SICE 社団法人 計測自動制御学会
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 会告 : 2001年度計測自動制御学会学会賞の贈呈

 2001年度計測自動制御学会学会賞贈呈のため,木村英紀副会長を委員長とする学会賞選考委員会において慎重に選考の結果,下記論文賞5件,技術賞3件,著述賞2件,新製品開発賞1件が推薦され,理事会の決定を経て7月26日,第40回SICE学術講演会会場(名古屋大学大学院工学研究科)において,贈呈式を行い,受賞者に賞状・メダル・賞金が贈呈された.

[論文賞]5件
(論文賞・蓮沼賞)
○冷凍機を用いたオープンセルによる平衡水素の三重点の実現
 (計測自動制御学会論文集 Vol.36, No.9 で発表)
   計量研究所・櫻井弘久君
(論文賞・武田賞)
○冗長蛇型ロボットの運動学モデルに基づいた制御とユニット設計
 (計測自動制御学会論文集 Vol.36, No.12 で発表)
   東京工業大学・松野文俊君,茂木一貴君
(論文賞・友田賞)
○一般化予測制御と最適レギュレータを用いた火力発電プラントの脱硝制御
 (計測自動制御学会論文集 Vol.36, No.11 で発表)
   東芝・中本政志君,上都礼智君,清水佳子君
   東京電力・小久保 隆君
(論文賞)
○「ひこぼし」搭載多重センサロボットハンドの宇宙における性能
 (計測自動制御学会論文集 Vol.35, No.12 で発表)
   電子技術総合研究所・町田和雄君,戸田義継君
   富士通研究所・村瀬有一君
(論文賞)
○実数値GAのための正規分布交叉に関する理論的考察
 (計測自動制御学会論文集 Vol.35, No.11 で発表)
   東京工業大学・喜多 一君,小林重信君
   徳島大学・小野 功君
[技術賞]3件
○光波長多重(WDM)通信システム用波長モニタリング技術
 (International Symposium on Information Science and Technology,ISIST'96,ほかで発表)
   横河電機・三瓶義広君,大谷正広君,君塚 薫君,
   鈴木泰幸君,立川義彦君,平田隆昭君,榊原勝利君,
   八木原 剛君,藤田忠重君,赤坂恭一君
○狭帯域白色光干渉による高速表面形状測定装置の開発−帯域通過型標本化定理の応用−
 (第39回計測自動制御学会学術講演会で発表)
   東レエンジニアリング・北川克一君
   東京工業大学・平林 晃君,小川英光君,水谷竜也君
○スライディングモード制御による連続鋳造機の非定常操業時における湯面レベル制御系の改善
 (計測自動制御学会論文集 Vol.36, No.10 で発表)
   神戸製鋼所・渡邊俊彦君,大村佳也子君,
   古川和寛君,渡辺省三君
   岡山大学・小西正躬君
[著述賞]2件
○電子回路−基礎からシステムまで
   東京大学・安藤 繁君(著)
○メカトロサーボ系制御
   佐賀大学・中村政俊君(編著)
   佐賀大学・後藤 聡君,近畿大学・久良修郭君(共著)
[新製品開発賞]1件
○統合コントローラ Vシリーズ
   (株)東芝殿
[学術教育賞]
 該当なし


受賞者略歴および受賞論文概要

さくらい ひろひさ
櫻 井 弘 久 君 (正会員)
 1966年東京工業大学理工学部物理学科卒業,68年同大学院理工学研究科修士過程終了.同年工業技術院計量研究所(現,(独)産業技術総合研究所)入所.低温域での熱力学温度の測定などの温度標準関連の研究と,90年国際温度目盛の改訂,標準供給などのサービス業務に従事.93年本会著述賞受賞.応用物理学会,熱測定学会などの会員.

受賞論文「冷凍機を用いたオープンセルによる平衡水素の三重点の実現」
 水素の分子異性体であるオルト水素とパラ水素の組成比率は温度に依存し,三重点温度も組成比率に依存する.しかし,この組成変化は緩和時間が長いため,常磁性塩を平衡化の触媒として使用し,三重点が実現されてきた.また,実現装置としては液体ヘリウム槽と密封セルという組み合わせが最も一般的な方法であった.
 これに対して本研究では温度定点の実現に冷凍機を導入して熱平衡環境を改良するとともに,オープンセルを用いて試料や触媒の条件を変えて,熱平衡とオルト・パラ水素の組成平衡を確保しつつ,精密な熱量測定法により三重点を実現した.この結果,従来の触媒の使い方では三重点近傍の固体水素に熱異常を発生させていることを見いだし,この熱異常が固体水素と触媒の相互作用によって生じていることを明らかにした.さらに熱異常のない状態でのオルト・パラ水素の平衡化の条件を見い出し,平衡水素の三重点を実現するための条件を示した.


