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 会告:2005年度計測自動制御学会学術奨励賞の贈呈

学術奨励賞 研究奨励賞10君,学術奨励賞 技術奨励賞4君に贈呈された.

○学術奨励賞 研究奨励賞

まきの やすとし
牧野 泰才 君(学生会員)

 2002年東京大学工学部計数工学科卒業.04年同大学大学院情報理工学系研究科システム情報学専攻修士課程修了.同年同専攻博士課程進学,現在に至る.触覚提示システムに関する研究,2次元通信技術およびその応用に関する研究等に従事.

受賞論文「筋電分布を計測するリストバンド型インタフェース」
<第22回センシングフォーラムで発表>
 従来提案されてきた筋電計測は基本的に点計測であったため,多様な情報を得るために2次元的に皮膚表面から情報を取得しようとした場合,その配線数が増大するという問題があった.その結果,筋電情報をマシンとのインタフェースとして用いるには困難が多かった.この問題に対し,われわれは2次元通信技術を利用し,筋電を2次元的に計測する新しいマンマシンインタフェースを提案した.2次元通信とは,あるシート上に配置されたセンサ素子同士が,個別に配線することなくシート内で通信を行えるという技術であり,そのシートを柔軟な素材で実現できることが確認されている.これにより,高密度な電極アレイをもったリストバンド型の筋電計測装置が無配線で実現可能になる.リストバンド型の2次元筋電計測装置の実現法,およびマンマシンインタフェースとしての利用可能性を示し,高密度に筋電パターンを取得することで,容易に手腕動作が予測されることを確認した.


くまがい まさあき
熊谷 正朗 君(正会員)

 97年東北大学大学院工学研究科機械電子工学専攻博士前期課程修了,2000年同後期課程修了,博士(工学).同年東北大学工学部助手,03年東北学院大学工学部講師,現在に至る.ロボットに関わる諸要素技術,主にセンシングに関する研究に従事.

受賞論文「光等位相面切断法によるロボット用3次元計測システムの開発」
<計測自動制御学会東北支部第219回研究集会で発表>
 ロボットが不明確な環境や物体を対象として動作するためには,その情報を得ることが不可欠である.本論文では,3次元情報を得るための,自ら光を照射するアクティブステレオビジョンの一手法を提案した.まず光源として,点(線)光源を用意し,その周囲で円周方向に透過率が正弦波状に変化する円筒を回転させる.これにより対象上に移動する明暗縞が投影されるが,これは光源からの方向に応じた異なる位相をもつ変調光が照射されていることにほかならず,特定の位相をもつ面(光等位相面)が連続的に生成される.これをビデオカメラで撮影し,各画素ごとに同期検波を行って位相を抽出する.検出された位相から,画素の観察している点がどの光等位相面上にあるかが特定され,三角測量の原理によって画素ごとに距離を測定できる.実機により,2秒程度の測定で320×200点の距離が同時に,分解能5mm未満(範囲130mm程度)で計測できることを示した.


はたなか たけし
畑中 健志 君(学生会員)

 2002年京都大学工学部情報学科卒業,04年同大学大学院情報学研究科数理工学専攻修士課程修了,同年同大学院博士後期課程進学,06年日本学術振興会特別研究員,現在に至る.拘束システムの解析および設計の研究に従事.

受賞論文「不確かな拘束システムに対する確率的出力許容集合の構成」
<第34回制御理論シンポジウムで発表>
 本論文は不確かな拘束システムを対象とし,拘束を許容する初期状態集合(出力許容集合)の構成を目的とする.これに類する先行研究においては計算効率の理由から不確かさの表現形式が限定されるため,設計者には不確かさの過剰見積もりや簡単化が強いられるという問題がある.そこで本論文は,問題を簡単化するのではなく,拘束の充足という目的を緩和し,確率的に拘束を許容する初期状態集合(確率的出力許容集合)の構成法を提案する.まず,既存の逐次的ランダム化アルゴリズムを応用することで,集合の構成が可能であることを示す.ただし,このアルゴリズムは過大な計算負荷を必要とし,かつ有限回の反復での終了が保証されないという問題を有するので,本論文はさらにこれらの問題を克服する改良アルゴリズムを与える.提案法によって得られた集合は,拘束の充足に一定のリスクを受け入れる必要はあるものの,不確かさの過剰見積もりを避けて保守性の低い応答の達成に利用できる.


