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 会告:2010年度計測自動制御学会学会賞「功績賞」の贈呈
 功績賞は,本会が関与する分野において,科学技術の進歩,産業の発展,もしくは,教育・啓蒙に関し,永年にわたって特別な功労があり,その功績が特に顕著な者の生涯的偉業を讃えるものである.

きたもり としゆき
北 森 俊 行 君(名誉会員) 

功績
1. 直交関数系を利用した動特性の測定法,アダマールの直交行列を利用した2元符号−アナログ変換の一般的方法,最急降下法による伝達特性測定系をHillの微分方程式の安定解の性質を利用して設計する方法(1964年論文賞)などを研究した.また適応制御が注目されるようになり,もっとも広く使われているPID制御系に限界感度法を使った適応制御系を考案した(1971年論文賞).
2. 適応制御より簡単であるべき運転中でない自動設計,さらには手計算による設計すらPID制御には十分な方法がないことに気づき,原点から考え直すことにした.同時になぜPIDなのか考え,状態フィードバック補償を部分的フィードバック補償にし,積分動作で制御するI-PD制御方式を提案したので,その設計法も必要になった.
 いくつかの試みの末,制御対象の部分的知識に基づく制御系の設計法にたどり着いた(1980年論文賞).PID動作の設計には3次方程式を解く必要があったが,I-PD動作は手計算で設計できた.I-PDが無理のない制御方式であることを示すことができた.
 補償要素・制御装置がディジタルになっても制御対象は連続時間ベースで働いているから,系全体は連続時間ベースで設計すべきであると考え,サンプル値制御系の設計法に拡張した.
 一入出力系から多入出力非干渉制御系の設計法に拡張した.さらに異なるサンプリング周期を有するサンプル値非干渉制御系の設計法に拡張した(1985年論文賞,北森は受賞5年以内で除外).
 もともと制御対象は一般的に非線形であり,それを線形化近似して線形制御を行っているのだから,近似の精度を上げて非線形性を入れたとき線形から非線形に連続的に拡張できなければならない.そのような制御対象の動特性表現を考え,非線形制御に拡張した.
 I-PD制御方式や部分的知識の基づく設計法は方法を提案しただけであるが,制御の現場から予想外の評価をいただいた.これは実証であって,工学が単なる数学の応用ではなく現場と密着して築かれるものであることを具現することになった.現場からバックアップしてくださった方々に感謝申し上げたい.
3. 計測システムを構築するということはさまざまな部品を組み上げて計測に必要な機能を実現するのであるから,どのような機能にはどのような構造が必要か,機能と構造の関係を明らかにする必要がある.数多の計測システムを概観し,特徴的な構造のもたらす機能を明らかにした.
 反復構造,双極性構造,差動構造,複数回の測定操作,校正曲線などがもたらす機能,線形性の向上,完全な線形化,感度の向上,計測値以外の物理量の消去などの機能と構造の関係,そして“計測方程式”の構造を明確化し,測定データを収集する因果の過程に対して,計測方程式から不要な環境変数その他の物理量を消去して,計測量を求める過程を“果因”過程として特徴付けた.

略歴
1957年 3月 東京大学工学部応用物理学科卒業
1962年 3月 東京大学大学院数物系研究科応用物理学専門課程博士課程修了,工学博士
1962年 4月 慶應義塾大学工学部助手.1962年10月 同専任講師.1963年10月 同助教授
1965年 4月 東京大学工学部助教授.1979年4月 同教授.1994年3月 東京大学を定年退官.1994年5月 東京大学名誉教授
1994年 4月 法政大学工学部教授.1999年4月〜2001年3月 法政大学大学院議長,評議員.2004年3月 法政大学を定年退職
2000年7月〜2005年6月 タマティーエルオー(株) 取締役会長
2004年7月 (株)エヌエフ回路設計ブロック 監査役(現在に至る)

業界,団体での活動
1977年2月〜1979年2月 計測自動制御学会理事(論文集委員会担当)
1986年5月〜1993年5月 日本自動制御協会,後のシステム制御情報学会理事
1989年4月 計装研究会理論専門部会参与(現在に至る)
1994年2月〜1995年2月 計測自動制御学会会長
1995年4月〜1997年3月 (社)日本鉄鋼協会学会部門会議委員,計測・制御・システム部会長
1995年5月 (社)日本計装工業会中央審査委員会委員長(現在に至る)
2001年9月〜2003年9月 大学評価・学位授与機構大学評価委員会(工学系研究評価専門委員会)専門委員(計測自動制御学会推薦)

その他
1964,1971,1980,1991,1992,1993年度 本会論文賞受賞
1990年度 島津賞受賞
2007年度 システム制御情報学会論文賞受賞
2009年度 本会教育貢献賞受賞
1988年 本会フェロー
1999年 本会名誉会員
2004年 システム制御情報学会名誉会員
copyright © 2007(社)計測自動制御学会