まつの ふみとし
松 野 文 俊 君 (正会員)
 1957年7月26日生.86年大阪大学大学院基礎工学研究科博士課程修了.同年大阪大学基礎工学部助手(制御工学科).91年神戸大学工学部講師(システム工学科),92年同助教授(情報知能工学科),96年より東京工業大学大学院総合理工学研究科助教授(知能システム科学専攻)となり,現在に至る.おもに,知能ロボット,非線形系・分布定数系の制御,地理情報システムに関する研究に従事.最近は,地理情報システムを基盤とした緊急災害時のレスキュー活動支援システムに関する研究を行っている.89年度日本ロボット学会研究奨励賞,93年度システム制御情報学会論文賞,97年度消防防災科学論文賞(消防庁長官表彰)などを受賞.工学博士.IEEE,日本機械学会,地理情報システム学会,情報処理学会などの会員

もぎ かずたか
茂 木 一 貴 君 (正会員)
 1974年4月6日生.98年東京理科大学機械工学科卒業,2000年東京工業大学大学院総合理工学研究科修士課程終了.同年三菱重工業(株)に入社し神戸造船所原子力プラント技術部に配属.現在は本社原子力事業本部原子炉安全技術部に在籍.

受賞論文「冗長蛇型ロボットの運動学モデルに基づいた制御とユニット設計」
 本論文は,車輪型蛇ロボットの運動学モデルに基づいて,蛇のさまざまな機能のうち,うねり運動による推進の機能を自然に発生させるメカニズムについて考察したものである.まず,新たに可制御冗長システムを定義し,蛇型ロボットシステムが可制御冗長となる条件を導出した.その結果,蛇型ロボットに対して,受動車輪を取り付けないリンクや,蛇のボディの形状を制御できる点(形状可制御点)を導入することにより,蛇型ロボットシステムが可制御冗長となることがわかった.冗長自由度を利用することで,メインタスクとして,蛇先頭の位置・姿勢制御および蛇のボディの形状制御,サブタスクとして,特異姿勢回避や障害物回避などが可能となることを明らかにした.つぎに,ユニットの概念を導入し,ユニットを結合して構成される全体システムが可制御冗長系となるための条件およびアクチュエータの数,冗長度,形状可制御点の数の関係を導いた.また,ユニットに基づいたシステム設計法を提案した.最後に,シミュレーションによって提案した制御則の有効性を検証し,蛇のうねり運動による推進の妥当性を考察した.


なかもと まさし
中 本 政 志 君 (正会員)
 1973年大阪大学基礎工学部電気工学科卒業.同年ダイキン工業(株)に入社.79年大阪大学基礎工学部修士課程(制御工学)修了.同年4月(株)東芝に入社.現在,火力事業部にて発電プラントの監視・制御の開発に従事(工学博士).93年IFAC World Congress Application Paper Prize,95年システム制御情報学会論文賞,96年本会技術賞受賞.システム制御情報学会,電気学会,IEEEの会員

かみと あきのり
上 都 礼 智 君 (正会員)
 1994年北海道大学大学院工学研究科修士課程(精密工学)修了.同年4月(株)東芝入社.現在,府中電力システム工場にて監視・制御に関する開発に従事.

しみず けいこ
清 水 佳 子 君 (正会員)
 1988年東北大学理学部物理学科卒業.同年4月(株)東芝に入社.現在,火力事業部にて発電プラントの監視・制御の開発に従事(工学博士).93年IFAC World Congress Application Paper Prize,95年システム制御情報学会論文賞,96年本会技術賞受賞.電気学会,システム制御情報学会の会員.
こくぼ たかし
小久保   隆 君 (正会員)
 1980年成蹊大学大学院修士課程(電気工学)修了.同年4月東京電力(株)に入社.現在,同社エネルギー・環境研究所にて監視・制御に関する研究開発に従事.電気学会の会員.