かしま けんじ
加嶋 健司 君(正会員)

 2002年京都大学大学院情報学研究科複雑系科学専攻修士課程修了,05年同専攻博士後期課程修了.同年より京都大学大学院情報学研究科特任助手,同年6月より東京工業大学大学院情報理工学研究科助手,現在に至る.むだ時間系をはじめとする無限次元系の制御に関する研究に従事.

受賞論文「あるクラスの無限次元システムに対する標準型H∞制御問題の一般解」
<第33回制御理論シンポジウムで発表>
 通信ネットワークやシステムバイオロジーが制御理論の枠組みで議論されることが増えるにつれ,むだ時間系の制御が改めて注目されているように,無限次元系は制御対象として重要なクラスの1つである.本論文では,こうした無限次元系に対する標準型H∞制御問題の一般解を導出している.この問題に対する従来結果としてはRiccati作用素方程式を用いる解法が代表的であるが,この方程式自体が容易に解けるものではなく,必ずしも実用的とはいい難い.一方,本研究では対象とするクラスを実用的な範囲で限定することで,最終的に容易に計算可能な条件(行列Riccati方程式と付加的なランク条件)に帰着させている点が,従来結果とは大きく異なる.さらにこの結果は,制御対象の非最小位相特性がH∞制御性能へ与える影響を特徴づけるというシステム論的意義をもつ.


しらね かずと
白根 一登 君(学生会員)

 2002年東京工業大学制御システム工学科卒業,04年同大学大学院情報理工学研究科情報環境学専攻修士課程修了,同年同大学院博士課程進学,現在に至る.人間の運動制御,ハイブリッドシステムなどの研究に従事.

受賞論文「随意運動の終点誤差分散最小モデルの双対性に関する考察」
<第5回制御部門大会で発表>
 人間の随意運動における運動生成メカニズムの1つの有力なモデルとして,終点誤差分散最小モデルが知られている.これは,人間の脳から筋肉へ送られる運動指令信号には信号の大きさに比例する分散をもつ外乱が印加されることを仮定し,その結果として発生する運動の誤差を最小とするように人間は運動指令を生成している,とするモデルである.これは脳による身体の制御と考えることができる.一方で,人間の脳は感覚器を通じて得られる情報から外界の状態を推定する推定器としての機能をもっている.
 本論文では,制御問題と推定問題の双対性に着目し,信号依存ノイズのもとで運動の誤差を最小化する制御問題と双対な問題を定式化し,これが信号依存出力ノイズのもとでの最適推定問題と解釈できることを示した.さらに実験により,人間のもつ推定機能にこのような信号依存ノイズが実際に存在することを確かめた.


たにぐち ただひろ
谷口 忠大 君(学生会員)

 2003年京都大学工学研究科精密工学専攻修士課程修了,現在同博士課程に在籍.03年度から21世紀COEプロジェクト「動的機械システムの数理モデルと設計論」若手研究助成対象者.05年度から日本学術振興会特別研究員(DC2).おもに記号創発問題を中心とした,自律システムにおける発達的機能・知能形成に関する研究に従事.

