方針で開発されてきた。しかし、我々は、製品に組み込むことを指向し、必要最小限なセンサと認識ハードウェアで、これまでと同等の信頼性ある動作を実現させることを指針とした。これをMinimal Autonomous Mover(MAM)と名付けた。音楽や絵画に,最小限の構成要素を使用するMinimal (ミニマル) という形式がある.この名前はこれに因んだ.
 自律移動ロボットは、自己位置認識と障害物回避で構成される。自己位置認識では、レーザーレンジファインダで計測した環境地図のマッチングを、2 値画像の重ね合わせと貪欲法(greedy algorithm) で行っており、障害物回避では、ピクセルマップへの投影と、直線による経路の仮定により行った。いずれも必要最小限な、単純な方法である。
 我々は、このような設計指針で MAMを制作し、つくばチャレンジと呼ばれる自律移動ロボットの大会に参加した。そして、設定されたすべての課題をクリアして、ゴールまで完走することができた。


■ PDフィードバック系のFRIT その結果からの制御対象の推定と制御系設計への応用

東芝三菱電機産業システム・重政 隆,根岸靖典,馬場 泰

 近年PID制御系のデータ駆動形調整方法としてIFT(Iterative Feedback Tuning),VRFT(Virtual Reference Feedback Tuning),FRIT(Fictitious Reference Iterative Tuning)などが提案されている.プラントの動特性試験をすることなく,更にデータからの動特性モデル化のための作業も無しに,目標値変更時の操作量と制御量からなる一組の応答データから,PID制御系が調整できるFRITには興味を持つ.産業界側から見ると工数のかかるモデル化作業が削減できる反面,モデル無しにPID調整をすることに一抹の不安もある.しかしながらFRITの結果から動特性モデルも得られるという進展を見せてきている.PD(比例微分)フィードバック系のFRITが実現できれば,モデル駆動PID制御系や2自由度PID制御系への調整へ展開できるので,ここではPDフィードバック系を取上げFRITの実現を試みた.更に,このPDフィードバック系のFRITの結果から制御対象モデルを推定できることを示し,モデル駆動PID制御系から2自由度PID制御系の設計までも行えたので,それらの数値例も紹介した.


■ r-近傍通信に基づくロボットマスゲーム

京都大学・泉 晋作,東 俊一,杉江俊治

 本論文では,各ロボットがr-近傍通信が可能,すなわち自分から一定距離以内のロボットと通信できる状況下でのマスゲーム問題を考える.ここで,マスゲーム問題とは,濃淡画像が任意に与えられたときに,ロボット群がその画像を表すフォーメーションを形成するような分散制御器を求める問題である.この問題を解くために,本論文ではまず,r-近傍通信の環境下であることを考慮して,先行研究で開発された,マスゲームの達成度を表す評価関数を拡張する.そして,問題の解となる分散制御器を提案し,その制御器が拡張された評価関数を最適化するフォーメーションを実現することを示す.また,拡張された評価関数と元の評価関数の間の差から,マスゲームを実現するために必要な,ロボットの通信距離について考察する.最後に,以上の結果の有効性を,画像処理分野で用いられる標準画像に対する数値実験によって検証する.


■ 知的PID制御系の安定化に関する一考察

京都大学・稲垣 聡,丸田一郎,杉江俊治

 制御対象のモデルを必要としない制御手法の1つとして,近年提唱された知的PID制御手法がある.
この制御法は様々な制御対象に対して有効であることが知られているが,安定性に関する研究は行われてこなかった.本論文では知的PID制御手法の安定性に関する考察を行い,モデルの相対次数が安定性に関して重要な因子であることを示した.また,実機実験によって知的PID制御手法の有効性を検証した.



[ショート・ペーパー]

■ ワイヤレスカメラを用いた天井ふところ内の損傷目視検査

足利工業大学・仁田佳宏,早稲田大学・西谷 章,
戸田建設・渡壁守正,稲井慎介,足利工業大学・岩崎充実

 本論文は,立入りが困難な天井の安全確認を行うことを目的として,ロボットに搭載したワイヤレスカメラによる天井ふところ内の検査手法を提案する.提案手法では,点検口よりロボットに搭載したワイヤレスカメラを天井ふところ内部に挿入することで,天井部材を取外すことなく,立馬などの可搬式の足場のみで,安全かつ容易に天井部材のカメラを通した目視による安全確認が可能となる. 東日本大震災で被災した栃木県内の工場の天井への適用を通して,本手法の有用性を示す.


 
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