受賞論文「一般化予測制御と最適レギュレータを用いた火力発電プラントの脱硝制御」
 本論文は最適レギュレータ(LQR)とフィードフォワードを考慮した一般化予測制御(GPC)を用いた火力発電プラントの脱硝制御の設計と,実機での制御試験の結果を示す.火力発電プラントにおける脱硝制御は,燃焼により発生する排煙中の窒素酸化物(NOx)に,適切な量のアンモニア(NH3)を注入しNOxを分解させ,NOx排出量を目標値に保つことが目的である.NOx発生量は発電量の変化に伴い頻繁に変動する,NH3注入から分解後のNOx排出量の計測までには大きなむだ時間がある,NH3の流量調節部には干渉があるなど,脱硝制御には複数の問題が組み合わさっている.このため,制御対象を特性に応じて二分し,むだ時間系には外乱からのフィードフォワードとGPC,干渉系にはLQRと,特性に応じた制御則を用いたカスケード構成の制御方式を設計した.また,実用的な演算量と制御性能の確保を実現するため,制御周期を対象の応答時間に応じたマルチレートとした.起動や停止を含む,ほぼすべての運転状態で実機試験を実施し,制御方式の有効性を確認した.


まちだ かずお
町 田 和 雄 君 (正会員)
 1970年北海道大学大学院精密工学専攻修士課程修了.同年電子技術総合研究所へ入所.以後,宇宙用電気推進の研究に従事.82年より宇宙ロボティクスの研究に従事.95年日本ロボット学会論文賞受賞.現在,産業技術総合研究所電力エネルギー研究部門宇宙技術グループ長.日本ロボット学会,日本航空宇宙学会,AIAAなどの会員(工学博士).

とだ よしつぐ
戸 田 義 継 君 (正会員)
 1975年名古屋大学大学院航空工学修士課程修了.同年電子技術総合研究所へ入所.2001年,組織替えに伴い独立行政法人産業技術総合研究所電力エネルギー研究部門宇宙技術グループに配属.主任研究員.イオンエンジン,宇宙ロボットの研究に従事.日本ロボット学会,日本航空宇宙学会,AIAAなどの会員.

むらせ ゆういち
村 瀬 有 一 君 (正会員)
 1963年1月19日生.85年横浜国立大学機械工学科卒業,87年同大学大学院生産工学専攻修士課程修了.同年(株)富士通研究所に入社後,ロボットの機構系の開発に従事.現在,ペリフェラルシステム研究所 自律システム研究部に所属.

受賞論文「「ひこぼし」搭載多重センサロボットハンドの宇宙における性能」
 これまでの宇宙用ロボットは積み荷の運搬や装置の着脱を主目的に開発されており,そのハンドは1自由度で,かつ知覚機能をもたないため,精細作業には適さなかった.ここでは,宇宙での精密作業に適したハイブリッド三指機構と多重センサを特徴とするハンドを開発し,人工衛星「ひこぼし」に搭載し,宇宙環境での性能評価を行った.三指機構,手首コンプライアンス機構およびそれらに集積した圧覚センサ,変位センサは地上と同等,もしくは無重力のため外乱が抑制された良好な性能が得られた.レーザー距離センサおよびハンドアイは光学フィルタの採用により周回軌道の日照から日陰に至る幅広い光環境で,所定の性能を示した.画像計測では,画素数が少なく光の照射方向の影響を受ける対象では注意が必要なこと,および,ハンドに組み込んだLED照明は日陰での画像計測に有効なことを示した.実験によりこのハンドが精密作業,作業環境計測およびモデル較正に有効なことを示した.


きた はじめ
喜 多   一 君 (正会員)
 1982年京都大学工学部電気工学科卒業,87年同大学院工学研究科博士後期課程研究指導認定退学.同年京都大学工学部助手,97年より東京工業大学総合理工学研究科助教授,2000年より大学評価・学位授与機構教授となり,現在に至る.工学博士.社会・エネルギーシステム,ニューラルネットワーク,遺伝アルゴリズムの研究に従事.エネルギー資源学会,システム制御情報学会,神経回路学会,電気学会,電子情報通信学会,日本OR学会などの会員.