受賞論文「報酬設計による社会的相互作用に基づいた多様行為概念の自律的獲得」
<第15回インテリジェント・システム・シンポジウムで発表>
 人間社会では社会的相互作用を通じて多様な行為概念を学習者に獲得させていくという過程が多く見受けられる.しかし,自律ロボットの学習理論において,このような学習過程の研究は少ない.本論文では,相互作用をとおして自律ロボットに与える報酬系を人間がしばしば変化させる状況を問題設定とした.人間がペットなどの自律系に対しさまざまな行動を獲得させようとしている場面を考えるとこのような状況は自然な問題設定である.この条件下で自律ロボットが,報酬や環境との相互作用を通して求められる行動の変化に自発的に気付くことにより,多様な行為概念を獲得していくための枠組みとして強化学習シェマモデルを提案した.これはシェマの分化理論をTD学習と呼ばれる強化学習の主要なクラスに適用した累増的行為概念獲得手法である.これをGrid空間における簡単なQ-Learningにおける複数報酬系切り替え環境下に適用し,その有用性を検証した.さらに,これらを汎化為概念学習器として提案されている双シェマモデルベースの強化学習に適用し,汎化行為概念を累増的に獲得した実験結果についても報告した.


かわしま のりたか
河島 則天 君(正会員)

 98年金沢大学教育学部スポーツ科学課程卒業,2000年同大学大学院教育学研究科保健体育専攻修了,同年国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所技術員,02年同研究所流動研究員,05年芝浦工業大学先端工学研究機構助手,同年博士号取得,現在に至る.ヒト歩行運動の神経制御,中枢神経疾患者の神経リハビリテーションの開発に関する研究に従事.

受賞論文「歩行運動出力の発現に貢献する脊髄神経回路」
<第19回生体生理工学シンポジウムで発表>
 ヒトの歩行運動を実現する神経調節機構のうち,中枢神経系の中でも下位の階層に位置する脊髄の役割に焦点をあて,歩行運動出力の発現に対する脊髄神経回路の貢献について検討した.本研究では,高位中枢と麻痺領域の神経性結合が完全に遮断されている脊髄損傷者を対象とし,特殊な装置を用いた受動的立位姿勢下で左右の脚をさまざまな運動形態で動作させた際の麻痺下肢筋活動の振舞いを比較した.その結果,左右の脚を交互に動作させた際に筋活動が顕著に大きくなることを確かめ,左右の下肢を跨ぐ神経調節機序の存在が示唆された.この結果は動物実験で得られた脊髄神経回路の特性によく一致することから,ヒトの歩行運動出力の発現に脊髄神経回路が貢献していることを示す根拠となりうる.


せのお たく
妹尾  拓 君(学生会員)

 2003年早稲田大学理工学部応用物理学科卒業,05年東京大学大学院情報理工学系研究科システム情報学専攻修士課程終了.現在,同大学大学院博士課程在学中.ロボットアーム,ロボットハンド,ダイナミックマニピュレーションの研究に従事.

受賞論文「高速バッティングシステムによる打球方向の制御」
<第5回システムインテグレーション部門講演会で発表>
 マニピュレーション能力は腕や指を含めた運動機能だけでなく,視覚や触覚を中心とした感覚機能との協調によって生み出される.ロボット制御に必要なサーボレートが1kHz程度であることを考えると,視覚センサとして一般的に用いられているCCD(30Hz)ではセンサ処理の遅れがボトルネックとなり,運動能力を十分に発揮できていなかった.本論文では,ロボットの高速性を最大限に引き出すための戦略としてハイブリッド軌道生成を提案した.これは機械システム本来のもつ運動速度と操作対象の変動に追従する反応速度の両者を陽に考慮した2つの動作から構成されている.これを1kHzの視覚センサと高速マニピュレータからなるロボットシステムへ実装することで,人間が投げたボールをロボットが打ち返す高速バッティング動作を実現した.またボールを目標地点へ打ち返す動作について,シミュレーションにより動力学的解析をおこなった.


はつかり たくろう
初雁 卓郎 君(正会員)

 99年東北大学工学部機械知能工学科卒業,2001年東北大学大学院工学研究科博士課程前期修了.同年パラマウントベッド(株)入社,現在に至る.医療介護福祉分野における人と機械の協調動作に関する研究開発に従事.

