福祉工学部会見聞録

 

2005616() 13:3015:30、福祉工学部会見学会セミナーにて

場所 東海大学 湘南校舎 電子情報学部

URL http://www.ite.u-tokai.ac.jp/index_ite.html

 

2005年度第1回福祉工学部会見学会セミナーを開催しました。当日は遠路はるばる甲府市からご参加の作業療法士の方もおられ、8名で見学しました。最初に、増田良介教授よりご挨拶と電子情報学部(2006年度より情報理工学部)のご紹介があり、その後、3研究室を見学させていただきました。

 

増田良介(ますだ りょうすけ)研究室http://www.dc.u-tokai.ac.jp/3laboratory/dc13masuda/index.html

お箸を使った食事介助支援ロボットの実演

顔の好きな位置に貼った小さな反射シールをモニタの上に装着されたカメラで検知し、顔の動きでパソコンのマウスを操作できるようになっています。そしてパソコンのモニタ画面に映った食べ物を選ぶと、ロボットが自動的にそれをお箸でつまみ、口元に持ってきます。食べ物を口に入れると、お箸が口元から離れて行きます。どのようなお箸で、どのようなものが掴めるかとか、掴みやすいか、ロボットへの指示の仕方など研究されていました。この研究は、研究室にあるロボット技術を活かしてシーズになる技術を検討している段階で、ニーズとの摺り合せが早くできるようになるよう研究の進展を期待したいと思います。現在、ロボットアームは産業用ロボットアームで代用しているため、口元への持って行き方が限定されています。より食事がしやすいようなアームの検討や、ロボットの操作性の向上、力制御を用いた箸操作など研究要素があるようです。

 他のご研究はビデオや写真で説明して下さいました。ロボットのための触覚センサの研究とその応用作業(触覚情報を使って、粘土をおだんごやお結びを作るとか)、人を直接ハンドリングする救助ロボット、こころを持つロボット、ロボット支援型教育システムなどなど。

上図で説明しているのが、増田良介教授。次図で写真中央は、人といっしょに縄跳びができるジャンピングロボット。

 

 

曲谷一成(まがたに かずしげ)研究室 http://elma.ep.u-tokai.ac.jp/~web

96チャンネルの表面電極を腕に巻いて筋電位を測定し手の動きを識別する研究、視覚障害者支援関連技術(GPSを用いた誘導装置、白杖を利用した道案内ICタグを利用した音声誘導の研究)をご紹介いただいた。筋電位を制御に用いた研究は、曲谷教授が学生のときに関わった研究でもあり、当時は手の動きの認識は、手を握る・開く、背屈・掌屈くらいの区別だったそうだが、現在は18動作が80%以上の認識率で区別でき、ビデオで研究紹介があった。また白状を利用した道案内は、実際に廊下に色の付いたテープが貼ってあり、体験させていただいた。選んだ色のテープを白杖が横切ると白杖が振動するので、道案内をしてくれる。写真中央の説明している方が、曲谷教授です。

 

 

志村孚城(しむら たかき)研究室 http://lab7.ec.u-tokai.ac.jp/lab/

研究室の研究を田中有紀さんにご紹介いただいた。何度も注射すると皮膚が硬くなり、そこに針を刺すと痛いので、痛くないところ探すという研究もされていた。その後、早期痴呆のリハビリ効果を定量的に計測する方法を開発するため、音楽リハビリを施行した被験者の前頭のヘモグロビン量を無侵襲酸素モニタで測定し、前頭葉が音楽を聞くことで賦活するかどうか調べる実験を実際に実演して見せていただいた。

この研究は、まだ始まって間もないようで、今後の成果に皆関心があるようでした。

スナップ写真を撮り忘れたので、ポンチ絵を描きました。(想像してください。)音楽を聴く前と聞いた後に測定したデータをパソコンで解析している様子です。音楽は、前回施設で実験の際に用いたというマツケンサンバでした。

なお、第7回日本早期痴呆学会大会が東海大学で2005910-11日にあり、大会長は志村教授で、テーマは「早期痴呆検診と脳リハビリ」で、その案内をいただいた。

 

参考 7回日本早期痴呆学会大会 http://lab7.ec.u-tokai.ac.jp/jsed7/index.html

(文責 小野栄一)