おの いさお
小 野   功 君 (正会員)
 1994年東京工業大学工学部制御工学科卒業,97年9月同大学大学院総合理工学研究科知能科学専攻博士後期課程修了.博士(工学).同年10月同大学大学院総合理工学研究科リサーチ・アソシエート,98年徳島大学工学部助手,同年12月同講師,2001年3月より同助教授となり,現在に至る.おもに進化計算とその応用に関する研究に従事.人工知能学会,システム制御情報学会,日本光学会,情報処理学会各会員.

こばやし しげのぶ
小 林 重 信 君 (正会員)
 1974年東京工業大学大学院博士後期課程経営工学専攻修了(工学博士),同年同大学工学部助手,81年同大学院総合理工学研究科助教授,90年教授,現在に至る.人工知能,機械学習,創発システムの研究に従事.人工知能学会,情報処理学会などの会員.

受賞論文「実数値GAのための正規分布交叉に関する理論的考察」
 非線形関数の大域的最適化手法として実数値遺伝的アルゴリズム(実数値 GA)が注目されており,その中での主要な探索演算子である交叉について種々の提案が行われている.小野らによって提案された単峰性正規分布交叉(Unimodal Normal Distribution Crossover, UNDX)は多峰性関数や変数間の依存関係の強い関数において高い最適化能力を示している.しかしながら,これまで,交叉演算子の性能はベンチマーク問題を用いた数値実験によってのみ評価されており,交叉演算子を設計する指針は確立されていなかった.
 本論文ではまず,UNDXについてその統計的な性質を理論的に検討した.解析の結果,UNDX は平均値ベクトルや分散・共分散行列など親個体群の統計的性質をよく継承する子個体群を生成することが示された.この結果に基づき,著者らは実数値 GA のための交叉演算子について,いくつかの設計指針を提唱する.


さんぺい よしひろ
三 瓶 義 広 君 (正会員)
 1981年慶應義塾大学工学部電気工学科卒業,同年(株)横河電機製作所(現 横河電機(株))に入社,光デバイス,光測定器の開発に従事.現在,通信マルチメディア開発センター技術3部係長.応用物理学会会員.

おおたに まさひろ
大 谷 正 広 君
 1975年信州大学大学院工学系研究科修士課程(電気工学)修了,同年(株)横河電機製作所(現 横河電機(株))に入社,波形測定器,光測定器の製品開発に従事.現在,通信マルチメディア開発センター技術3部部長.

きみづか かおる
君 塚   薫 君
 1985年電気通信大学電子工学科卒業,同年横河北辰電機(株)(現 横河電機(株))に入社,波形測定器,光測定器の製品開発に従事.現在,通信マルチメディア開発センター技術3部係長.

すずき やすゆき
鈴 木 泰 幸 君
 1986年東北大学大学院工学研究科修士課程(電子工学)修了,同年横河北辰電機(株)(現 横河電機(株))入社,光測定器の製品開発に従事.現在,通信マルチメディア開発センター技術3部係長.米国光学会会員.

たちかわ よしひこ
立 川 義 彦 君 (正会員)
 1978年横浜国立大学大学院工学研究科修士課程(金属工学専攻)修了,同年,(株)北辰電機製作所(現 横河電機(株))入社,航空計器,磁気ディスク装置,光測定器の開発に従事.現在,通信マルチメディア開発センター技術3部マネージャー.

ひらた たかあき
平 田 驕@昭 君 (正会員)
 1983年東京大学大学院工学系研究科修士課程(計数工学)修了,同年横河北辰電機(株)(現 横河電機(株))入社,MRI,化合物半導体光デバイス,光集積回路などの研究開発に従事.現在,光デバイス研究室長.88年本会論文賞,94年本会技術賞,95年 A MOC Paper Award 受賞.応用物理学会会員.工学博士.

さかきばら かつとし
榊 原 勝 利 君
 1986年慶應義塾大学理工学研究科修士課程(電気工学)修了,同年横河北辰電機(株)(現 横河電機(株))入社.以来,光半導体デバイスの研究・開発に従事.現在,R&D開発プロジェクトセンター係長.

やぎはら つよし
八木原   剛 君
 1986年長岡技術科学大学工学部電気電子システム工学科修士課程修了,同年横河北辰電機(株)(現 横河電機(株))入社.以来,高速化合物半導体デバイスの研究・開発に従事.現在,R&D開発プロジェクトセンタ1Gr長.

ふじた ただしげ
藤 田 忠 重 君
 1990年学習院大学自然科学修士課程修了.同年横河電機(株)入社.以来,化合物半導体プロセス開発に従事.現在,R&D開発プロジェクトセンター主任.

