計測と制御 2005年12月号

VOL. 44, 2005

特集「相互作用の本質にせまる〜知的システムの理解と設計の新視点〜」

近年,インターネットやマルチメディアなどの発展によって情報やデータが分散化・増大化するだけでなく, その種類も増え,われわれを取り囲む環境は常に変化・複雑化している. また,ロボットやユビキタス社会などの利用が身近になり,生活環境も大きく変わりつつある. そのような複雑で動的な環境における人間やエージェントや機械の知能を理解あるいは 実現することを目的とする各研究分野での共通キーワードとして, 「相互作用」という言葉が用いられるようになって久しい. 実際,エージェントやロボットや情報処理などさまざまな研究領域において 「相互作用」に焦点を当てた研究が盛んに行われ,数多くの成果が報告されている. しかし,そのような従来の各領域における「相互作用」研究は, それぞれ独自に定義した一面的な「相互作用」を深く追求するものがほとんどであり, 領域を横断するような「相互作用論」が語られることはあまりない. それどころか,「相互作用」という概念の定義(相互作用とは何か)や意義 (相互作用がなぜ重要なのか)についても領域間で統一的コンセンサスが 取れているとは言い難いのが実状である. その一方,今後,環境の複雑化・巨大化はさらに加速することが予想され, これまでのような単一種類の相互作用だけでなく, 多種多様な相互作用を適切に利用かつ操作できる設計原理を確立することが必要になることは疑いがない. このような背景に基づき,本特集は,マルチエージェント,システム工学, 認知情報科学,知能ロボット,情報検索,ゲーム理論, 実験経済学などのさまざまな分野から研究者を集め, それぞれの分野における最新の研究動向ならびに代表的な文献の紹介を行うとともに, 「相互作用」の観点からそれぞれの分野をとらえ直すことで, SICE読者にさまざまな「相互作用」研究を鳥瞰図的に見渡せる機会を提供し, 研究領域の垣根を越えた統一的な相互作用設計原理構築の研究参加を訴えようとするものである.


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