受賞論文「人とベッドとの協調搬送システム」
<第5回システムインテグレーション部門講演会で発表>
 病院環境の中で,患者をベッドに載せたまま病室から手術室/検査室へ移動することは多い.ベッド搬送は患者や周辺機器を積載すると,医師/看護師に大きな負担となる.また,搬送技能がないと細かな操作が困難となる.そこで,動力を人とシステムで分担して動作負担を適度にするとともに,操作性も向上させる協調搬送システムを提案した.動作負担の適正化は,バネ特性をもつ搬送ハンドルの適用で人とシステムの双方向インタフェースによって実現した.操作性は,従来のベッドと同様の4輪キャスタに加えて駆動車輪を有するベッドとするとともに人の操作力をシステムの挙動に大きく反映させることにより,直進時やコーナリング時の操作性を向上させた.動作負担と操作性に関するシステムの有効性を示すための評価指標を提案し,定量的な効果を確認した.


もりた ひろし
森田  宏 君(学生会員)

 2004年慶應義塾大学理工学部機械工学科卒業,同年,同大学大学院理工学研究科総合デザイン工学専攻入学,現在に至る.小型分布触覚センサの開発にあたり,新しい触覚センサ素子のメカニズムの解明に関する研究に従事.

受賞論文「カーボンマイクロコイルを用いた小型分布型触覚センサの開発」
<第22回センシングフォーラムにおいて発表>
 本研究では,小型分布触覚センサの開発にあたり,mmオーダサイズで柔軟性に富んだセンサ素子であるカーボンマイクロコイル(CMC)に着目した.CMC触覚センサは,柔軟なシリコーンゴム内部にCMCを分布した構造を有し,センサの機械的変形を電気インピーダンスの変化として出力するセンサである.本研究では,CMC触覚センサのセンシング原理を解明することを目的に,機械−電気変換特性を定量的に測定し,インピーダンスの周波数特性,ひずみとインピーダンスの関係を明らかにした.その際,CMCのシリコーンゴムに対する混入量を制御させて,センサ素子内部のCMCの接触状態とそれに対応したインピーダンス変化の支配的要因を測定した.その結果,CMC触覚センサは,CMCの混入量が少ない場合,CMC間距離に応じたキャパシタンス変化を出力すること,混入量が多い場合,CMC単体の変形による抵抗の変化を出力することを明らかにした.


○学術奨励賞 技術奨励賞

やまね じゅん
山根  淳 君(学生会員)

 2004年東京大学工学部計数工学科卒業.同年同大学院情報理工学系研究科システム情報学専攻に進学,現在に至る.電磁波源推定逆問題に関する研究に従事.

受賞論文「Magnetic Dipole Localization by Using a Gradient Tensor Sensor」
<SICE Annual Conference 2005 in Okayamaで発表>
 13.56MHzのRFIDタグなど,内部にループアンテナの構造をもつものは磁気双極子とみなすことができる.このような磁気双極子の定位が可能となると,磁気マーカによるモーションキャプチャやロボットナビゲーションなどさまざまなアプリケーションの実現が期待できる.本論文では観測点と磁気双極子を結ぶ直線上において観測される磁場ベクトルの方向は常に一定であることを明らかにし,その性質より,観測点における磁場ベクトルとその勾配によるテンソルにより磁気双極子の定位が可能であることを導いた.さらに磁気双極子の対称性を利用することで問題を2次元化することができるため,単一のループコイルを回転させ計測を行うことにより磁気双極子の定位が可能であることを示した.つぎにループコイルと回転ステージによるシステムを構築し,提案するアルゴリズムを用いることで,実環境中にある13.56MHzの正弦電流で駆動されるチョークコイルの定位が可能であることを実験により確認した.


はっとり かなこ
服部可奈子 君(正会員)

 2000年青山学院大学理工学部機械工学科卒業,02年北海道大学大学院工学研究科システム情報工学専攻修士課程修了,同年(株)東芝研究開発センターに入社,現在に至る.ユビキタスセンサデバイスを使用した人の行動観測技術や行動分析技術などに関する研究に従事.

