計測と制御 2004年6月号

VOL.43 2004

ミニ特集「情報通信と制御におけるリアルタイム技術」

高度情報社会の成熟期である21世紀を迎え,情報通信ネットワークは単に情報伝達機能を担う通信設備というだけではなく,情報や知識を蓄積し,これを複数の利用者により共有・活用可能ならしめることによって豊かな社会活動や生産活動を実現するための社会的基盤としての発展が期待されている.そのためネットワークは高速・大容量の伝達機能を有するだけでなく,高度な知的機能とリアルタイム性が求められている.また,制御理論および制御工学の分野では近年サンプル値制御,ハイブリッド制御,遠隔制御,力覚情報通信に見られるように,コンピュータや通信ネットワークと従来のフィードバック制御系を結合した異種システムの結合系に関する理論的研究が精力的に行われている.特に,情報通信ネットワークは離散事象系としての特徴と伝達遅延という観点から従来の制御理論との融合により新しい問題発掘と成果が期待できるテーマであると考えられる.

本ミニ特集では,情報通信ネットワークと制御理論および制御工学の融合を視野に入れながら,「リアルタイム」というキーワードで両者の接点を探ることが目的である.ここで言うリアルタイムとは「結果の真偽(評価)が経過時間に依存する」という意味であり,決して「瞬時に」とか「速い」という意味ではないことに注意されたい.まずは,この概念の確認をおこないながら,情報通信ネットワークとスケジューリング理論の基礎について解説を行う.また,実際に活用されているリアルタイム通信技術として特にVoIP(インターネット電話)技術について解説をいただく.またリアルタイム通信技術に関連したプロジェクトとして,人間支援のための分散リアルタイムネットワーク基盤技術研究,リアルタイム通信技術としての資源予約型ネットワーク,成層圏プラットフォームにおける放送・通信ミッションなどの解説をいただく.


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