あかさか やすかず
赤 坂 恭 一 君
 1992年東京工業大学制御工学専攻修士課程修了.同年横河電機(株)入社.以来,集積回路設計に従事.現在,R&Dデバイスプロジェクトセンター所属.

受賞論文「光波長多重(WDM)通信システム用波長モニタリング技術」
 波長多重(WDM: Wavelength Division Multiplexing)伝送は,大容量伝送へのニーズに応える技術として急速に発展・普及している.さらにWDM方式は,将来の高度なフォトニックネットワークを構成するうえでも重要な技術とされている.このようなシステムを適正に運用するためには,高密度に多重化された各チャネルの光信号を常時監視することが重要となる.
 今回開発したWDM通信システム用波長モニタは,回折格子とフォトダイオードアレイとを組み合わせたポリクロメータ型の分光器である.本分光器は機械的な可動部をもたないので小型軽量,高速測定,高信頼性などの特長をもつ.さらにシステムに必要とされる高分解能,高精度,広ダイナミックレンジ,低偏光依存性などを実現した.特にアレイ型検出器からの離散的データをもとに独自の演算アルゴリズムで,波長,パワーを高精度に測定している.高精度測定に必要な欠陥のないアレイ型検出器も自社で開発したものである.
 本モニタはすでに実用化されており,1998年から実システムで稼動している.


きたがわ かついち
北 川 克 一 君 (正会員)
 1964年東京大学工学部計数工学科卒業,同年東レ(株)に入社,89年より画像処理・レーザ光学を応用した半導体検査機器の研究開発に従事.2000年より東レエンジニアリング(株)技監.システム制御情報学会,精密工学会画像応用技術専門委員会などの会員.

ひらばやし あきら
平 林   晃 君
 1993年東京工業大学工学部情報工学科卒業,95年同修士課程(計算工学専攻)修了,同年同専攻助手.2000年より山口大学工学部講師.信号・画像処理,学習理論の研究に従事.博士(工学).電子情報通信学会,日本神経回路学会,IEEEの会員.


おがわ ひでみつ
小 川 英 光 君 (正会員)
 1965年東京工業大学工学部電子工学科卒業.65〜72年通産省電子技術総合研究所勤務.72年東京工業大学工学部助手,現在大学院情報理工学研究科教授.84〜85年フィンランド・ヘルシンキ工科大学客員教授.パタ−ン認識,ニューラルネットワーク,信号・画像処理の研究に従事.電子情報通信学会より論文賞5回等多数受賞.フィンランド・ラッペーンランタ工科大学名誉博士.

みずたに たつや
水 谷 竜 也 君
 1999年東京工業大学工学部電気・電子工学科卒業,2001年同大学修士課程(電気・電子工学専攻)修了.同年(株)東芝入社.在学中,光計測および計算機アーキテクチャの研究に従事.情報処理学会,IEEEなどの会員.

受賞論文「狭帯域白色光干渉による高速表面形状測定装置の開発−帯域通過型標本化定理の応用−
 垂直走査型白色光干渉法による表面凹凸形状測定は,段差のある対象に対しても高精度の3次元測定が可能であり,産業界でも広く使用されているが,測定時間の長いことが欠点であった.
 この問題を解決するために,光干渉波形(インターフェログラム)のピーク検出の新しいアルゴリズムを考案した.すなわち,帯域通過型標本化定理を利用することにより,ナイキスト間隔の10倍以上の間隔(サブナイキスト間隔)で標本化されたデータから原波形が復元可能なことを見いだした.また,計算時間短縮のために,標本値から自乗包絡線関数を直接算出する公式も導出した.
 本アルゴリズムを用いて,従来比10倍以上の測定速度をもつ世界最高速の表面形状測定装置を実用化した.すでに半導体表面形状の自動検査装置などに組み込まれて実稼働しており,産業界FA分野への広い応用が期待される.


わたなべ としひこ
渡 邊 俊 彦 君 (正会員)
 1990年大阪府立大学大学院工学研究科博士前期課程経営工学専攻修了.同年(株)神戸製鋼所入社,電子技術研究所勤務.鉄鋼分野における設計・制御などの生産システムのインテリジェント化,最適化に関する研究開発業務に従事.2001年同社退職,大阪電気通信大学工学部助教授となり現在に至る.博士(工学).システム制御情報学会,日本ファジィ学会,日本鉄鋼協会の会員.

