計測自動制御学会・中部支部

 

第4回制御理論ワーキングセミナー

 

日時:平成11年11月24日(水)14:30〜18:00

会場:豊田工業大学 本館 本館ホール (地図はこちら

 

テーマと講師

要旨
(m−1)次元格子点に指標されたべクトルの可算無限集合に状態空間をもつ線形差分力学系(線形mD離散時間システム)の安定性、安定化・状態推定に関する基礎理論を話題とする.最近の私の研究からシステム状態空間での記述に基づいたリヤプノフ形の行列不等式を用いる安定判別法を紹介し、関連する内容を論じる.このリヤプノフ形行列不等式は正定値行列の並列和(抵抗和)を核として記述されるもので、mDシステムの安定性を明確に解釈することができる.また、それは線形1D離散時間システムの安定性(すなわち、定数行列の安定性)における良く知られたリヤプノフ不等式のごく自然な拡張と見なすことができる.この結果はリカッチ形の行列不等式に基づいた安定化の可能性判定に拡張でき、さらに線形1Dシステムでのルーエンバーガーによる状態推定・安定化器設計法を模した制御系設計を行うことにより、所謂「分離定理」に相当する結果が線形mDシステムにおいて主張できる.その他、関連する線形mDシステムでの話題を線形1Dシステムでの良く知られた基礎理論との対比によって論ずる.

要旨
線形行列不等式(LMI)の手法は、古典的な方法と比べて、単純さ、柔軟さ、計算の効率という3つの点で優れており、ロバスト制御の分析とシンセシスのために、近年不可欠な道具となっている。しかし、システムの性能をチェックするリャプノフ関数は、それ自身が制御変数に含まれているため、LMIの柔軟さというのは、存在するほとんどのLMI公式において、十分に使われているとはいえないのが現状である。この結果、解についての不要な制約が生じ、また、LMIの実用上の有用性を制限している。この講演では、この弱点をどのように取り除くことができるかを示したい。具体的には、リャプノフ関数と制御変数の間の相互作用を迂回することができる、ほとんどのロバスト制御問題において最新かつたいへん柔軟なLMIの特徴を示す。これは膨大な問題に対する保守性を劇的に軽減するだけでなく、ロバスト制御における新しく挑戦すべき問題を解くためのLMIの能力を発見するものである。

 

(注)大場君の講演は豊田工業大学制御システム研究室セミナー,H.D.Tuan君の講演は豊田工業大学研究談話会との共催.

 

定員:60名(参加費無料)

関心をお持ちの方はどなたでもご自由にご参加下さい。

問い合わせ先

豊田工業大学工学部制御情報工学科
(〒468-8511 名古屋市天白区久方2-12-1)
成清辰生
(Tel:052-809-1816, E-mail: n-tatsuo@toyota-ti.ac.jp