福祉工学部会

 

 福祉を工学的に取り扱うための学問は現段階では十分に体系化されているとは言えず,その議論の場も少ない.間近にせまった超高齢社会に対応して,福祉のための産業創生に期待が集まるなかで,福祉を工学的な視点から取り扱う事例が増加しつつあるが,応用に重点を置く場においては,現場中心,個々の事例に特有の課題の解決を目的とした研究がなされ,計測・制御やその統合化技術などに対する学術的な裏付けが十分ではない傾向が強い.福祉における工学は,対象となる人間の特性を含めた計測技術,人間の特性を考慮した機械の制御技術など,人間・機械系の総合技術である.特に計測と制御をインテグレートした取り扱いが重要な役割を果たすため,計測自動制御学会において主要テーマとして取り扱われている計測技術,制御技術,システム技術が重要な核になり,さらに,これらの技術を有機的に集積・統合した体系が必要となる.本部会を当学会の中に設置することは,福祉を横断的な工学的視点から捉える上で非常に重要な役割を果たす.本分野は,現在日本が世界に情報を発信する最先端の活動が展開されている.本部会の講習会や学術講演会におけるオーガナイズドセッション等により,情報交換・啓蒙活動を進めたい.それによって福祉を計測・制御・システムの面からより深く議論する場を設け,新産業を支える福祉工学の体系化・普及を目指したいと考えている.