おおむら かやこ
大 村 佳也子 君
 1986年神戸大学大学院工学研究科博士前期課程システム工学専攻修了.同年(株)神戸製鋼所入社,電子技術研究所勤務.2000年12月同社退職.鉄鋼分野における設計・制御・物流などの生産システムのインテリジェント化,機械設計・各種生産管理システムのインテリジェント化に関する研究開発業務に従事.

わたなべ しょうぞう
渡 辺 省 三 君
 1984年名古屋大学大学院工学研究科博士前期課程金属工学専攻修了.同年(株)神戸製鋼所に入社し,神戸製鉄所勤務.96年加古川製鉄所に異動となり現在に至る.鉄鋼分野における生産技術,生産プロセスの改善・開発などの業務に従事.

ふるかわ かずひろ
古 川 和 寛 君
 1989年姫路工業大学工学部電気工学科卒業.同年(株)神戸製鋼所入社,神戸製鉄所にて鉄鋼プロセスにおける電気計装設備の開発,設計業務に従事.

こにし まさみ
小 西 正 躬 君 (正会員)
 1944年京都大学大学院工学研究科修士課程数理工学専攻修了.同年(株)神戸製鋼所入社,中央研究所,浅田研究所,電子技術研究所,生産技術研究所などでシステム制御の知能化に関する研究開発に従事.99年同社退職,岡山大学工学部電気電子工学科教授となり現在に至る.工学博士.システム制御情報学会,電気学会などの会員.

受賞論文「スライディングモード制御による連続鋳造機の非定常操業時における湯面レベル制御系の改善」
 連続鋳造プロセスでは,鋳造品質の向上と安全操業を確保するために鋳型内湯面レベルを高精度に制御することが重要な技術課題である.従来から多くの制御技術が開発され,実操業での制御性改善が行われてきた.本論文では,鋳造開始時等の非定常操業での制御性をさらに改善するため,スライディングモード制御を用いた湯面レベル制御器の設計と実機への適用結果について論述した.鋳型への溶鋼流入量を調整するストッパアクチュエータは,流量特性が非線形で,溶損や介在物の付着等で特性が操業によっても変化する.この特性をモデル化してスライディングモード制御器を設計した.本制御系を実機に適用し,外乱抑制性のテストおよび連々鋳時のテストを通じて,外乱と特性変動に対する高いロバスト性を確認した.また,特性変動・ばらつきが大きい鋳造開始時の自動制御への適用結果を示した.本制御系によると,安定して鋳造が開始でき,操業安定化の観点でも有効であることがわかった.


あんどう しげる
安 藤   繁 君 (正会員)
 1974年東京大学工学部計数工学科卒業,79年同大学院博士課程修了,工学博士.79年より同大学助手,80年より講師,84年より電気通信大学助教授,87年より東京大学工学部助教授,96年より同教授,現在に至る.センサ,画像処理,信号処理,光および音響計測,電子回路などの研究と教育に従事.昭和53年,昭和62年,平成5年(友田賞),平成9年本会論文賞受賞.

受賞図書「電子回路−基礎からシステムまで」
 本書は, 著者が学部3年次に担当している「回路学第一」の講義の教科書として記述したものである.電子回路技術は,幅広い学問や技術を理解し現実のものとしてゆくための最も身近で強力な体系である.
 このことを伝えるため,項目の選択にあたっては,デバイス技術システム技術, 理論的背景をバランスよく配して,それらが深い関係をもっていることが自然に理解されるように配慮した.デバイスへの理解と回路的活用への着眼法を中心とした2章,論理回路の考え方と基本回路の理解を中心とした3章,フィードバックの方法論によって斬新な回路を導き出す演算増幅器回路の4章と5章,基本的な自律システムとして発振回路を扱った6章,通信と計測のための非線形信号処理回路を扱った8章,アナログ回路との対応に留意しディジタルフィルタの基礎事項を示した9章,多くの読者にとって最も身近な実用回路としてのセンサ回路を扱った10章から構成されている.
 問題解決に役立つ基本的な知識と知恵を身につけるには,最初に感じる「むずかしさ」をどうしても乗り越える努力が必要である.乗り越えた気にさせるのではなく,実際に乗り越えるための一助となりたいというのが本書の主旨である.これらを体得するために必要な努力は,思い通りに動かない実際の回路やシステムを前にして,払わなければならない苦労や努力や損失に比べれば,はるかに小さく,またはるかに有益なものである.
 卒業論文を終える頃になると,講義を聴いた多くの学生が「去年は大変難しいと思ったが,今はそうは思わないし大事さも理解できた」と言ってくれるのが筆者の喜びである.


