計測と制御 2013年12月号

VOL. 52, 2013

特集「離散事象システム理論によるモデリングと制御の新展開」

離散事象システムは,動的挙動が離散的な事象により特徴づけられるようなダイナミカルシステムであり,システム内に有限個の離散事象が存在し,それらが不規則な時間間隔で生起してそれに伴ってシステムの状態も離散的に変化することが特徴である.部品の組立・加工・貯蔵・搬送ラインを含む生産システムや,通信プロトコルの設計,ビジネスワークフローの実現等の産業応用にも直結する分野であり,適切なモデル化を行うことによる組織的な検証方法や制御機構の設計方法が研究されている.離散事象システムのモデル化の手法として,従来オートマトンや形式言語を利用した制御設計や,ペトリネット等を援用したシステム検証が盛んに研究されてきた.近年この分野で,制御対象の挙動の不確定性に基づく確率の導入や,連続系と合わせたハイブリッドシステムとしての振る舞いのモデル化・検証,さらにはmax-plus代数とよばれる新しい形式化の枠組みを用いた制御系の自動設計に進歩が見られる.また制御対象のモデルも連続システムが離散的にモード遷移する系としてモデル化することによりシステム全体としての設計・検証が可能になってきた.本特集では離散事象システムの対象の範囲の拡大とモデル化手法の最新動向をまとめて紹介する.

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