受賞論文「Advanced IE method using a behavior tracking system」
<SICE Annual Conference 2005 in Okayamaで発表>
 製造現場において,生産性,製品品質の維持と向上のためにインダストリアルエンジニアリング(IE)活動が行われている.本論文では,IT技術を導入することにより,人に依存していたIE活動を自動化する仕組みアドバンストIEの実現を目指し,その第1段階として,センサを利用した作業の自動観測・分析手法について提案した.作業分析を行う際に必要な作業者の動作単位(作業要素)を人の目で見る場合と同様にセンサから直接得ることは困難である.そこで,センサ特性をふまえて適切な作業者の状態を表わす要素(状態要素)を設定した.センサ値を状態要素に変換し,作業者の役割,レイアウト等の作業知識を加えて作業要素を作り出した.本提案手法の有効性を検証するために,RFIDセンサを用いて家電組立工場の部品供給者に対して作業の観測と分析実験を行った.その結果,レイアウトの問題を発見し,改善することで1人分の作業量を削減できた.また,本提案手法は従来手法の60%の時間で作業の観測と分析が可能である.


もりや あきひさ
森屋 彰久 君(正会員)

 98年東京電機大学工学部機械工学科卒業.2003年大阪大学大学院基礎工学研究科システム人間系生物工学分野博士前期過程修了.同年(株)東芝入社,同社研究開発センターヒューマンセントリックラボラトリー所属,現在に至る.生体計測,睡眠に関する研究に従事.

受賞論文「自律神経解析によるREM睡眠検出とその応用」
<第19回生体・生理工学シンポジウムで発表>
 従来より自律神経指標を取得する方法として心電や脈波データから取得した心拍間隔の周波数解析により交感神経に対する成分(LF/HF),副交感神経に対する成分(HF)の情報を取得する方法が用いられている.また,自律神経と睡眠には関わりがあることが知られている.本研究では加速度を用いて光電脈波センサからのデータを堅牢にし,自律神経指標と心拍変動のばらつき等を用いてREM睡眠とNREM睡眠の識別を行っている.これらの指標がサーカディアンリズムの影響と個人差の影響を受けるため,これを吸収するための方法が必要である.そこで1回の睡眠を睡眠の1サイクルが確実に入るような時間窓で区切りその時間窓の中で上記指標を基にREM睡眠とそれ以外をクラスタリング手法を用いて分離する手法を考案した.また,これを用いることにより,ユーザーの起床したい時間内にREM睡眠が存在したならばその時点でアラームを鳴らし快適に目覚めることが可能になる.


よしかわ まさひろ
吉川 雅博 君(学生会員)

 98年北海道大学文学部行動科学科卒業.99年富士通サポート&サービス(株)入社.2005年筑波大学図書館情報専門学群卒業,同年同大学大学院図書館情報メディア研究科入学,現在に至る.生体信号を用いたヒューマンマシン=インタフェースの研究に従事.

受賞論文「Human-machine Interface Using EMG Signals for Robot Hand Control」
<SICE Annual Conference 2005 in Okayamaで発表>
 筋電位信号は皮膚表面から容易に計測できるため,電動義手やロボットハンドを操作するためのインタフェースに利用する研究が行われてきた.本論文では従来手法と比較してより計算量の少ないシンプルな手法を用いて,操作者の意図に従ってロボットハンドを滑らかに制御可能な,筋電位信号を利用したインタフェースを提案した.手首と指関節の運動に関与する屈筋・伸筋の計測位置を同定し,線形分離可能な筋電位信号パターンを計測することで,複雑な計算や学習を必要としない動作識別が可能であることを示した.また,人間の関節制御機構に基づく数理モデルを構築することで,拮抗する屈筋・伸筋の筋電位信号から操作者の関節角度を精度よく推定できることを示した.本インタフェースを用い,2自由度を有する3次元CGロボットハンドの制御実験を行うことにより,本提案手法の有効性を確認した.
copyright © 2006 (社)計測自動制御学会