なかむら まさとし
中 村 政 俊 君 (正会員)
 1943年8月20日生.67年九州大学工学部電気工学科卒業,69年九州大学大学院工学研究科電気工学専攻修士課程修了,73年同博士課程修了,同年九州大学工学部助手,74年佐賀大学理工学部講師,75年同助教授,88年同教授,98年同大学院工学系研究科教授になり現在に至る.工学博士.システム制御の理論と応用の研究に従事.本会フェロー,日本ME学会九州支部長,日本臨床神経生理学会評議員.99年工作機械技術振興財団から論文賞受賞,2001年火力原子力発電技術協会から苅田記念賞受賞.

ごとう さとし
後 藤   聡 君 (正会員)
 1966年1月1日生.88年大阪大学工学部応用物理学科卒業,90年大阪大学大学院工学研究科応用物理学専攻博士前期課程修了,同年佐賀大学理工学部電気工学科助手,96年同講師,98年同大学院工学系研究科助教授になり現在に至る.工学博士.主としてメカニカルシステム制御と電力システムの解析の研究に従事.99年工作機械技術振興財団から論文賞受賞.

きゅうら のぶひろ
久 良 修 郭 君 (正会員)
 1942年2月12日生.64年九州大学工学部電気工学科卒業,66年九州大学大学院工学研究科電気工学専攻修士課程修了.同年(株)安川電機入社,研究所,技術開発センター,メカトロ研究所所長を経て,現在技術開発本部担当顧問.95年から近畿大学九州工学部教授併任.工学博士.主としてメカトロシステムの研究に従事.84年度精密工学会論文賞受賞,86年米国SME (Robot 10) ロボットコンファレンス優秀論文賞受賞,99年工作機械技術振興財団から論文賞受賞.

受賞図書「メカトロサーボ系制御」
 本書は,産業用ロボットや数値制御工作機械等のサーボの部分であるメカトロサーボ系の制御に関して,モデリング・解析・制御の全般にわたる内容が,統一的に丁寧に記述されている.本書の内容のすべては,産業界と大学との間の永年の共同研究で得られたオリジナル成果が基になっていて,産業界で真に問題となっていることを理論的に解明していて,国内外でも類書はない.本書で述べられている方法・成果は,実機で妥当性が検証済みで,すべて産業界で実用化が可能である.また本書での話の展開をたどることによって,ニーズに基づいた生きた1つの研究方法を知ることができる.したがって,本書は産業界における技術者が真に知りたい闇の中のノウハウ的技術を理論的に理解する意味で,技術者への実用書として好適であり,また学部レベルの制御理論を活用して,現実問題を理論的に解決する方法を学ぶ意味で,高専や大学や大学院学生にもシステム制御の一般書として読まれることを期待する.


受賞製品「統合コントローラ Vシリーズ」
 統合コントローラ Vシリーズはユーザニーズに対応するため,「統合」と「オープン」をコンセプトにより開発しています.
 第1のコンセプトである「統合」は,シーケンス制御,アナログ演算を対象とするループ制御,情報処理機能をもつコンピュータ処理をモジュール化し,単独/複数を自在に組合せて使用できるマルチホスト化を実現しました.従来のPLC,DCSコントローラを超える新たな世界を開いた次世代型コントローラです.従来のコントローラでは実現困難であったコンピュータ機能をコンピュータ処理モジュールにより組込パソコンとして情報通信技術(IT),あるいは知的機能(AI)など付加価値の高いコンパクトなコントローラが実現できます.
 第2のコンセプトは「オープン」です.特にエンジニアリング言語は国際標準言語IEC61131-3を採用しグローバルマーケットに対応しています.また,監視制御LANにはEthernetや伝送路二重化技術による冗長システムに対応すると共に,フィールド機器レベルではDeviceNet,FL-netなど国際標準,業界標準のネットワークをサポートしました.さらに,インターネット,イントラネットと直接接続を可能とするなど,情報通信インタフェースのオープン化を進めています.

 
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